半導体不足が株価に与える影響は?株価指数や主要銘柄の推移、展望も

新型コロナウイルスの感染拡大によって、半導体が不足しています。この記事では、なぜ半導体が不足するようになったのか、そして日本企業の業績や株価にどのような影響を与えるのかについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2021年11月25日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 需要が高まり半導体不足に
  2. SOX指数は過去最高値を更新
  3. 日本株の下落要因となった半導体不足
  4. 半導体不足は世界経済回復の阻害要因にも
  5. 半導体不足は日本の半導体製造装置メーカーの追い風に
    5-1.東京エレクトロン(8035)
    5-2.信越化学工業(4063)
    5-3.アドバンテスト(6857)
  6. まとめ

1.需要が高まり半導体不足に

半導体はパソコンやスマートフォンを中心に利用されてきましたが、最近はデータセンターや車載システム、5G通信網など幅広い分野で利用されています。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって需要が鈍化するとの懸念もありましたが、実際には巣ごもり消費やリモートワークの普及により、パソコンやゲームの需要が増加し、世界的な半導体不足となっています。

世界半導体統計(WSTS)によると、2021年の半導体市場は前年比+19.7%と大幅に加速する見込みです。世界経済が緩やかながらも正常化に向かっていることに加え、パソコンやタブレット端末需要やクラウドサービスなどのインフラの設備投資需要も高まっているからです。

2.SOX指数は過去最高値を更新

米国の主な半導体関連銘柄で構成された「SOX指数」も、半導体市場の拡大を見越して上昇を続けています。SOX指数を見れば米国関連銘柄の状況がわかりますが、日本株への影響も大きい指数です。日本企業はSOX指数には採用されていませんが、SOX指数は世界の半導体市況の動きを反映しているので、日本の半導体関連銘柄の株価にも影響を与えるからです。

そして、SOX指数は11月に4,000ポイント近くまで上昇し、過去最高値を更新しています。

3.日本株の下落要因となった半導体不足

半導体不足は、日本の製造業に大きな影響を与えています。半導体がなくてモノが作れないからです。「9月に世界生産を計画比で4割減らす」という報道で、8月のトヨタ株は2,000円前後から1700円台まで急落しました(参照:トヨタ自動車「2021年8月(追加)及び9月の国内工場の稼働について(8/19時点)」。

そして、トヨタ自動車系の主要企業も、アイシンをはじめ5社が7~9月期は最終減益や赤字になっています。

また、キヤノンは今年9月までの3カ月決算は増収増益でしたが、今年12月までの1年間の営業利益を下方修正。半導体不足による調達コストの増加が主な要因です。そして、10月27日には産業用ロボット大手のファナックが1年間の業績の見通しを下方修正しています。半導体不足がこれからも続き、ロボットなどの生産に影響がでるためです。

新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンの乱れや、経済活動正常化による需要の急拡大により、半導体不足は2022年の上半期いっぱいは続くのではないかとの見方もあります。

4.半導体不足は世界経済回復の阻害要因にも

半導体不足は、世界経済にも大きな影響を与えています。足下では半導体不足などの供給制約が自動車生産の落ち込みなどの要因となっているからです。

コンサルティング会社のアリックス・パートナーズは、半導体不足によって世界の自動車メーカーは2021年に約2,100億ドル(約24兆円)の売上を失うと予測し、世界の自動車生産台数の見通しを770万台引き下げました(参照:AlixPartners “SEMICONDUCTOR SHORTAGES TO COST THE AUTO INDUSTRY BILLIONS“)。

そして、強力なサプライチェーンをもつアップルも、「iPhone13」の生産目標を引き下げ、半導体不足の危機が和らぎつつあるという楽観論は打ち砕かれました。アップルは半導体調達で大きな力を持っているので、ほかの企業はさらに大きな問題を抱えていると見られているからです。

5.半導体不足は日本の半導体製造装置メーカーの追い風に

製造業にとって半導体不足は大きな痛手となりますが、半導体市場の拡大は日本の半導体製造装置メーカーには追い風となります。

世界の半導体製造装置上位15社の中で、日本企業は約半分を占めています。日本は1980年代に半導体で圧倒的なシェアを誇りましたが、日米半導体協定などで急速に地位が低下。半導体本体を手掛けている日本企業は厳しい状況になりました。

ただ、半導体製造装置では当時のノウハウを生かしながら生き残り、世界での存在感を示しており、株価も堅調に推移しています。以下に、代表的な半導体製造装置メーカーについて解説します。

5-1.東京エレクトロン(8035)

半導体製造装置で世界3位。成膜装置やコータデベロッパー、エッチング装置など前工程に強みを持っています。高速通信規格「5G」やコロナ禍における巣ごもり需要の拡大などにより、業績は好調。11月に入って6万円を突破し、上場来高値をつけています。国内半導体銘柄の中核として、今後も期待される銘柄です。

5-2.信越化学工業(4063)

半導体シリコンウエハ、塩化ビニル樹脂で世界首位。半導体シリコンウエハはフル稼働が続き増勢、塩化ビニル樹脂も米国の住宅需要が強く利幅が拡大しています。信越化学工業は9月14日に21,480円の上場来高値をつけています。

5-3.アドバンテスト(6857)

半導体検査装置で世界大手。検査装置は柱の非メモリー向けが台湾で絶好調。メモリー向けもDRAM中心に拡大しています。株価は9月16日に年初来高値11,550円まで上昇。半導体関連の中核銘柄として東京エレクトロンとともに注目されています。

まとめ

半導体不足は製造業中心に大きな影響を与えています。ただ、半導体関連銘柄で構成されたSOX指数は2021年になって過去最高値を更新するなど、追い風が吹いています。日本でも半導体製造装置メーカー中心に業績の伸びが期待されており、今後の株価が期待されます。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011