個人投資家が取引できる先物取引には、主に株価指数先物取引と商品先物取引があります。株価指数先物取引は、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指数を取引し、商品先物取引はガソリンや金、とうもろこしなどの商品を取引するものです。この記事では株価指数先物取引の種類とメリット・デメリットについて解説します。
目次
- 先物取引とは
- 先物取引のメリット
2-1.売りから取引できる
2-2.レバレッジ取引ができる
2-3.夜間でも取引できる - 先物取引のデメリット
3-1.取引できる期間が決まっている
3-2.大きな損失がでる恐れがある - 代表的な株価指数先物
4-1.日経225先物
4-2.TOPIX先物
4-3.東証マザーズ指数先物 - まとめ
1.先物取引とは
先物取引とは、将来の売買について現時点で約束する取引のことです。現時点であらかじめ売買価格や数量を約束し、そして将来の約束の日が来た時点で、その時の価格にかかわらず約束した価格で売買します。その時の価格差が利益になります。
2.先物取引のメリット
先物取引の主なメリットは、以下の3つです。
2-1.売りから取引できる
先物取引では、相場が上昇すると考えたときには「買い」、下落すると考えたときには「売り」から取引できます。現物株取引では株価が上がらないと利益になりませんが、先物取引は下落相場でも利益を狙えるのです。
2-2.レバレッジ取引ができる
現物株取引で100万円の株式を購入する場合、100万円の資金が必要になります。一方の先物取引では、証拠金と呼ばれる担保を証券会社などに入れて取引を行います。証拠金を入れて大きな金額を取引することを「レバレッジ取引」といいます。
たとえば、100万円の元本に対して10万円の証拠金で先物取引ができる場合、最大10倍のレバレッジをかけられるのです。資金効率の高い運用ができるというのが、先物取引の大きなメリットになります。ただし相場の見通しを誤れば損失も大きくなるので、適切な資金管理が大切です。
なお1枚当たりの証拠金は、日本証券クリアリング機構のプライス・スキャンレンジをもとに、各証券会社が決定しています。プライス・スキャンレンジとは、先物取引1単位の取引に最低限必要な証拠金のことです。
2-3.夜間でも取引ができる
現物株の取引は、9時~11時30分(前場)と12時半~15時(後場)と取引時間が5時間しかありません。しかし、大阪取引所の株価指数の先物取引は、8時45分~15時10分(日中立会)と、16時30分~翌5時30分(夜間取引)と取引時間が長いという特徴があります。夜間取引を利用すれば、欧州や米国株式市場の値動きを見ながらリアルタイムで取引できるのです。
3.先物取引のデメリット
一方、先物取引にはデメリットもあるので解説していきます。
3-1.取引できる期間が決まっている
現物株は、その企業が倒産しなければ何年でも株式を保有できます。しかし、先物取引では取引できる期間が決まっています。期間内であればいつでも取引できますが、期日が来たら自動的に決済されるのです。そのため中長期的な投資には不向きです。
3-2.大きな損失がでる恐れがある
先物取引はレバレッジ取引なので、少ない証拠金で大きな利益を狙えますが、大きな損失がでるリスクもあります。値動きによっては、証拠金以上の損失がでる可能性もあるのです。
4.代表的な株価指数先物
それでは、代表的な指数先物取引について解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
4-1.日経225先物
- プライス・スキャンレンジ(2020年10月5~9日)
- 日経225先物 120万円
- 日経225mini 12万円
日経225先物は、日経平均株価を対象とした先物取引です。日経平均株価とは、トヨタやソニーなど日本を代表する225社の株価をもとに、日経新聞社が算出・公表している株価指数です。日経225先物取引では、将来の日経平均株価を現在の市場価格で売買できます。しかし期限までに決済しない場合は、自動決済されて取引は終了するのです。
日経225先物取引の取引単位は1,000倍。日経平均株価が25,000円の場合、2,500万円が最低取引単位です。日経225先物取引の金額が大きすぎるという人には、日経225先物のミニサイズ(10分の1)である日経225mini取引があります。
ただし、日経225先物取引は証拠金取引なので、プライス・スキャンレンジをもとに証券会社がそれぞれ証拠金を決めます。10月5~9日の日経225先物のプライス・スキャンレンジは120万円。ネット証券最大手のSBI証券の証拠金掛目は100%なので、120万円で日経225先物の取引ができるのです(掛目は証券会社や時期によって変わります)。
4-2.TOPIX先物
- プライス・スキャンレンジ(2020年10月5~9日)
- TOPIX先物 75万円
- TOPIX先物mini 7万5千円
TOPIX先物取引は、東証株価指数(TOPIX)を対象にした株価指数先物取引。日経225先物取引は225銘柄が対象ですが、TOPIXは東証1部に上場している2,178銘柄(2020年10月5日時点)が対象なので、より幅広い銘柄に分散投資しているのと同じ効果があります。
TOPIX先物の取引単位はTOPIXの1万倍ですが、10分の1サイズのTOPIXmini(ミニ)もあります。
4-3.東証マザーズ指数先物
- プライス・スキャンレンジ(2020年10月5~9日)
- 東証マザーズ指数先物 13万3千円
東証マザーズ指数先物は、東証マザーズに上場しているすべての銘柄を対象にした株価指数先物。マザーズは東京証券取引所が1999年に開設した市場で、成長性が期待できるベンチャー企業を対象にしています。
日経平均株価やTOPIXは大型株中心なので、ベンチャー企業中心のマザーズとは異なる値動きが期待できるというメリットがあるのです。また、マザーズ銘柄を保有している投資家は、ヘッジ目的としても利用できます。
まとめ
個人投資家が取引できる先物取引には、株価指数先物取引と商品先物取引があります。今回は、株価指数先物取引の仕組みと特徴について解説しました。
もっとも取引が活発におこなわれているのが、日経225先物取引です。それ以外にもTOPIX先物取引やマザーズ先物取引などが売買できます。先物取引を利用すれば、下げ相場でも利益を狙える、レバレッジ取引で大きな利益が狙えるというメリットがあります。
ただし、レバレッジ取引は大きな損失がでる可能性があるので、リスク管理をきちんとして、想定外の損失を抱えないように注意してください。
山下耕太郎
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