株式投資の大きなメリットの一つが「複利」です。長期で保有すればするほど複利の効果は大きくなります。
ただ、株式投資は元本が保証されているわけではありません。この記事では株式投資における複利運用の始め方とメリット、注意点について解説します。
※この記事は2021年7月29日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- 複利効果とは
- 株式投資の2つの利益
- 複利運用では「72の法則」を覚えておくと便利
- 複利運用のメリット
4-1.資産形成のスピードが単利運用よりも早い
4-2.投資初心者でもやりやすい - 複利運用のデメリット
5-1.元本が保証されているわけではない
5-2.資金が拘束される - まとめ
1.複利効果とは
株式投資では中長期で運用することによって、運用して得られた利益がさらに運用されて増えていく「複利効果」が期待できます。そして、複利効果と投資期間の間には関係があり、投資期間が長いほど、複利効果も大きくなる傾向にあるのです。
たとえば、投資元本を100万円とし、年率10%で複利運用した場合の10年後の投資成果は、以下のように259万円になります。
投資元本 | 100万円 |
1年後 | 110万円 |
2年後 | 121万円 |
3年後 | 133万円 |
4年後 | 146万円 |
5年後 | 161万円 |
6年後 | 177万円 |
7年後 | 195万円 |
8年後 | 214万円 |
9年後 | 236万円 |
10年後 | 259万円 |
10年間、投資成果を投資元本に組み入れなかった(単利運用した)場合の合計は200万円(投資元本100万円+運用益100万円)になるので、約60万円近くの差になるのです。
2.株式投資の2つの利益
再投資する株式の利益には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類があります。キャピタルゲインとは、保有している株式を売却することによって得られる売買差益のことです。たとえば、10万円で購入した株式が15万円になった時に売却した場合、差額の5万円がキャピタルゲインになります(手数料・税金を考慮せず)。
一方のインカムゲインとは、株式を保有している間に得られる利益のことです。株式では、配当金がインカムゲインにあたり、株式を保有し続けることで継続的な収入を得ることが期待できます。東証一部全体の予想配当利回りは1.78%です(参照:日本経済新聞「国内の株式指標」 数値は執筆時点)。
通常、配当利回りが3%以上の株が「高配当銘柄」とされます。インカムゲイン狙いの投資では、配当利回りが3%以上の株を狙うようにすると効率的です。
キャピタルゲインはインカムゲインに比べ、大きな利益を狙えます。ただし、インカムゲインはそれ単体ではマイナスになることがないのに対し、キャピタルゲインを狙った場合は価格が大きく下がり、損失がでる可能性もあるので注意が必要です。
長期投資で複利効果を期待するには、損益のブレが大きいキャピタルゲインではなく、一定の収益が期待できるインカムゲインをメインに考えるようにするのが無難です。
3.複利運用では「72の法則」を覚えておくと便利
複利運用する場合、「72の法則」を覚えておくと便利です。72の法則とは、お金が2倍になる期間が簡単にわかる計算式です。計算式は、以下の通りです(ただし、算出される期間は大まかな値であって、正確な数字ではありません)。
72÷金利=お金が2倍になる期間
たとえば、金利3%でお金を運用した場合、「72÷3=24」になるので、約24年で2倍になるのです。配当利回り3%の株式を保有して配当金を再投資していた場合、約24年で投資元本が2倍になります(ただし、税金や手数料などは考慮せず)。
複利運用する場合のおおまかな目安になるので、「72の法則」は覚えておくといいでしょう。
4.複利運用のメリット
それでは、複利運用のメリットについて解説します。
4-1.資産形成のスピードが単利運用よりも早い
複利運用では株式投資で得た収益を運用元本に組み込むので、運用元本が次第に大きくなり、年数が経つごとに収益金額が増えていきます。一方の単利運用は利益を出金するので、運用元本は常に変わりません。複利運用と単利運用をグラフ化すると、複利運用の元本と収益の合計は曲線状に伸びていきますが、単利運用では直線になります。
複利と単利では、運用期間の最初はあまり差がありませんが、運用期間が長くなればなるほど差は開いていくのです。このように複利運用の最大のメリットは、単利運用に比べて資産形成のスピードが速いことです。長期での資産形成を行おうと考えている人は、複利運用を心がけるようにしてください。
4-2.投資初心者でもやりやすい
株式投資での複利運用は、配当金を再投資することが基本です。配当金がでた時、もしくはある程度配当金が溜まった時に再投資すれば良いので、タイミングを計る必要はありません。ですから、投資初心者でも取り組みやすい投資手法といえます。
5.複利運用のデメリット
複利運用のデメリットには、主に次の2つがあります。
5-1.元本が保証されているわけではない
複利運用は長期での資産形成に適していますが、元本が保証されているわけではありません。また配当金を再投資する場合でも、毎年必ず配当金の額が決まっているわけではありません。企業業績によっては、配当金が少なくなったり、配当金がなくなったりする可能性もあるのです。また、株価が下がれば損失(含み損)にもなります。
ただ、短期的な株価の値動きに一喜一憂するのではなく、10年、20年といった長期での運用を心がけてください。
5-2.資金が拘束される
配当金を再投資すると、長期間資金が拘束されてしまいます。配当金で何か買い物したり、生活費に充てたりしたいと考えている人には、複利運用は適していません。
ただ、株式投資は基本的に長期での資産形成を行うものです。複利運用でおこなう投資は、生活費とは別の資金で運用するようにしてください。
まとめ
複利運用は長期投資に適した手法です。配当金(インカムゲイン)をメインにした運用を考えるようにしましょう。ただし、株式投資は元本が保証されているわけではないので、余裕資金での運用をするようにしてください。
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山下耕太郎
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