株主優待とは、企業が株主に対して自社製品や金券、優待券などを贈呈する制度です。上場企業の約4割が株主優待を行っており、東証プライム上場企業のJTも株主優待を実施しており人気があります。
JTの株主優待では、JTのグループ商品(ご飯やラーメンなど)がプレゼントされます。保有株式数が多いほど、優待内容も豪華になっていくのが魅力です。ただし、JTの優待制度は2022年12月末で廃止となりますので、注意が必要です。今回は2022年度のJTの株主優待について内容の詳細や配当、注意点などを紹介しますので、銘柄選びの参考にしてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年2月18日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
- JTの株主優待の内容
- JTグループの優待商品の贈呈
2-1.1年間の継続保有の詳細 - JTの配当の内容
- JTの業績の内容
- JTの企業情報
- JTの株主優待を受ける場合の注意点
6-1.2023年の商品発送をもって優待制度は廃止
6-2.たばこ離れによる業績低下の可能性がある
6-3.加工食品事業が新型コロナウイルス感染症の影響を受けている
6-4.権利付最終日での購入には注意
6-5.元本を毀損する可能性がある - まとめ
1.JTの株主優待の内容
銘柄 | 日本たばこ産業(JT) |
コード | 2914 |
優待回数 | 1回 |
優待権利確定月 | 12月 |
優待利回り | 1.06% |
株価 | 2,344円 |
優待を得るための最低投資額 | 234,400円 |
権利付最終日 | 2022年12月28日(水) |
※2022年2月18日時点のデータ
JT(日本たばこ産業・2914)の株主優待の内容は下記の通りです。
- JTグループの優待商品の贈呈
2.JTグループの優待商品の贈呈
JT(日本たばこ産業)の株主優待では、株式保有数に応じてJTグループの優待商品が株主に贈呈されます。
保有株式数と優待内容は下記のとおりです。
保有株式数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上200株未満保有の株主 | 2,500円相当のJTグループ商品 |
200株以上1,000株未満保有の株主 | 4,500円相当のJTグループ商品 |
1,000株以上2,000株未満保有の株主 | 7,000円相当のJTグループ商品 |
2,000株以上保有の株主 | 13,500円相当のJTグループ商品 |
※1年以上の継続保有が条件
毎年12月31日の基準日に同社株式を100株以上かつ1年以上継続保有していることが、株主優待を受ける条件です。また、株主優待の商品に替えて、社会貢献活動団体への寄付を選択することも可能です。
なお、参考までに2021年の優待内容の詳細は以下のとおりでした。
保有株式数 | 優待条件 | 優待内容 | 詳細 |
---|---|---|---|
100株以上200株未満 | 2,500円相当のJTグループ商品(右記より1点選択) | ご飯セット(14食) | ※魚沼産こしひかり4食、国産こしひかり6食、山形県産つや姫4食 |
ご飯・カップ麺セット(14食) | ※国産こしひかり6食、ホームラン軒8食(鶏ガラ醤油ラーメン、合わせ味噌ラーメン各4食) | ||
200株以上1,000株未満 | 4,500円相当のJTグループ商品(右記より1点選択) | ご飯セット(28食) | ※魚沼産こしひかり8食、国産こしひかり12食、山形県産つや姫8食 |
カップ麺セット(24食) | ※カップ麺セットは鶏ガラ醤油24食または合わせ味噌24食または各12食ずつ | ||
1,000株以上2,000株未満 | 7,000円相当のJTグループ商品(右記BOX1・BOX2より各1点ずつ)※合計2点 | 【BOX1】 ・ご飯セット(28食) ・カップ麺セット(24食) ※右記3種類のいずれか 【BOX2】 ・冷凍うどんセット(10食) ・レトルトカレーセット(7食) ・ジャムセット(6個) ・ラスク、紅茶、コーヒーセット |
※ご飯セットは魚沼産こしひかり8食、国産こしひかり12食、山形県産つや姫8食 ※カップ麺セットは鶏ガラ醤油24食または合わせ味噌24食または各12食ずつ ※レトルトカレーセットはチーズカレー1食、ビーフカレー3食、ポークカレー3食 ※ジャムセットはストロベリー3個、マーマレード2個、ブルーベリー1個 ※ラスクはブルーベリー・ショコラ・黒ゴマ各5個 ※紅茶は10パック、コーヒーは5パック |
2,000株以上 | 13,500円相当のJTグループ商品(右記BOX1より1点、BOX2より3点)※合計4点 |
2-1.1年間の継続保有の詳細
JTの株主優待を受けるためには、同社株式100株を1年以上継続保有する必要があります。継続保有とみなされるには、該当年度の株式名簿に同一株主番号で記載または記録されていなければなりません。
例えば、2021年度の場合なら「2019年12月31日」「2020年3月31日」「2020年6月30日」「2020年9月30日」「2020年12月31日」の各株式名簿に記載される必要があるということです。
株式名義人を変更している場合や保有株式の売却・買戻しをしている場合は、同一番号ではなくなり、株主優待を受けられなくなる可能性があるため、注意しましょう。
3.JTの配当の内容
JTの配当の内容は下記の通りです。
年度 | 1株配当(円) | 配当利回り |
---|---|---|
2017年12月期 | 140 | 3.64% |
2018年12月期 | 150 | 4.13% |
2019年12月期 | 154 | 6.33% |
2020年12月期 | 154 | 7.33% |
2021年12月期(予) | 140 | 6.01% |
※2022年1月29日時点のデータ
JTの直近の1株あたり配当金は140円から154円の間で推移しています。2021年12月期の配当金は140円になる見込みで、一定の範囲で推移しているといえます。
また、配当利回りについても3.64%から7.33%の間で推移しており、2021年12月期には6%近い水準になると予想されています。株主優待だけではなく、配当も期待できる銘柄といえます。
4.JTの業績の内容
JTの業績の内容は下記の通りです。
年度 | 営業収益 | 営業利益 | 税引前利益 | 当期利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 当期期包括利益合計額 |
---|---|---|---|---|---|---|
2017年12月期 | 2兆1,396億5,300万円 | 5,611億100万円 | 5,385億3,200万円 | 3,967億4,900万円 | 3,924億900万円 | 5,541億9,800万円 |
2018年12月期 | 2兆2,159億6,200万円 | 5,649億8,400万円 | 5,314億8,600万円 | 3,874億3,100万円 | 3,856億7,700万円 | 1,293億200万円 |
2019年12月期 | 2兆1,756億2,600万円 | 5,023億5,500万円 | 4,652億3,200万円 | 3,616億2,200万円 | 3,481億9,000万円 | 3,658億1,600万円 |
2020年12月期 | 2兆925億6,100万円 | 4,690億5,400万円 | 4,200億6,300万円 | 3,120億2,900万円 | 3,102億5,300万円 | 1,328億8,300万円 |
2021年12月期(予) | 2兆2,800億円 | 4,780億円 | ー | ー | 3,300億円 | ー |
※2022年1月29日時点のデータ
※業績は連結
JTの2017年12月期から2020年12月期までの業績は安定しているといえます。営業収益は常時2兆円台をキープしており、2021年12月期の予想営業収益は2兆2,800億円とここ数年の推移のなかでも最高水準になると見込まれています。
ただし、営業利益や税引前利益、当期利益など、決算データの他の項目については連続して業績が低下しているため、楽観視はできません。
5.JTの企業情報
社名 | 日本たばこ産業 |
業種 | 食料品 |
代表者 | 寺畠 正道 |
決算 | 12月 |
資本金 | 1,000億円 |
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門四丁目1番1号 |
上場市場 | 東証一部 |
上場年月日 | 1994年10月 |
※2022年1月29日時点のデータ
JT(日本たばこ産業グループ)は、連結子会社202社と持分法適用会社12社からなる企業です。国内や海外でのたばこ事業をメインに、医薬事業や加工食品事業なども展開しています。
国内外のたばこ製品の製造や卸売を手掛けているほか、バレーボールチームの運営や将棋・ゴルフなどの大会の開催など、スポーツ・文化のジャンルにも貢献しています。
6.JTの優待を受ける場合の注意点
JTの株主優待を受ける場合は、下記のポイントに注意しましょう。
- 2023年の商品発送をもって優待制度は廃止
- たばこ離れによる業績低下の可能性がある
- 加工食品事業が新型コロナウイルス感染症の影響を受けている
- 権利付最終日での購入は極力避ける
- 元本を毀損するケースがある
6-1.2023年の商品発送をもって優待制度は廃止
JTは2022年2月14日付で株主優待の廃止のリリースを出しています。優待がもらえるのは、2022年12月31日時点の同社株主名簿に記載又は記録された100株以上を1年以上継続保有する株主様を対象に、2023年の株主優待商品の発送をもって、株主優待制度を廃止となります。
【参考】日本たばこ産業株式会社「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」
優待中心の投資を検討されている方は、2023年からは他の銘柄を検討すると良いでしょう。
6-2.たばこ離れによる業績低下の可能性がある
JTが手掛ける事業のうち、メインとなるのは国内外のたばこ事業です。2021年度第3四半期の決算説明会資料によると、国内外のたばこ事業の売上は、全事業の約9割を占めていることがわかります。
一方で、喫煙者は年々減少傾向にあり、営業収益以外の項目(営業利益や当期利益など)も緩やかに減少しているのが現状です。
今後も、たばこ離れが業績低下につながる可能性があります。株主優待目的で株式を保有している場合でも、同社の動向や発信する情報には注目すべきといえます。
6-3.加工食品事業が新型コロナウイルス感染症の影響を受けている
JTの加工食品事業は、近年の新型コロナウイルス感染症の影響を受け、業績がやや低下しています。特に、家庭用製品の売上が相対的に減少しており、外食向け製品についてはコロナ禍以前の水準まで回復するには至っていません。
6-4.権利付最終日での購入は極力避ける
権利付最終日(権利確定日から2営業日前)やその近辺で株式を購入するのは極力避けましょう。
特に、人気が高い優待銘柄は権利確定日に向かって値上がりしやすく、逆に権利落ち日(権利付最終日の翌日)以降に急激に値下がりすることがあります。購入のタイミングによっては、大きな含み損を抱えることもあるため、十分注意しましょう。
6-5.元本を毀損するケースがある
株価は常に変動する以上、株式を購入すると元本を毀損することがあります。そのため、株主優待が目的であっても、株価や企業情報は必ずチェックするべきです。
含み損が発生しそうな場合は、躊躇せずに売却したほうがいいケースもあります。さまざまな状況を想定してどう対処するか、事前に考えておきましょう。
まとめ
今回はJTの2022年度の株主優待について紹介しました。JTでは100株以上を1年以上継続保有している株主に対して、保有株数に応じた優待商品を贈呈しています。
ただし、今後も同じ優待が継続するとは限りません。内容の変更や廃止がアナウンスされる可能性もあります。優待目的で株式の購入を考えている場合は、同社Webサイトなどで情報を確認するようにしましょう。
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山本 将弘
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