今回は、The Sandboxのアルファ版について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- The Sandboxの概要
1-1.The Sandboxとは?
1-2.The Sandboxのコンテンツ - The Sandboxのアルファ版が公開
2-1.11月20日~12月20日までの期間限定
2-2.ALPHA PASS
2-3.P2E(Play to Earn)が始動 - The Sandboxの今後の展開
- まとめ
CoincheckのNFTマーケットプレイスでも土地(LAND)が取り扱われて話題となったThe Sandbox(ザ・サンドボックス) ですが、遂に先日待望のアルファ版がローンチされました。ここではThe Sandboxのアルファ版について解説します。
①The Sandboxの概要
まずは、The Sandbox の概要について解説します。
1-1. The Sandboxとは?
The Sandboxはユーザー作成型のゲームであり、ユーザーはプリセールで売りに出される仮想空間上(メタバース)の土地(LAND)を買い、キャラクターやアイテム・ゲーム・イベントを作成し、それらをNFT(Non Fungible Token、ノン・ファンジブル・トークン)化して市場で取引できます。
ゲーム自体は10年ほど前からパソコンやスマートフォンなどで存在しています。2019年10月時点に既に4,000万ダウンロード・月間ユーザー100万人以上と、注目度の高いプロジェクトです。
ブロックチェーンゲーム版のThe Sandboxは、イーサリアム上に展開されるゲーム空間のプラットフォームだと考えてください。ブロックチェーンゲームでは、ユーザーがゲーム内でのポイントを仮想通貨として受け取ったり、獲得したアイテムを他のプレイヤーに販売したりできます。
The Sandboxの初期投資家には、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーで成功したゲーム業界大手のスクエア・エニックスや、アタリコンピューター、NFTの元祖「CryptoKitties(クリプトキティ―ズ)」を生み、「NBA Top Shot」でも成功したDapper Labsなどが名を連ねます。加えて2021年11月には、ソフトバンクグループ(SBG)傘下のビジョン・ファンド2などから9300万ドルを調達したことが報じられてます。
日本では仮想通貨取引所コインチェックのNFTマーケットプレイス(β版)で、The Sandboxの仮想空間上の土地(LAND)が販売され、すぐに完売したことでも話題となりました。
1-2. The Sandboxのコンテンツ
The Sandboxのコンテンツ内容は、大きく分けて三つあります。
- Metaverse(ゲーム空間)
- ゲーム開発SDK
- NFTマーケットプレイス
The Sandboxの特徴として、Metaverse内にそれぞれのLANDにミニゲームが設置され、ユーザーは好きなゲームを選ぶことができます。そのようなスタイルは、特にアメリカを中心として人気の高いROBLOXと似ています。
また、Axie InfinityのようにP2E(Play to Earn、プレイして稼ぐ)の要素があり、プレイヤーはThe Sandbox内でのクエストを完了することで、報酬としてネイティブトークンであるSANDを獲得することができます。さらに、クリエーターがアバターやアイテム、ゲームなどを制作して、それをNFTマーケットプレイスで販売したり、ゲームをLANDオーナーに貸し出すなどして、報酬を得ることのできる仕組みを用意されています。
DAOの立ち上げも構想されており、将来的には5,000以上のゲームとイベントを開催する自律的なMetaverseの構築が目指されています。
②The Sandboxのアルファ版が公開
次に現在公開されているThe Sandboxのアルファ版の詳細について解説します。
2-1. 11月20日~12月20日までの期間限定
2021年11月20日~12月20日までの期間限定で、アルファ版が公開されています。これは、The SandboxのMetaverseの一部を限定公開したものですが、The Sandboxの世界観を十分に体感することのできるクオリティの高いコンテンツが公開されています。
The SandboxのクエストをクリアすることでMetaverse上のゲームで遊ぶことができます。
2-2. ALPHA PASS
また、アルファ版の公開に合わせて「ALPHA PASS」が販売されました。「ALPHA PASS」は5,000個限定発売の特典付きパスポートです。これを保持することでアルファ版で公開されているすべてのミニゲームの使用と、クエストを完了することで最大1,000SANDの報酬の獲得と3個のNFTレアアイテムが獲得できるパッケージ内容となっています。
ALPHA PASSを購入するための方法は3つあります。
- LANDオーナーの場合は、「The Raffle」に登録して抽選に当たった場合に手に入ります
- アルファ版のMetaverse内の「アルファ Hub」で行われるデイリーコンテストの参加者から、抽選でゲットできます
- OpenSeaでALPHA PASSを購入する方法、OpenSeaでは12月13日現在で約5,000ドルのプライシングがされています
2-3. P2E(Play to Earn)が始動
今回のアルファ版のローンチで初めて、The SandboxのP2Eがスタートしています。アルファ版のP2Eの仕組みは非常にシンプルで、いくつかのクエストが用意されておりそのクエストを完了することで、最大1,000SANDの報酬が獲得できるというものです。
今後は、クエストの完了や大会での入賞、他のプレイヤーとの対戦に勝利することで報酬をSANDで手にいられるようになっていくでしょう。
③The Sandboxの今後の展開
最後にThe Sandboxの今後の主な予定について、ロードマップを元に時系列で解説します。
- DeFiステーキングの開始
- Fist P2E season
- 高品質の体験が提供できるLANDオーナーへのMetaverseの解放
- DAOの立ち上げ
- バーチャルコンサートとゲームタイトル「ウォーキングデッド」のローンチ
- モバイル版のローンチ
ここまでを2022年内に実行することが予定されています。
2022年の早い段階で、P2Eの第一シーズンがスタートし、クオリティの高いゲームを厳選してMetaverseを解放していき、夏頃にはバーチャルコンサートと人気ゲームタイトルのウォーキングデッドのローンチされる予定です。
The Sandboxの強みとしては、スクエア・エニックスなどゲームの運営ノウハウを持つ企業から投資を受けていることや、The Sandbox自体がすでに人気ゲームであったため、The Sandboxの固定ファンをMetaverseにも誘致しやすいというアドバンテージを持っている点です。
また、Voxelアートのクオリティも高く、コンバーターを使うことでMinecraftとの互換性もあり、両者のユーザーのクロスユースなども考えることができます。
④まとめ
The Sandboxの今後において特に注目したいタイミングは、Fist P2E seasonのリリースです。ここでユーザーの評価が高ければ、現在、GameFi分野で独走を続けているAxie Infinityの牙城を崩すきっかけともなる可能性があります。
仮にThe Sandboxのゲームとしての評判が高く、多くのユーザーを集めることができるのであれば、SANDの仮想通貨の価値としても上昇することが見込まれます。懸念点としては、ゲームに参加するのにNFTの購入などが求められ、初期費用がかかるケースですが、Axie Infinityの奨学金制度のような課題解決策が出てくるかもしれません。そうした動きをキャッチするためにも動向を常にチェックしていきたいと思います。
中島 翔
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