「円の実力」を見るために利用される「実質実効レート」において、「円」は、50年ぶりの低さになっています。名目レートで言うと、1ドル=308円の頃と同水準にあり、円安が進んでいることが分かります。これまで日本政府は、長期にわたって低金利政策を続けて来ました。
「円安」は、日本企業にとって追い風となり、日本経済全体に好影響を与えると考えられてきたからです。しかし、時代と共に製造業の中心地は中国へと変わり、「円安」から受ける恩恵は、かつてほど機能しなくなりました。
FRB(米国連邦準備制度理事会)が、金利の引き上げに動く中、日銀(日本銀行)は、大規模な金融緩和を今後も続ける意向を示しました。マーケットでは、これが嫌気され、海外投資家の円売りが加速しています。世界情勢などの様々な要因から急激な資源高となった今、多くの日本企業は、資源高と円安が同時に進む環境の中で、難しい舵取りを迫られています。
この記事では、円安が個人投資家に与える影響について解説します。
※本記事は5月19日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 日本株投資「円安」で恩恵を受ける企業は?
- 日本株投資「円安」がデメリットになる企業は?
- 日本企業にとって、「円安」での懸念材料は?
- 米国株投資「円安」はプラス?それともマイナス?
- 日銀の動きに注目
- まとめ
日本株投資「円安」で恩恵を受ける企業は?
日本企業の場合、円安局面では、海外での需要が多い企業が恩恵を受けます。簡単に言うと、世界で活躍しているグローバル企業と呼ばれる企業です。
海外の売上高が8割~9割と高い企業、また、海外での需要が高いビジネスを展開している企業に注目すると良いでしょう。
産業別では、昨年話題となった海運株や、建設機械メーカー・機械株・自動車関連株などが挙げられます。
売上高が伸びて営業利益が増えた場合、増益分は、円安が作用し、円ベースでの金額が増えますので、円ベースでの配当金も上がるというシナリオが考えられます。
2.日本株投資「円安」がデメリットになる企業は?
では、反対に「円安」が、懸念材料となる企業について考えてみます。
原材料を海外から調達し、売上高の多くが内需向け(国内向け)である企業にとって、「円安」は、マイナス要因となります。輸入コストが増大することで、内需向けの企業は、コストの増大分、利益が減ってしまいます。
産業別では、小売業や外食産業、ホテルなどの宿泊施設、建設業、また、燃料価格の高騰と円安が同時に進んだことで、運送業は、大きな打撃を受けています。
3.日本企業にとって、「円安」での懸念材料は?
実は「円安」は、多くの日本企業にとって懸念材料となります。
日本では、外需向けのグローバル企業よりも、内需向けの中小企業の数が圧倒的に多く、全体で見ると「円安」は、日本経済にとって、追い風にはならない。と言うのが現実です。
具体的には、「円安」の影響から円ベースでの原材料の価格が、大きく上昇していますので、海外から原材料などの輸入が必要となる中小企業は、大きな打撃を受けてしまうのです。
また、資源高であるという背景に加え、中国のロックダウンの影響で、今後、原材料がスムーズに入って来なくなるというリスクも考えられ、内需向けの企業にとって、先行きが見えにくい厳しい環境なのです。
4.米国株投資「円安」はプラス?それともマイナス?
次に、米国株投資について考えてみます。
米国株式を保有されている方であれば、「円安」で円ベースでの利益が増えていることにお気づきかと思います。また、米国株の場合、損が出ていた分を「円安」によって、取り戻したというケースも、多々あるかと思います。
「円安」の環境で、もともと保有していた米国株の円ベースでの利益が、増えるというのは、大変喜ばしい事ですが、新たに米国株を買おうという時には、円安の分、コストがかかるという事を忘れてはいけません。つまり、反対に仕掛ける時は「円高」の方が、株価を同じ水準で見た場合、安く買うことが出来るのです。
しかし、インフレの時代に強い外貨を持つことは、ヘッジにもなります。ここは、株式を長期で持つのか、短期で持つのかにもよりますし、それぞれの投資スタイルや目的に合わせて判断していくのが良いでしょう。
5.日銀の動きに注目
なぜ、日銀の話がここで出て来るのかと言うと、介入の可能性を念頭に置いておいた方が良い水準まで「円安」が進んでいるからです。
チャートポイントと呼ばれる価格を一気に抜けて来る局面や、急激に「円安」が進んだ局面では一旦ポジションを外すなど、少し慎重に相場を見てみても良いでしょう。
6.まとめ
「円安」が進み、物価高となるインフレの時代には、円の価値、つまり現金の価値はどんどん目減りして行きます。その為、現金のみで持つよりも、インフレヘッジとなる株式や、現物となる不動産などに投資をすることは、良策です。
世界中で物価高が起きている今、我々は投資に対し、これまでとは違う見方を持ち、何に投資するかを考える必要があるでしょう。
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コージンスキ祐華
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