「ソーシャルレンディングって怪しくないの?」
「投資したらちゃんとお金は返ってくるの?」
ソーシャルレンディングを利用したことのない方で、信頼性や安全性について不安に感じる方は多いと思います。よくわからない投資方法には、どうしても身構えがちになります。
ソーシャルレンディングは新しい投資ではありますが、仕組み自体は決して難しいものではありません。この記事ではソーシャルレンディングの仕組み、メリット、リスクなど、投資を始める前に押さえておきたいポイントをわかりやすくご紹介したいと思います。
この記事を読めば、ソーシャルレンディングの基本を正しく理解して、資産運用の選択肢のひとつに加えることができるようになるでしょう。それでは、以下で一つずつ詳しく見ていきましょう。
記事目次
- ソーシャルレンディングとは
- ソーシャルレンディングの仕組み
- ソーシャルレンディングの歴史
- ソーシャルレンディングのメリット
- ソーシャルレンディングのデメリット・リスク
- ソーシャルレンディングのリスクを回避するには
- まとめ
1.ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、
- お金を借りたい企業(個人)
- お金を貸したい投資家
この両者をWEB上でマッチングするサービスです。マッチングは事業者が行います。
ソーシャルレンディングはクラウドファンディングの一種です。クラウドファンディングも、ある個人や企業がインターネットを介して、不特定多数に資金提供の協力を仰ぐものとなります。クラウドファンディングは、以下の3種類に分かれます。
- 購入型(購入資金を支援)
- 寄付型(活動資金を支援)
- 投資型(リターンを求めて支援)
ソーシャルレンディングは、この中の投資型に分類されるもので、貸付型クラウドファンディングもしくは融資型クラウドファンディングと呼ばれています。
2.ソーシャルレンディングの仕組み
ソーシャルレンディングは、事業者が投資家と融資先企業を結びつけ、その手数料を事業者の利益としています。
世の中には、経営難ではないものの、銀行から融資を受けられない(受けにくい)企業がたくさんあります。たとえば、
- 創立の年数が浅く、銀行の融資対象にならない
- 必要資金が少額のため、銀行が乗り気ではない
- 銀行からの融資はすでに受けていて、追加で資金が欲しい
- 毎月の元本返済では、キャッシュフローが間に合わない
などが理由です。その企業を対象に、事業者が厳正な審査を行い、資金を融資するのです。
たとえば事業者が、ある企業へ「利息10%で資金を融資する」プランを立てたとしましょう。その後、投資家へ利回り7%の案件として投資を募れば、差分の3%が事業者の利益になります。
これがソーシャルレンディングの事業が成り立つ仕組みです。
3.ソーシャルレンディングの歴史
ソーシャルレンディングは欧米から始まった投資で、日本ではmaneo社が2008年にソーシャルレンディング事業を開始しました。
当時は個人向けの融資が行っていましたが、個人は企業に比べて返済能力が低く、デフォルト(貸し倒れ)が続出します。そこでmaneoは、融資先を個人から企業へと切り替え、デフォルトリスクを以前よりも抑えられるようになりました。
業界の市場規模は、2014年に約143億円の調達額でした。その後、2015年には約310億円、2016年には約533億円、2017年には1316億円(クラウドポート調べ)と、成長が著しい投資分野となっています。
4.ソーシャルレンディングのメリット
それではソーシャルレンディングのメリットをご紹介しましょう。
4-1.利回りが高い
メリットのひとつ目は、利回りの高さです。ソーシャルレンディングの利回りは5%を超えるものが多く、中には10%を超える案件もあります。
銀行にお金を預けても、ゼロ金利で利息はほとんど増えません。しかしソーシャルレンディングなら、お金を必要としている企業へ融資をすることで資金を増やすことができます。(ただ当然リスクはあります)
高い金利で融資ができるのは、融資先の企業にとっても事業のチャンスを逃したくないからです。ただ会社の創立年数や、事業ボリュームなどの問題で、銀行からは資金を借りにくい事情があります。
それでもその事業で金利以上の利益が期待できるため、融資先の企業も高い金利での融資を受け入れるのです。
4-2.手間がかからない
もうひとつのメリットは、投資の手間がかからないことです。
ソーシャルレンディングは投資家が案件に投資をしたら、事業が完了するまで見守るしかありません。融資先企業の返済スケジュールはすでに決まっていて、途中、投資家や事業者の都合で資金を引き上げることができないからです。
ただ元本の価格変動もないので、株やFXのように価格の上下に一喜一憂する必要がありません。
万が一、貸し倒れが起きると元本毀損の可能性はありますが、基本的に分配される利息を眺めるだけです。よってソーシャルレンディングは、本業が忙しい方の副業にピッタリな投資方法と言われています。
4-3.初心者と経験者で利回りの差がない
初心者と経験者で利回りの差がないのも、ソーシャルレンディングの魅力です。
ソーシャルレンディングは、元本毀損が起きない限り、元本の価格変動がありません。したがって同じ案件に投資をしたら、誰でも同じ利回りが期待できるのです。
案件自体に利回りの高い低いはありますが、それは投資家が
- 担保や保証なしの案件を選ぶ
- 為替リスクのある事業を選ぶ
そういったリスクを背負うか背負わないかの差でしかありません。
5.ソーシャルレンディングのデメリット・リスク
それでは、反対にソーシャルレンディングのデメリットやリスクをご紹介しましょう。
5-1.貸し倒れの可能性がある
ソーシャルレンディングのもっとも大きなリスクは、貸したお金が返ってこないというケースです。
ソーシャルレンディングは、事業者が投資家から集めた金額を企業へ融資し、その利息で利益を出す投資方法でした。よって融資先の企業が事業を失敗したら、事業の利益が得られないので、資金の返済が難しくなります。
その場合、投資家には元本の一部、もしくは全額が戻ってこない可能性があります。
5-2.流動性が低い
ソーシャルレンディングは投資を行うと、事業が完了して満期を迎えるまで、資金を引き上げることができません。
返済の遅延が起こった場合は、予定よりも長く、元本の返済を待つ必要があります。したがって生活資金を削って投資を行うと、お金が必要なとき、資金を自由に使えないので注意が必要です。
5-3.融資先が特定できない
ソーシャルレンディングは、融資先が匿名化されています。
「ここはこんな企業で、今回こんな事業を行うから、資金をこれぐらい募集しています」という情報は案件の詳細ページに記載されていますが、企業名は発表されません。
その理由は、融資先の企業が特定できる資金融資は、貸金業と認められるからです。その場合、融資する側に貸金業の登録が課されます。
登録には大きな手間がかかるので、ソーシャルレンディングの事業者は、投資家のひとりひとりが貸金業の登録手続きをしなくて済むように、融資先を匿名化しています。
ただその場合、投資家は「どんな企業に融資をしているのか」の判断ができません。事業者が匿名化されていることを悪用するケースも考えられるのです。
たとえば、経営がうまくいかない事業者が、自転車操業を行うために、架空の融資先を作る可能性もゼロではありません。
6.ソーシャルレンディングのリスクを回避するには
それではソーシャルレンディングのリスクを回避するためには、何を心がければいいのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。
6-1.分散投資を心がける
投資の基本は分散投資です。ひとつの投資先に資金を全額投資して、もしその投資がダメなら、大金が失われてしまいます。そうならないように投資方法の分散、さらにはひとつの投資方法の中でも、投資先の分散を心がけましょう。
ソーシャルレンディングでいうなら、案件の分散だけではなく、
- 事業内容
- 国
- 貨幣
などにも気を配る必要があります。
たとえば不動産事業にばかり投資を行うとどうなるでしょう。リーマンショックのような経済危機が再び訪れたときに、不動産の価格が軒並み暴落するリスクがあります。
6-2.事業者選びに気をつける
リスクを回避するためには、事業者選びに注意しましょう。選び方のポイントとして、
- 実績の有無
- 協賛企業の内容
- 行政処分の有無
が挙げられます。
実績の有無
創設して間もない事業者の場合、
- 融資先の審査
- 資金運用の管理
がしっかりできるのか判断ができません。
大手企業が新規参入したケースや既存サービスと比べて著しく投資条件が良い(担保付きで利回りが高い、など)というケースを除けば、数十社あるソーシャルレンディング事業者の中であえて新規の事業者を選ぶ理由はないため、少なくとも1年は様子を見た方がいいでしょう。
株主企業の内容
どんな企業がその事業者の株主なのかも、事業者の見極めに大事なポイントです。
たとえば海外案件を取り扱うクラウドクレジットは、大手企業の伊藤忠商事が株主です。これは伊藤忠商事が、クラウドクレジットに可能性を感じているからに他なりません。
行政処分の有無
行政処分された経験があるかどうかも、判断のポイントになります。過去には、
- みんなのクレジット
- ラッキーバンク
- クラウドバンク
が金融庁から行政処分を受けました。処分の理由はさまざまで、クラウドバンクのように業務改善に取り組んでいる会社もありますが、リスクを少しでも回避したい方は、処分の経験がある事業者を避けたほうが良いでしょう。
6-3.担保や保証付きの案件を選ぶ
担保付き案件を選べば、貸し倒れによる元本毀損が起きた場合でも、資金が戻ってこないリスクが減ります。担保物件を売却した金額を、事業者が元本や利息の返済にあててくれるからです。
また保証付き案件の場合でも、約束手形などの保証が、返済の強制力を発揮してくれます。
7.まとめ
以上、ソーシャルレンディングの仕組みやメリット、リスクについてご説明しました。
おさらいすると、ソーシャルレンディングは、事業者がインターネット上で投資家と融資先企業を結びつけ、その利息と利回りの差額を事業者の利益としています。
そしてソーシャルレンディングのメリットは以下の3つがあります。
- 利回りが高い
- 手間がかからない
- 初心者と経験者で利回りの差がない
反対に、ソーシャルレンディングのデメリットやリスクは以下3つをご紹介しました。
- 貸し倒れの可能性がある
- 流動性が低い
- 融資先が特定できない
ソーシャルレンディングでリスクを回避するためには、
- 分散投資を心がける
- 事業者選びに気をつける
- 担保や保証付きの案件を選ぶ
が大事になります。
この記事を通じて、ソーシャルレンディングの基本が抑えられたと思います。まずは、どんな事業者がいるのかを調べるところからはじめてみましょう。
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石村淳
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