長期投資に向く・向かない投資信託の特徴は?ファンドの選び方も

近年では、老後資金は個人資産形成によって捻出する自助努力の考え方が一般的になりつつあります。

年金制度は資産形成をサポートするものであって、生活費の全てをまかなう事はできません。そんな中、資産形成を計画するにあたって、長期運用に適したファンドを検討している人も多くいるのではないでしょうか。

多くの投資信託は長期運用を前提とした商品設計となっていますが、中には長期運用に向かないファンドもあります。記事内では、長期運用に向くファンドや向かないファンド、選び方などを紹介しています。資産運用のファンド選びで迷っている人は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬や基準価額など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 投資信託の仕組みとは?低リスク運用による長期投資が前提
    1-1.投資家から集めた資金で専門家が運用
    1-2.複数銘柄や複数資産への分散投資
    1-3.うまく運用できなくなると償還
    1-4.ピンポイントな利益を狙うファンドも
  2. 運用スタイルに合わせたファンドの選び方
    2-1.ピンポイントに利益を狙いたい
    2-2.5年〜10年以上の長期運用で利益を確保したい
  3. ピンポイントな利益の獲得に適しているファンド
    3-1.楽天日本株4.3倍ブル
    3-2.楽天日本株3.8倍ベアII
  4. 長期運用で収益を目指すファンド
    4-1.鎌倉投信「結い2011」
    4-2.楽天グローバル・バランス(安定型)
  5. まとめ

1.投資信託の仕組みとは?低リスク運用による長期投資が前提

投資信託は、低リスク運用による長期投資が前提とされている商品です。投資信託の基本的な仕組みを以下4つのポイントにて紹介します。

  1. 投資家から集めた資金で専門家が運用
  2. 複数銘柄や複数資産への分散投資
  3. うまく運用できなくなると償還
  4. ピンポイントな利益を狙うファンドも

1−1.投資家から集めた資金で専門家が運用

投資信託は株式のように、売り手と買い手で損益が分かれる投資商品ではありません。多くの投資家から資金を募って、ファンドマネージャーの責任で運用する仕組みを採用しているため、収益の恩恵はファンドに参加している投資家全てが受けられます。

ファンドへの参加者が多く、多額の運用資金を集めるほど規模の大きな運用が可能となり、比例して収益も大きくなります。

1−2.複数銘柄や複数資産への分散投資

分散投資によるリスク分散も投資信託の特徴の一つです。投資家から集めた多額の資金は、複数の銘柄や異なる資産へ分散投資されます。

一つの銘柄だけに投資すると、企業の倒産や市場の暴落による影響をダイレクトに受けてしまいますが、複数の銘柄へ細かく分散投資するとリスクを分散できます。

いくつかの資産へ分散投資するファンドでは、より効果的なリスク分散が可能です。

1−3.うまく運用できなくなると償還

株式と同じく投資信託も、市場の大暴落で価値が大幅に下がってしまうのでは?と考える人もいると思いますが、投資信託は運用を継続しても利益が出せないとファンドマネージャーが判断した場合は運用終了となり、その時の基準価額で計算された投資金が払い戻しされます。

ファンドの運用がうまく行かない時の元本割れのリスクはありますが、株式の個別銘柄のように、大暴落によって無価値に近い状態になるケースは稀です。

1−4.ピンポイントな利益を狙うファンドも

長期運用前提で商品設計されている投資信託ですが、中には例外的に短期運用が推奨されているファンドもあります。短期運用が推奨されているファンドは、総じてリスクが高い傾向があるため、投資するときには、販売用資料や目論見書をよく確認し、十分な理解が必要です。

2.運用スタイルに合わせたファンドの選び方

投資信託の運用スタイルは基本的に、タイミング重視の短期売買か、資産形成のための長期運用に分けられます。それぞれの運用スタイルや、投資テーマごとのファンドの選び方を紹介します。

2−1.ピンポイントに利益を狙いたい

ブル・ベア型の投資信託は、タイミングを見計らったピンポイントな投資によって利益を獲得することができます。

ブル型の投資信託とは、日経平均などの相場が上昇した時にベンチマークとする指数の値上がり幅以上に利益が出るように設計されたファンドです。ベア型はブル型とは反対に、相場が下落した時にベンチマークとする指数の値下がり幅を上回る利益がでるように設計されています。

相場が一つの方向へ大きく動く局面では、大きな利益を獲得できる可能性があります。しかし、読みが外れたり、相場が急に反転したりすると損失を被る可能性があるため、トレンドの見極めは重要です。

2−2.5年〜10年以上の長期運用で利益を確保したい

長期運用には、株式ファンドのようにリスクが高いファンドを選び、時間の効果でリスクを軽減する考え方と、低リスクファンドによる長期運用にて利益を積み上げていく考え方があります。

近年、資産形成の投資先として取り上げられることが多い米国の株式ファンドは、ややハイリスクなファンドです。一方で、いくつかの資産を組み合わせたバランスファンドは、値動きが少なく目に見える利益は少ないながらも、低リスクで長期運用には適しています。

運用資金の多くをバランスファンドに振り分け、ハイリスクなファンドで収益も狙うスタイルがバランスのよい長期運用です。

3.ピンポイントな利益の獲得に適しているファンド

投資信託のピンポイントな短期運用に適しているファンドはブル・ベア型ファンドです。楽天証券が運用する日本株ブル・ベア型ファンドを紹介します。

※数値は2022年11月4日時点の情報です。

3−1.楽天日本株4.3倍ブル

基準価額 9,995円
純資産 466.38億円
信託報酬 1.2430%
トータルリターン −45.28(1年)
設定日 2015年10月7日

楽天日本株4.3倍ブルは、日本の株価指数を対象とした先物取引を用いて、日々の基準価額の値動きを日本株式市場の値動きに対して4.3倍程度になるよう調整されたブル型ファンドです。ベンチマークとする株価指数は流動性や効率性を勘案して決めるとの記載がありますが、多くの場合、日経平均をベンチマークとしています。

信託財産の約4.3倍のレバレッジを効かせて買建てを行う運用手法です。1日で日経平均の相場が1,000円以上変動するような日は、当ファンドのようなブル型ファンドに投資が集中します。

3−2.楽天日本株3.8倍ベアII

基準価額 6,028円
純資産 70.04億円
信託報酬 1.2430%
トータルリターン −38.09(6ヶ月)
設定日 2022年3月16日

楽天日本株3.8倍ベアIIは楽天日本株4.3倍ブルと反対に、3.8倍のレバレッジを効かせて売建てを行います。基準価額の値動きが対象とする日本株式市場の値動きに対して、約3.8倍程度マイナスになるよう調整されています。ブル型と異なる点は、値下がりすればするほど、基準価額がプラスになる点です。

販売用資料や目論見書には、ブル・ベア型ファンドが長期運用に適さない理由が詳細に記載されています。買付け前にはしっかり内容を確認しましょう。

4.長期運用で収益を目指すファンド

5年や10年の視点で収益を目指す長期運用に適したファンドを2つ紹介します。

4−1.鎌倉投信「結い2011」

基準価額 19,955円
純資産 48,032百万円
信託報酬 1.1%
トータルリターン 93.8%(10年)
設定日 2010年3月29日

組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.サイボウズ 情報・通信 1.10%
2.ピジョン その他製品 1.10%
3.TOTO ガラス・土石製品 1.00%
4.小林製薬 化学 1.00%
5.鈴木 電気機器 1.00%
6.マニー 精密機器 1.00%
7.ユーシン精機 機械 1.00%
8.三浦工業 機械 1.00%
9.エフピコ 化学 1.00%
10.前田工繊 その他製品 1.00%

※数値は2022年9月の運用報告書によるものです

鎌倉投信が運用する結い2011は、運用スタート当初から長期運用を見据えたファンドとしてスタートしました。継続的に利益を出せる良い会社へ投資することをモットーとしています。

鎌倉投信が考える良い会社とは、企業の成長だけを中心に考えずに、社員や社会との調和を考えつつ、着実に成長していく会社です。近年トレンドとなりつつある、ESG投資やSDGs活動に10年以上前から取り組んでいます。

10年間のトータルリターンは93.8%。この数値は、長期運用を計画する人にとって、よい指標となるでしょう。

【参考記事】「金融の本質は、縁をつなぐこと」鎌倉投信が目指す、信頼に根ざしたお金の循環とは?(代表インタビュー)

4−2.楽天グローバル・バランス(安定型)

基準価額 15,219円
純資産 1.31億円
信託報酬 1.0230%
トータルリターン 2.44%(5年)
設定日 2009年8月7日

資産構成

資産クラス 比率
先進国株式 25.00%
新興国株式 5.00%
先進国債券 65.00%
新興国債券 5.00%

※数値は2022年11月4日時点の情報です。

楽天グローバルバランスファンド(安定型)は、先進国債券に比重をおいたバランスファンドです。ファンドの収益は、債券からの利払いが中心となるため、低リスクな長期運用を実現できます。

債券の次に多い組入資産は、先進国株式です。株式の値上がり時は相対的に債券が値下がりするため、市場の値動きと比べて基準価額の変動は控えめです。反面、株式市場の下落時は、債券の値上がりによって損失を軽減してくれるでしょう。

安定型のバランスファンドは値動きが少ないため、運用の手応えがなく面白味に欠ける面もありますが、資産を少しづつ積み上げる長期運用には向いています。

まとめ

投資信託は長期運用による資産の積み重ねを目指して設計されている商品です。したがって、多くのファンドは短期運用に向いていません。例外的に短期投資に向いているファンドはブル・ベア型です。長い間保有していると損失を被る可能性が高まるため、短期売買特化型のファンドといっても良いでしょう。

長期運用による老後の資産形成を計画している場合、バランスファンドの選択が無難です。長い期間継続的に投資を続けることで、リスク分散にも繋がります。

ファンド選びでは、長い期間のトータルリターンの比較がポイントです。短期視点に陥らないように注意しましょう。

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sayran

sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。