株のボラティリティ(価格変動幅)を測る方法と活用法は?投資基準や注意点も

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投資する銘柄を決めるときは、ボラティリティ(価格変動幅)を参考にすることが大切です。この記事では、株式投資においてボラティリティを測る方法と、投資する銘柄の決定方法について解説します。

目次

  1. ボラティリティとは
    1-1.ボラティリティが高い銘柄はハイリスク・ハイリターン
    1-2.ボラティリティが低い銘柄は手堅い運用に向いている
    1-3.ボラティリティの計算方法
  2. ボラティリティの活用方法
    2-1.スキャルピングやデイトレードなどの短期取引に利用する
    2-2.長期投資でもボラティリティは参考になる
    2-3.トレンドを作るかどうかを予測する
  3. ボラティリティを利用して投資するときの注意点
    3-1.ボラティリティでは株価の方向は判断できない
    3-2.ボラティリティが高い銘柄は流動性リスクがある
    3-3.ボラティリティは銘柄によって異なる
  4. ヒストリカル・ボラティリティの確認方法
  5. まとめ

1.ボラティリティとは

「ボラティリティ」とは、株価の変動割合を表す言葉です。そして、「ボラティリティが高い」という場合は、株価の変動が大きいことを意味し、「ボラティリティが低い」という場合は、株価の変動が小さいことを意味します。

1-1.ボラティリティが高い銘柄はハイリスク・ハイリターン

ボラティリティが高くなりやすい銘柄として、AI(人工知能)やフィンテックなど人気のテーマになっている中小型株や、新規上場したばかりの株などがあります。

ボラティリティが高い銘柄のメリットは、短期間で大きな利益を狙えることです。高ボラティリティ銘柄を購入すれば、数週間~数カ月で株価が2倍、3倍になることも珍しくありません。しかし、ボラティリティが高い銘柄は、購入や売却のタイミングが難しく、大きな損失をだす可能性があるというデメリットもあります。

ですから、信用取引などのレバレッジ取引を控え、損切りを徹底するなど、リスク管理をきちんとしなければいけません。

1-2.ボラティリティが低い銘柄は手堅い運用に向いている

ボラティリティが低い銘柄は、中長期の運用がしやすいというメリットがあります。株式市場が下落する局面でも株価が大きく下げる可能性は低いので、長期投資に向いているのです。

ただし、短期間で大きな利益を狙う場合は、ボラティリティが低い銘柄は向いていません。ボラティリティが低い銘柄は業績が一定している大型株やディフェンス銘柄が多く、配当利回りの高い銘柄もあるので、インカムゲイン狙いの中長期投資に向いているからです。

1-3.ボラティリティの計算方法

ボラティリティを測る指標として、HV(ヒストリカル・ボラティリティ)があります。ヒストリカル・ボラティリティは、過去の株価の変動率をもとに計算される指標で、統計学の標準偏差(σ)を用いるのです。

ヒストリカル・ボラティリティは、過去n日間の変動率を年率で表します。たとえば、60日間のヒストリカル・ボラティリティとは、過去60日間の株価のばらつきを年率で表したものになるのです。

ヒストリカル・ボラティリティは、株価の上げ下げに関係なく、一定の割合(レンジ)で推移していると小さくなります。逆に株価の変動が大きくなると、ヒストリカル・ボラティリティは大きくなります。つまり、売り買いのタイミングを示すのではなく、現在の相場がどのような状況なのかを判断するのに利用するのです。

2.ボラティリティの活用方法

それでは、株式の取引において、ボラティリティをどのように利用すればいいのかについて解説します。

2-1.スキャルピングやデイトレードなどの短期取引に利用する

スキャルピングとは、数秒や数分以内の超短期で売買を繰り返す取引で、デイトレードとは1日で取引を終了させる取引のことです。どちらも株の流動性があり、値動きが大きいことが大切なポイントになります。ある程度の値動きがないと、利益をだすのが困難だからです。

そこで、参考になるのがボラティリティです。ヒストリカル・ボラティリティが高い銘柄は、スキャルピングやデイトレードに適した銘柄といえます。

2-2.長期投資でもボラティリティは参考になる

ボラティリティは、短期取引だけでなく、長期投資でも参考になります。どの程度のリスクを取るかの判断材料になるからです。リスクが少ない運用を目指したい人は、ボラティリティが低い銘柄をメインに保有するようにしましょう。

反対に、リスクを取っても高リターンを目指したい人は、ボラティリティが高い銘柄に投資するのです。

2-3.トレンドを作るかどうかを予測する

ヒストリカル・ボラティリティが過去に比べて低い状態が続いていると、株価は小幅なレンジで推移していると考えられます。ただ、レンジ相場(一定の範囲内において株価が上下し続ける相場)が続けば続くほど、トレンドを作ったときの動きは大きくなる傾向にあります。

チャートを確認して三角持ち合いなどのチャートパターンを形成している場合、ブレイクアウトを狙った投資手法が有効になるのです。

3.ボラティリティを利用して投資するときの注意点

ボラティリティを利用して取引するときは、以下の点に注意してください。

3-1.ボラティリティでは株価の方向は判断できない

ボラティリティは株価の変動の大きさを表しているので、株価の方向性を判断することはできません。ですから、ほかのテクニカル指標を用いて、銘柄を分析する必要があります。

3-2.ボラティリティが高い銘柄は流動性リスクがある

ボラティリティが高い銘柄は、流動性が低い傾向にあります。流動性とは、株価の売買のしやすさのことです。流動性があまりにも低いと、買いたい値段で買えない、売りたい値段で売れないという「流動性リスク」があるので注意が必要です。

ボラティリティが高い銘柄は、値動きの大きさだけでなく、流動性があるのかどうかも確認して購入するようにしてください。

3-3.ボラティリティは銘柄によって異なる

ボラティリティは銘柄によって異なるので、過去の水準と比べて安いか高いかを判断するようにしてください。ただ、代表的な株価指数である日経平均株価のヒストリカル・ボラティリティは、20を切ると低いと判断し、40を超えると高いと判断します。あくまでも一つの目安に過ぎませんが、取引するときの参考にしてください。

4.ヒストリカル・ボラティリティの確認方法

SBI証券などのスクリーニング機能を利用すれば、過去60日間のヒストリカル・ボラティリティを確認できます。これは、過去60日間の株価の終値の散らばり具合を標準偏差で表したものです。

スクリーニングを使えば、簡単に銘柄ごとのボラティリティがわかるので便利です。

まとめ

ボラティリティの大きさは、銘柄によって異なります。銘柄選びのときはボラティリティを参考にし、あまりにも値動きが大きい銘柄は取引しないなどのリスク管理を徹底するようにしてください。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011