つみたてNISAのメリットとデメリットは?損しないための使い方も

つみたてNISAは、NISA(少額投資非課税制度)の中でも積立に特化した制度で、初心者でも取り組みやすく配慮されています。ただし、使い方によってはメリットを生かせなくなるので、始めるにあたっては基本的な仕組みを理解する必要があります。

この記事ではつみたてNISAのメリット・デメリットや損をしない運用のポイントを解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2022年5月12日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. つみたてNISAとはどんな制度?
    1-1.つみたてNISAの概要
  2. つみたてNISAのメリット
    2-1.運用益に対して非課税
    2-2.少額からの投資が可能
    2-3.買付のタイミングに悩まない
    2-4.ドルコスト平均法で買付単価を均せる
    2-5.運用コストが低い
    2-6.いつでも引き出せて目的も問われない
    2-7.確定申告をしなくてもよい
    2-8.商品が限られていて選びやすい
  3. つみたてNISAのデメリット
    3-1.損益通算・繰越控除ができない
    3-2.投資対象が限定される
    3-3.非課税枠は再利用不可・繰越不可
    3-4.ロールオーバーができない
  4. つみたてNISAで損をしない運用方法
    4-1.値上がりしても売らない
    4-2.値下がりしても売らない
    4-3.できるだけ長く積み立てる
    4-4.分散投資を心がける
    4-5.商品の選択肢が多い金融機関を選ぶ
    4-6.頻繁に商品を入れ替えない
    4-7.生活費をつみたてNISAに充てない
  5. まとめ

1.つみたてNISAとはどんな制度?

つみたてNISAは少額の積立投資から生じた運用益が非課税になる制度です。投資対象は金融庁が選定した、長期・分散・積立投資に適したローコストの株式投資信託またはETF(上場投資信託)に限定されています。

1-1.つみたてNISAの概要

つみたてNISAの1年間の非課税投資枠は40万円で、最長20年間非課税で積立できます。その他、つみたてNISAの特色は以下のとおりです。

  • 利用できる人:日本在住の20歳以上の人
  • 投資できる商品:長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(ETF含む)
  • 投資方法:積立投資
  • 払い出し:理由を問わずいつでも可能
  • 口座開設数:1人1口座
  • 非課税対象:一定の投資信託からの分配金および売却益
  • 投資可能期間:2042年まで

2.つみたてNISAのメリット

つみたてNISAは投資初心者や幅広い年代の人が運用に取り組みやすい仕組みで、次のようなメリットがあります。

2-1.運用益に対して非課税

つみたてNISAでは売却益・分配金が最長20年間非課税になります。通常、投資の運用益に対しては20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAの非課税期間中はかかりません。手元に残った運用益を再度運用に充てて、複利効果による収益拡大が見込めます。

2-2.少額からの投資が可能

つみたてNISAの毎月の積立上限額は約3万3,000円ですが、より少額からの積立も可能です。最低投資額は金融機関ごとに異なりますが、100円から可能なネット証券もあります。家計を見直し生活が苦しくならない程度の積立額で、長期にわたって資産を育てていけます。

初心者であれば最初は最低額から始めて、徐々に投資額を増やすのも賢明なやり方です。

2-3.買付のタイミングに悩まない

つみたてNISAは定時定額の投資なので、買付のタイミングを判断する必要がありません。一括投資の場合、安く買って高く売るために買いのタイミングを見極める必要があります。

買いの判断は投資のプロでも難しいとされていますが、つみたてNISAで積立の設定を行うと買付は自動で行われます。

2-4.ドルコスト平均法で買付単価を均せる

回数 価格 口数 口数累計 評価額 投資金額
1 12,000 0.83 0.83 10,000 10,000
2 12,000 0.83 1.67 20,000 20,000
3 8,000 1.25 2.92 23,333.33 30,000
4 9,600 1.04 3.96 38,000 40,000
5 10,400 0.96 4.92 51,166.67 50,000

ドルコスト平均法とは「毎月1万円ずつ」のように、定時に決まった金額(数量)を買付けて平均購入単価を抑える投資方法です。

上記の表は、ある投資信託を毎月1万円ずつ買付けた場合の値動きの例です。3回目で急に値下がりし、その後徐々に値を戻しています。価格が安いときには多く買えるため、値下がり時には口数が増やせます。また、全体の購入単価は平均化されるため、高値掴みも避けられるのです。

2-5.運用コストが低い

つみたてNISAの投資対象として金融庁が選定しているのは、販売手数料がゼロで信託報酬が一定水準以下の投資信託です。長期の運用では信託報酬などの運用コストが収益に及ぼす影響は大きく、できるだけ抑えたいところです。

つみたてNISAではどの投資信託もコストが低いインデックス投資信託のため、初心者でもファンド選びで失敗する可能性は低くなります。

2-6.いつでも引き出せて目的も問われない

つみたてNISAは、積み立てた資産をいつでも都合のよいタイミングで引き出せます。長く積み立てるほど効果的ではありますが、子どもの進学や家のリフォームなどのライフイベントのための資金としても活用できるのです。非課税期間内の好きなときに売却しても、売却益に税金はかかりません。

2-7.確定申告をしなくてもよい

つみたてNISA運用で得た利益は非課税所得であるため、確定申告は不要です。ただし、つみたてNISAの投資信託を売却した年に特定口座などの課税口座で運用益がある人は、原則として確定申告が必要となります。

2-8.商品が限られていて選びやすい

つみたてNISAの運用商品は金融庁が厳選した投資信託・ETFで、2022年4月26日時点で213本です。

現在、日本で販売されている投資信託は6,000本以上あり、その中から最適なファンドを選ぶのは初心者には困難といえます。つみたてNISAは対象が絞られているため、自分に合った商品を選びやすい仕組みとなっています。

3.つみたてNISAのデメリット

つみたてNISAは多くの人が取り組みやすい制度ですが、注意点もあります。

3-1.損益通算・繰越控除ができない

つみたてNISAでは運用益が非課税となりますが、制度上損失はなかったものと見なされます。そのため、特定口座などの課税口座との損益通算と損失の繰越控除が適用されません。

損益通算とは運用益と損失を相殺することです。繰越控除は損益通算の結果、損失が残ったときに最長3年間その損失を繰越して、翌年以降の利益から差し引ける制度です。

損益通算・繰越控除により投資にかかる所得を減らし、節税につなげられます。しかし、つみたてNISAで発生した損失は対象外となってしまうのです。

3-2.投資対象が限定される

つみたてNISAでは投資対象が一定の投資信託に限定されており、株式やREITには投資できません。株式の現物投資などをしたい人は、一般NISAを選ぶとよいでしょう(NISAとつみたてNISAはどちらか一方の選択制となります)。

3-3.非課税枠は再利用不可・繰越不可

つみたてNISAでは積み立てた資産の引き出しはいつでもできますが、引き出しても一度使った非課税枠は回復しません。そのため、資産のリバランス(売買により投資配分を調整すること)をするよりも、バランス型ファンドを購入するほうが望ましいといえます。

また、年間40万円の非課税枠が余った場合も、翌年には引き継げません。

3-4.ロールオーバーができない

一般NISAでは非課税期間終了後に翌年の非課税枠に運用資産を移管する「ロールオーバー」ができますが、つみたてNISAではできません。つみたてNISAの非課税期間終了後は特定口座などの課税口座に移管されます。

4.つみたてNISAで損をしない運用方法

以上のつみたてNISAのメリット・デメリットを踏まえ、堅実に運用する方法を解説します。

4-1.値上がりしても売らない

つみたてNISAで購入した投資信託が値上がりしたためにすぐ売ってしまうのは得策ではありません。つみたてNISAの非課税期間は20年と長期なので、わずかな投資期間で資産を売却するのは、利が少なく機会損失が大きいといえます。

毎月1万円を20年間、年3.1%で運用したと仮定すると、元本240万円は330万円になります。必ず値上がりする保証はありませんが、長期で積立を続ければ資産の成長が期待できるのです。

4-2.値下がりしても売らない

投資信託には値動きがあり、運悪く積立を始めてすぐに暴落するかもしれません。しかし、つみたてNISAのような長期運用では、暴落局面は数量を増やすチャンスと考えられるのです。長期運用には大きな価格変動がつきものなので、その場合にも積立を続けるようにしましょう。

4-3.できるだけ長く積み立てる

つみたてNISAを始めたら、できるだけ長く積立を続けるほうがまとまった資産形成につながります。コツコツ積み立てることで利益が利益を生んで資産が作られていきます。もし金銭的に積み立てる余裕がなくなったとしても、少額でも積立は続けたほうが将来的なメリットを期待できます。

4-4.分散投資を心がける

投資のリスクを軽減し、安定した収益を得る方法の一つに分散投資があります。投資対象や投資する地域を分散すると、一銘柄の暴落の影響が限定的になります。

投資信託やETFは、複数の資産に一気に投資ができる、分散投資のための金融商品です。さらに株式銘柄だけでなく投資対象も分散するには、バランス型ファンドを選ぶ方法があります。

4-5.商品の選択肢が多い金融機関を選ぶ

つみたてNISAの口座を開設するなら、取り扱う商品の多い金融機関を選びましょう。多くの金融機関で買付けられるのは、つみたてNISA対象の投資信託の一部です。選択肢が多すぎると選ぶのが難しくなりますが、少なすぎても自分に合った商品が見つからない可能性があります。

つみたてNISAの投資信託の取扱本数は、金融機関ごとに異なります。口座開設前に、その金融機関がつみたてNISAで取り扱う商品数を確認しましょう。

4-6.頻繁に商品を入れ替えない

つみたてNISAで、運用商品の入れ替えを繰り返すのは非効率です。

自分の積み立ている投資信託より好成績の商品があると、入れ替えたくなることもあるでしょう。しかし、頻繁に商品を入れ替えるとドルコスト平均法の効果が薄れてしまいます。同じ商品を値下がりしたときには多く買い、値上がりすれば資産全体が膨らむのがドルコスト平均法です。値上がりした商品に乗り換えると、効率的に数量を増やせなくなります。

購入によって非課税枠も消費されてしまうため、つみたてNISAでは運用商品の入れ替えはなるべく控えましょう。

4-7.生活費をつみたてNISAに充てない

家計が赤字で余裕がない人は、黒字になるまでつみたてNISAをやらないようにしましょう。日々の生活に必要なお金までつみたてNISAに回し、お金が足りなくなってしまっては本末転倒です。多少の損が出ても困らない程度の余裕ができてから、つみたてNISAを始めるとよいでしょう。

まとめ

つみたてNISAは長期の運用をサポートする非課税投資制度です。できるだけ長期間コツコツ積み立てることで、誰でもまとまった資産の形成が期待できます。将来的な資産形成を目指す方は、短期的な相場変動にとらわれず、積立を継続していきましょう。

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松田 聡子

松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。運営サイト : 経営体質改善のヒント