米国株の決済は円貨・外貨どちらが良い?メリット・デメリットと注意点

2021年8月現在、日本株が伸び悩むなか、米国株は史上最高値を更新し高値圏で推移しています。日本人投資家も米国株式に注目しており、短期資金ばかりではなく、長期運用資金が米国株式に流れています。

長期運用に適したつみたてNISA(SBI証券のつみたてNISA)の販売ランキング1位は、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドです。円換算ベースのS&P500指数に連動するように設計されたファンドで、円建てですが、米国株に投資する場合の決済はドルで行う必要があるため、ドル資金を手当てする必要があります。

決済には、証券口座の円貨を活用して株式を購入する方法や、外貨口座やドルのMMFの外貨を決済資金とする方法があり、選択する方法により取引にかかるコストが変わってきます。

そこで、今回は米国株式の決済には、円貨・外貨どちらが良いか、メリット・デメリットや注意点などについて解説します。

※この記事は2021年8月20日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 米国株の決済方法
  2. 円貨決済のメリット・デメリットと注意点
    2-1.円貨決済のメリット
    2-2.円貨決済のデメリット
  3. ドル決済のメリット・デメリットと注意点
    3-1.銀行の外貨口座から送金する方法:メリット
    3-2.銀行の外貨口座から送金する方法:デメリット
    3-3.米ドル建てMMFを用いる方法:メリット
    3-4.米ドル建てMMFを用いる方法:デメリット
    3-5.受渡相当金額を為替取引で準備する方法:メリット
    3-6.受渡相当金額を為替取引で準備する方法:デメリット
  4. 注意点
  5. まとめ

1 米国株の決済方法

日本から米国株式に投資する場合には、円貨決済とドル決済の2つの方法があります。
円貨決済とは、米国株を総合口座の預り金(円)で決済する方法です。日本株式に投資した場合と同様に、日本円だけで決済が完結できます。ドル決済とは、米国株の購入資金をドルで決済する方法です。

2 円貨決済のメリット・デメリットと注意点

円貨決済は日本株を購入する時と同様に日本円でそのまま決済ができます。米国株購入の際には、証券会社の指定為替レートで自動的にドルに変換されるため、初心者にとってはドルを用意する必要がなく、分かりやすい決済方法です。しかし、便利な反面デメリットもあります。メリット・デメリットをみていきましょう。

2-1 円貨決済のメリット

米国株式の決済に円貨を使うメリットは、ドルを用意しなくて済むため簡潔で分かりやすいということです。手間も時間もかからないため、初心者にとって分かりやすい決済手法です。

2-2 円貨決済のデメリット

デメリットとしては、決済時の為替レートには予め証券会社の手数料(スプレッド)が上乗せされた水準(売却時は差し引かれた水準)が適用されることが挙げられます。

円貨決済で米国株を発注した場合、為替レートが確定するまで受渡金額が確定しないこともデメリットです。米国株の場合、為替レートは現地約定日の翌国内営業日に確定します。

なお、スプレッドについては証券会社によって異なります。SBI証券で米国株を発注した場合、円貨決済時に適用される為替レートは25銭が上乗せされます。

3 ドル決済のメリット・デメリットと注意点

ドル決済とは、米国株の購入資金を直接ドルで支払う決済方法です。ドル決済の方法には、銀行の外貨口座から証券会社に外貨を送金する方法、証券会社の米ドル建てMMF資金を用いる方法、受渡相当金額の米ドルを為替取引で準備する方法があります。それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。

3-1 銀行の外貨口座から送金する方法:メリット

銀行によって為替のスプレッド(上乗せ手数料)は異なります。多くの証券会社ではドル円購入時の上乗せスプレッドは25銭ですが、銀行によっては25銭を下回る手数料で米ドルを調達することができます。

特に、特定の証券会社と提携している銀行の場合には、大きなメリットがあります。住信SBIネット銀行の場合、ドル円のスプレッドが4銭と低く設定されているのに加え、SBI証券に送金する際の振替手数料は0円です。また、楽天証券においては、SMBC信託銀行からの振替手数料が1回につき1,000円(通常7,000円)に優遇されています。野村證券では、3万ドル以上の外貨入金の手数料を野村證券が負担する制度があります。

3-2 銀行の外貨口座から送金する方法:デメリット

デメリットとしては、ドル円の振替手数料が高く設定されていることが多い点が挙げられます。為替手数料が安くても送金する際に必要な振替手数料が高い場合があります。SBI証券と住信SBIネット銀行のような提携関係にない場合は、手数料の優遇などがないこともデメリットです。

3-3 米ドル建てMMFを用いる方法:メリット

米ドル建てMMFは投資信託の一種です。メリットは預金のように自由度が高いことや利息がつくことが挙げられます。MMFの金利は銘柄により異なりますが、0.04%から0.07%程度で運用されています。

現在の米国連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利の誘導目標は0~0.25%のため、それを上回る利回りとなっています。政策金利が上昇すれば利回りも上昇するため、米国株や米国債に投資する場合には、MMFを活用しましょう。

3-4 米ドル建てMMFを用いる方法:デメリット

米国株の購入時に一旦解約する必要があることがデメリットです。ドルのMMFを使う場合、米国株の決算金額相当分のMMFを解約する必要があります。解約手数料を支払う必要はありません。なお、楽天証券のゴールドマン・サックス・米ドルMMFについては、解約せずに外貨決済に利用することができます。

3-5 受渡相当金額を為替取引で準備する方法:メリット

米国株を購入する際に、円資金でドルを購入する方法です。メリットは、ドルが売られている時にドルを購入することができれば、受渡金額を低くおさえることができます。1万ドル相当のドルを購入する際、ドル円相場が110円の時は110万円が必要ですが、105円では105万円と5万円も安く調達することができます。

3-6 受渡相当金額を為替取引で準備する方法:デメリット

デメリットはスプレッドが必要なことです。多くの証券会社では、ドルを購入する際に1ドルにつき25銭から50銭程度の手数料がかかります。スプレッドが25銭の場合、1万ドルを購入するために必要な手数料は2,500円です。

このほか、株式購入後にドル資金が余ってしまうこともデメリットと言えます。円に転換するとスプレッドが1ドルにつき25銭必要となるため、MMFで運用するようにした方が無難です。

4 注意点

米国株に投資する場合には、ドルを調達する必要があります。ドル円には公示相場があり休日以外の午前11時頃に更新されます。公示相場にはTTS(電信売り相場)、TTM(仲値)、TTB(電信買い相場)で構成され、TTMが市場水準に近い水準、TTSとTTBは上下1円に設定されています。

一般的なドル円はSPOTと呼ばれ変動していますが、公示相場は原則として1日固定です。ドルを調達するにあたり、この公示レートを用いている銀行もあります。スプレッドも大切ですが、まず外貨を調達する際の基準レートを確認するようにしましょう。

まとめ

米国株に投資する場合には、ドルのMMFを用いると便利です。また、株を購入するタイミングが大切です。そのため、米国株投資を考えている場合には、あらかじめドルのMMF口座にドル資金を積み上げ、株価購入のタイミング時にすぐに動けるように準備することが大切です。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。