株式投資の基礎知識「テクニカル分析」「ファンダメンタル分析」とは?

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株式投資は「利益を上げるため」に行います。そのために大切になるのが、株価の値動きや今後の相場を分析して予測することです。株式相場を分析する方法には「テクニカル分析」「ファンダメンタル分析」の2つの手法があります。

今回は、テクニカル分析とファンダメンタル分析がそれぞれどのようなものなのか、解説していきたいと思います。

目次

  1. テクニカル分析とは
    1-1.テクニカル分析の種類
    1-2.テクニカル分析のメリット
    1-3.テクニカル分析のデメリット
  2. ファンダメンタル分析とは
    2-1.ファンダメンタル分析の種類
    2-2.ファンダメンタル分析のメリット
    2-3.ファンダメンタル分析のデメリット
  3. まとめ

1.テクニカル分析とは

テクニカル分析とは、株価の値動きや相場の予測を「データ」「経験則」などから分析する方法のことを言います。テクニカル分析の特徴は、「分析した結果が比較的早い段階で結果として現れる」ということです。そのため、短期的なトレードを行う場合には向いている手法といえます。

1-1.テクニカル分析の種類

一口にテクニカル分析といっても、分析するための材料には実にさまざまなものがあります。

主なテクニカル分析の種類には、以下のようなものがあります。

トレンド分析
(相場の動く方向を分析)
・移動平均線
・一目均衡表
・ボリンジャーバンド
・バラボリック
・ポイントアンドフィギュア
・ペンタゴンチャート
オシレーター分析
(買われすぎ・売られすぎを分析)
・RSI
・ストキャスティクス
・DMI
・MACD
・CCI

上記した以外にもテクニカル分析の対象となる材料はたくさんあります。しかし、そのすべてを理解する必要はありません。

  1. 上昇トレンドと下降トレンドの転換点を見出すこと
  2. 株価に対して買われすぎ・売られすぎを見出すこと

上記2点について、自分なりに分析できれば良いでしょう。そのため、自分が気になる材料をいくつか組み合わせて使い、それで相場分析ができれば問題ありません。

1-2.テクニカル分析のメリット

短期的な相場分析ができるテクニカル分析には、以下のようなメリットがあります。

  1. 投資タイミングを視覚的に判断することができる
  2. チャートに注目するだけで株価を分析できる
  3. 経済に関する知識がなくても株価の分析や予測が可能
  4. 分析力が上がれば相場を予測する精度も上がる
  5. 機関投資家との情報格差が少ない

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

投資タイミングを視覚的に判断することができる

ある銘柄の株価の動きを確認するためには、株価チャートを使用することになります。

株価チャートは株価の値動きをグラフ化したものです。また、移動平均線やボリンジャーバンド、MACDなどといったデータの推移も株価チャート上に表示することが可能です。

このように、視覚的に判断しやすいというのはテクニカル分析を利用する大きなメリットといえるでしょう。

チャートに注目するだけで株価を分析できる

テクニカル分析を行う場合、株価チャート上に必要な情報をすべて記載することが可能です。また、それ以外の資料を引っ張り出してきて分析する必要もありません。

つまり、株価チャートのみで分析を完結させることができます。そのため、比較的手軽に相場分析を行えるといえます。

経済に関する知識がなくても株価の分析や予測が可能

株価の値動きを表す株価チャートと、それぞれのテクニカル分析に関する知識があれば、テクニカル分析を行うことが可能です。

海外や国内の経済状況に関する知識があれば分析結果に反映させることも可能ですが、あまり知識がなくても分析ができるというのも、テクニカル分析の特徴です。

この点もテクニカル分析が手軽に行える要因であり、利用するメリットとなります。

分析力が上がれば相場を予測する精度も上がる

テクニカル分析を行い、その結果を踏まえて研究をしていけば、おのずと分析力はアップしていきます。そして、分析力の向上は、今後の相場観の予測精度の向上にもつながっていくことになります。

そのため、テクニカル分析に本気で取り組めば、利益を上げやすくなるといえます。

機関投資家との情報格差が少ない

株式相場には、個人投資家のほかに機関投資家も参加しています。機関投資家とは、大量の資金で株式の運用を行う団体のことです。保険会社や銀行、信用金庫などがそれにあたります。

機関投資家は、企業の決算内容など財務に関する情報を仕入れるスピードが速く、個人投資家がそれについていくのは、かなり難しいものです。そのため、個人投資家が入手できる情報はどうしても少し遅れたものになってしまいます。

しかし、テクニカル分析では株価やチャートをもとに分析するため、同じタイミングで情報を得ることが可能です。

このように機関投資家との情報格差が少なくなるというのも、テクニカル分析を行うメリットになるでしょう。

1-3.テクニカル分析のデメリット

一方で、テクニカル分析にはデメリットも存在します。具体的には以下の2つがデメリットとなります。

  1. 分析結果は絶対ではない
  2. 突発的なことには対応できない

それぞれ見ていきましょう。

分析結果は絶対ではない

普遍的な結論から言うと、株式相場を完璧に予測することはできません。つまり、いくらテクニカル分析を行ったところで、分析結果と必ず同じ動きをするとは限らないということです。

また、機関投資家のように大きな資金力があると、わざとシグナルとなるような売買を行い、その逆を行くことで利益を上げようとするケースがあります。これを「ダマシ」といいます。

このように、分析した予測とは違う結果になった場合、適切に損切り(ロスカット)を行わなければ、損失が拡大してしまう可能性があります。

損切りは、株取引を行ううえでの基本となりますが、心理的な負担が大きいため相応の精神力が必要です。

テクニカル分析を行う場合は、投資家の柔軟な対応力もセットで必要になるということを理解しておきましょう。

突発的なことには対応できない

株価というのは、政治や経済の情勢に影響するような出来事やニュースなどに大きく影響されます。仮にこのようなことが起こった場合、通常の相場とは全く違った値動きになることがあります。

テクニカル分析は、過去のデータに基づいたものですが、それはあくまでも「平時」の場合のもの。突発的な出来事には対応しきれないというデメリットがあることも覚えておくべきでしょう。

2.ファンダメンタル分析とは

ファンダメンタル分析とは、企業の財務状況や業績をもとにして、「企業の本質的な価値」「市場価格とのギャップ」を分析する方法をいいます。「ファンダメンタルズ分析」とも呼ばれることもあります。

そもそもファンダメンタル(ズ)というのは、経済指標のことを指します。株式取引におけるファンダメンタルは、企業の財務状況や業績、日本経済や世界経済全体の成長性などを指すことになります。

企業の本来の価値から適切な株価を見出し、現在の株価と照らし合わせて割安なら購入して、株価の上昇を待つことになります。

このような特徴から、ある程度長期的な株式取引に向いている分析方法といえます。

2-1.ファンダメンタル分析の種類

ファンダメンタル分析で使用する指標や数値にもさまざまなものがあります。

代表的なものとして、企業の業績状況や財務状況のデータ、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)などの指標が使用されます。

さらに、国の政策、競合企業と比較した際の優位性、市場成長率など、さまざまな視点から企業の状態を分析することになります。

2-2.ファンダメンタル分析のメリット

ファンダメンタル分析には、以下の2つのメリットがあります。

  1. 短期的な値動きやトレンドにとらわれなくて済む
  2. 長期投資で大きな利益を上げることができる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

短期的な値動きやトレンドにとらわれなくて済む

先述したように、ファンダメンタル分析は長期的な投資に向いている分析手法です。

仮に短期的に株価が下落した場合でも「上昇してくるまで待つ」ことができ、短期的なトレードのように頻繁に損切りの判断に迫られることがないので、心に余裕を持って投資を行うことができます。

このように、短期的な値動きやトレンドにとらわれる必要がないということは、ファンダメンタル分析の大きなメリットといえます。

長期投資で大きな利益を上げることができる

ファンダメンタル分析では、市場の状況や企業の将来性なども分析材料となります。例えば、新規上場した企業に目をつけ株式を購入しておくと、数年後に株価が大きく上昇していた、ということもあり得ます。

ファンダメンタル分析が行えるようになると、長期投資でも大きな利益を上げることができるようになるのです。短期的なトレードでは味わえない「夢」を託すような投資も、ファンダメンタル分析なら可能にしてくれます。

2-3.ファンダメンタル分析のデメリット

一方で、ファンダメンタル分析には、以下の2つのデメリットがあります。

  1. 機関投資家との情報格差が大きい
  2. 分析結果や利益が確定するまでに時間がかかる

機関投資家との情報格差が大きい

テクニカル分析のメリットでも解説したように、企業の財務状況などの情報を手に入れる場合、個人投資家は機関投資家よりも不利になります。機関投資家には、圧倒的な情報収集能力があるためです。

そのため、情報を得るのが遅くなり、割安のつもりが実は割高な銘柄を購入してしまい、投資が失敗に終わるケースが発生することがあります。

分析結果や利益が確定するまでに時間がかかる

ファンダメンタル分析は長期投資に向いています。しかしそれは相場の予測や利益などの「結果」が出るまでにかなりの時間がかかる、ということにもなります。

その結果が見込みと外れてしまうことも当然考えられますので、ある程度株式投資の経験値が高い方に向いている分析手法といえるでしょう。

まとめ

テクニカル分析とファンダメンタル分析には、それぞれ特徴とメリット・デメリットがあります。そのため、どちらが優れているのか決めることはできません。また、どちらかに頼り切ってしまうのも危険といわざるを得ません。

自分の投資スタイルに合わせて、分析手法の比重のバランスを取りながら、適切な投資判断を行うことが大切になります。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。