シャープレシオの使い方は?計算法やシャープレシオが高い上位5ファンドも

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シャープレシオとは、投資信託のパフォーマンスを分析するための指標で、数値が高いほど効率の良い運用がされている証拠となります。逆にシャープレシオが低いファンドは、リスクを取った割にリターンを得られていない、という見方ができます。

シャープレシオはファンドの投資指標の中でも参考になるポイントです。この記事では、シャープレシオについて詳しく解説しています。投資信託の分析指標が気になる方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 効率的運用を評価するシャープレシオ
    1-1.数値の高さが効率をあらわす
    1-2.リスクとリターンの関係
  2. シャープレシオの計算方法
    2-1.リターンをリスクで割る
  3. シャープレシオの見るべきポイントと活用方法
    3-1.同じ通貨建ての商品で比較する
    3-2.同じ期間での比較
  4. シャープレシオでファンドを評価するときの注意点
    4-1.過去の実績を見る指標
    4-2.自分のスタイルに適しているかわからない
  5. シャープレシオを基準としたファンドランキング
  6. 投資指標を活用してファンドを分析
    6-1.【トータルリターン】どれだけ値上がり(値下がり)したか
    6-2.【標準偏差】どれだけ値動きの幅が大きかったか
  7. まとめ

1.効率的運用を評価するシャープレシオ

シャープレシオとは?指標の概要を解説します。

1-1.数値の高さが効率をあらわす

シャープレシオを一言で言い表すと、「リスクとリターンの兼ね合いを数値化したもの」といえます。リスクをとって運用した結果、リスクゼロの安全資産から得られるリターンをどの程度上回ったのかを比較できるように数値化した指標です。

リターンだけを見るのではなく、とったリスクに対してどのようなリターンを得られているのかを見ることができます。

シャープレシオの数字が大きい場合、以下のように分析します。

  1. リスクの割にリターンが大きい
  2. 効率よくリターンをとっている
  3. 運用成績が良い

できるだけ資産を危険にさらさずにリターンを上げる、とったリスクに見合うリターンを上げることが目指すべき良い運用とされています。

1-2.リスクとリターンの関係

金融商品のリスクとは、リターンの振れ幅があることを指します。リスクが大きいとは、大きく儲かるかもしれないし、大きく損をするかもしれない、という意味を含んでいます。リスクを抑えようとすると得られるリターンは低くなり、大きなリターンを狙って儲けようとする場合、同等のリスクを取らなければいけません。

したがって、リスクを低く抑えつつ、高いリターンを狙うローリスク・ハイリターンの金融商品は存在しないのです。結果的にローリスク・ハイリターンとなった場合でも、想定されるリスクとリターンの範囲内の動き、ということになります。

2.シャープレシオの計算方法

シャープレシオの計算式と、計算に使う項目について以下に解説します。

2-1.リターンをリスクで割る

シャープレシオの計算式は以下の通りです。

シャープレシオ=ファンドの超過リターン÷ファンドの年率リスク

一言で解説すると、リターンをリスクで割った数値がシャープレシオとなります。以下にてシャープレシオの計算式にあるリターンとリスクについて、さらに詳しく解説します。シャープレシオの値は、算出された数値が掲示されており、自力で計算する機会はあまりないと思いますが、各項目の意味は参考程度に軽くおさえておきましょう。

投資商品の年率リスク

年率リスクとは、年間の価格の振れ幅を指す言葉で、標準偏差とも呼ばれます。ある一定の年数を設定して、騰落率の平均値を計算し、年ごとにリターンから平均値との差を求めます。

そこから偏差を2乗して一定期間の年ごとの偏差を足し、さらに年数で割って平方根を出す、という手間のかかる計算をもって標準偏差が算出されます。

投資商品の超過リターン

超過リターンは、ファンドの年率リターンから無リスク資産の月次収益率の平均を引いて、それに12をかけて年換算で計算したものです。無リスクリターンの算出方法には色々な基準がありますが、無担保翌日コールレートの月中平均値が使われることもあります。

3.シャープレシオの見るべきポイントと活用方法

シャープレシオでファンドの成績を分析する時の見るべきポイントを紹介します。

3-1.同じ通貨建ての商品で比較する

シャープレシオの計測は、同じ通貨建てで行う必要があります。シャープレシオの計測で使われる無リスク利子率は日本なら0%ですが、アメリカでは米国国債3ヶ月金利を適用するため0%ではありません。

為替変動の影響も受けますので、異なる通貨でシャープレシオを計測する時は、リターンを同じ通貨に換算して計測します。国内の投資信託はリターンは円換算になっていますので、特に気にする必要はありませんが、基礎知識として知っておくと良いでしょう。

3-2.同じ期間での比較

シャープレシオの比較には、同じ期間のデータを使います。一定の期間に紐づく指標なので、異なる期間を比較しても意味がありません。例えば、リーマンショックがあった2008年を含むと含まないとでは、数値に大きな差が出てしまいます。

シャープレシオに限らず、トータルリターンや騰落率にも同じことが言えます。

4.シャープレシオでファンドを評価するときの注意点

シャープレシオで運用成績を見るときの注意点を2つ解説します。

4-1.過去の実績を見る指標

シャープレシオは今までの実績を確認するための指標で、これからの運用を予想するものではありません。過去から今までの成績が継続してよかった場合でも、シャープレシオで今後の見通しを測ることはできません。

将来のリターン予測については、別に測定する必要があります。

4-2.自分のスタイルに適しているかわからない

シャープレシオはファンドを選ぶ時の判断基準として有効な指標ですが、数値だけでは自分の投資スタイルにあっているかどうか、判断できません。

以前、日本国債や米国国債のシャープレシオが高い時期がありましたが、この場合、リターンがよかったからではなく、元々のリスクが低いためシャープレシオが高く出ていたのでした。

リスクをとって高いリターンを狙いたい人にとって、このシャープレシオは参考になりません。シャープレシオと自分の取れるリスク、希望するリターンをあわせてファンドの内容を見ていく必要があります。

5.シャープレシオを基準としたファンドランキング

楽天証券の2021年12月15日時点の情報です。

項目 シャープレシオ 標準偏差
1年 3年 5年 1年 3年 5年
企業価値成長小型株ファンド 0.89 1.09 1.28 21.21 27.73 25.20
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型 1.77 1.27 1.25 15.16 19.85 17.29
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Aコース(為替ヘッジあり) 1.76 1.28 1.25 15.21 19.86 17.31
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 2.34 1.24 1.20 15.08 21.63 19.39
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし) 2.35 1.25 1.20 15.18 21.70 19.47

楽天証券のスーパーサーチを使って、5年のシャープレシオが高い上位5ファンドを抜粋してみました。リターンのばらつきを確認する標準偏差と併せて見ると、上位5ファンドはややリスクが高めでした。

シャープレシオが高いファンドの運用成績を確認したところ、上位5ファンドは分配金をだしつつ5年で20%以上のリターン成績を挙げています。

シャープレシオの良い順に見てみると、違う角度からファンドの成績を確認することができます。標準偏差と併せてみるとリスクの大きさも確認でき、参考指標として有効活用できます。

6.投資指標を活用してファンドを分析

投資指標はファンド分析の際にとても役立つ、重要な数値です。シャープレシオ以外の投資指標について、以下2項目を解説します。

6-1.【トータルリターン】どれだけ値上がり(値下がり)したか

トータルリターンを一言でいうと、一定の期間内に投資によって得られる総合的な収益で、譲渡益や値上がり益だけでなく、再投資された分配金なども含まれます。トータルリターンは、投資信託の総合的な運用成績を表すときに用いられます。

似た指標である騰落率は基準価額を基準に計算しますので、毎月分配金を出しているファンドの場合、損益を見誤る可能性がありますが、トータルリターンは数値がそのまま損益となっているため、運用成績の判定に役立ちます。

6-2.【標準偏差】どれだけ値動きの幅が大きかったか

標準偏差は、リターンとのぶれ幅を示す数値で、大きいほどリスクが大きく、小さいほどリスクも小さい、という見方ができます。

各証券会社のWEBサイトで確認する時は、数値が大きいほどプラスになる可能性とマイナスになる可能性が混在している、と見てもよいでしょう。

まとめ

シャープレシオや標準偏差は、計算方法や根拠となる数値の理解は難しいのですが、分析に使う数値として有効です。シャープレシオの数値と、実際の運用成績は比例しており、標準偏差と併せて確認するとファンド選びの心強い指標となるでしょう。

注意すべきポイントは、数値だけではファンドの特性や将来の動きを判断できない点です。過去から現在までの一定期間におけるファンドの成績として判定しなければいけません。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。