すでに投資をしている方なら、一度は聞いたことがあるであろう「投資信託」と「ETF(上場投資信託)」。どちらも投資対象であることはわかっていても、双方がどのように違うのか明確に理解している方は少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、投資信託とETFの違い、メリットやデメリットについて紹介したいと思います。
目次
- 投資信託・ETFとは
- 投資信託とETFの5つの違い
2-1.売買する場所が違う
2-2.売買する価格が違う
2-3.売買手数料が違う
2-4.信託報酬の金額が違う
2-5.還元される分配金や配当金が違う - 投資信託とETF、どちらを選べばいいのか
3-1.投資信託とETFのメリット・デメリットの比較
3-2.投資信託特有のメリット・デメリット
3-3.ETF特有のメリット・デメリット
3-4.投資信託とETF、どちらを選べば良い? - まとめ
1.投資信託・ETFとは
まず、大前提として理解しておきたいのは、投資信託とETFのどちらも「投資信託である」ということです。
投資信託は、投資家から集めた資金を資産運用のプロフェッショナルが運用して、その成果が投資家に還元される仕組みの金融商品です。具体的には、株式や債券、REITなどのさまざまな投資対象、もしくはそれぞれを組み合わせたファンドに投資をすることになります。
一方で、ETF(Exchange Traded Funds)は日経平均株価などのような「特定の指標」と同じ値動きをするように運用される上場投資信託のことをいいます。
ETFが上場投資信託と呼ばれるのに対して、投資信託は「ETFを除いた非上場投資信託」を指すことが多くなります。
2.投資信託とETFの5つの違い
同じ投資信託としての性質を持つ両者ですが、それぞれには細かな違いがあります。
具体的には、以下の点で異なります。
- 売買する場所が違う
- 売買する価格が違う
- 売買手数料が違う
- 信託報酬の金額が違う
- 還元される分配金や配当金が違う
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1.売買する場所が違う
投資信託とETFでは、売買を行う場所が異なります。
投資信託は、運用会社が指定している金融機関でのみ購入することが可能です。そのため、購入したい投資信託商品を取り扱っている証券会社や銀行を選ぶ必要があります。
一方、ETFの場合は、市場を通じて売買することになります。そのため、オンラインもしくはオフラインで証券口座を開設することで購入することができます。
2-2.売買する価格が違う
投資信託とETFでは売買する価格も異なります。
一般的な投資信託では、1日1回基準価格というものが算出されます。純資産総額を投資信託の口数で割って算出する価格のことです。そのため、投資信託を購入する場合、前日に算出されている基準価格を支払って購入することになります。
一方ETFの場合は市場で取引されるため、取引時間の範囲内であればリアルタイムの市場価格で購入することができます。また、株式投資と同じように成行注文や指値注文など、さまざまな注文方法で購入可能となっています。
2-3.売買手数料が違う
投資信託とETFでは、売買時にかかる手数料が異なります。
投資信託では、購入時には各金融機関が設定した販売手数料が必要になります。また売却時には、金融機関に支払う解約手数料のほかに信託財産留保額の支払が発生することがあります。
一方ETFを売買する場合は、株式の売買時と同じ手数料が発生することになり、その料金は証券会社ごとに異なります。
証券会社によっては、特定のETFの売買にかかる手数料が無料になるケースや、インターネット取引・電話取引などによって手数料が変動するケースがあります。
2-4.信託報酬の金額が違う
投資信託にて資産運用を行う場合に必要になる信託報酬にも違いがあります。
投資信託の場合は、そのファンドを運用する手間がかかるほど信託報酬は高くなる傾向にあります。また、運用方針などによって設定される信託報酬も変動します。
ただし、一般的な投資信託でもETFのような指数に連動したインデックスファンドによって運用される商品の場合は、信託報酬は比較的低くなります。
一方ETFの場合は、日経平均株価や東証株価指数などの指数に連動する仕組みとなっているため、組み込む銘柄や投資対象を選定する手間があまりかからないという特徴があります。
そのため、投資信託と比較すると信託報酬が低く設定されているケースが多いといえます。
2-5.還元される分配金や配当金が違う
投資信託とETFでは、投資家に還元される分配金や配当金の受け取り方にも違いがあります。
投資信託の場合、分配金や配当金に対する方針がそれぞれ異なり、運用で得た利益をそのまま再投資するものや、投資家に現金で直接還元するものがあります。
また、直接還元を受ける場合は、投資家の方で還元される利益をどうするのか選択でき、そのまま受け取ることも、再投資に回すことも可能です。
ETFの場合は、運用によって得た利益は投資家に現金で直接還元される仕組みとなっています。また、1口当たりの分配金は年毎の決算によって決定されます。
3.投資信託とETF、どちらを選べばいいのか
投資信託とETFの違いについて説明してきました。いずれも投資信託としての性質を持っていることから、それぞれに共通している点も多くあります。そうなると「どっちを選べばいいの?」と混乱してしまう方もいらっしゃるでしょう。
そこで、投資信託とETFのメリット・デメリットを比較して、それぞれの特徴について考えてみたいと思います。
3-1.投資信託とETFのメリット・デメリットの比較
それぞれのメリットとデメリットを比較すると以下のようになります。
項目 | 投資信託 | ETF(上場投資信託) |
---|---|---|
メリット | ・少額から始められる ・分散投資でリスクを軽減できる ・選択肢が豊富である ・運用のプロに任せられる ・信用リスクが低い |
|
・アクティブ運用ファンドに投資できる | ・値動きがわかりやすい ・リアルタイムで売買できる |
|
デメリット | ・手数料などの諸経費がかかる ・元本保証がない |
|
・換金されるまでに時間がかかる ・解約できない期間がある ・内容が複雑でわかりづらいことがある |
・価格の乖離がある ・自動積立投資ができないことがある ・分配金が自動的に再投資されない |
このように比較すると、投資信託とETFには共通点が多いことがわかります。
まず、共通するメリットとしては、「少額投資から始められる」「分散投資でリスクを軽減できる」「選択肢が豊富である」「運用のプロに任せられる」「信用リスクが低い」の5つが挙げられます。
一方で、「手数料が発生する」「元本保証がない」というのが、共通したデメリットとなります。
次に、それぞれ特有のメリット・デメリットを比較してみましょう。
3-2.投資信託特有のメリット・デメリット
投資信託特有のメリットは、ETFにはない「アクティブ運用ファンドに投資できる」という点です。
アクティブ運用とは、ベンチマーク(参考とする指標)を上回るパフォーマンスを目指す運用スタイルのことです。信託報酬が高めである一方、ファンドの運用が好調な時には日経平均などの指標より高い成績を出すことも期待できます。アクティブ運用ファンドにも投資できるぶん、投資信託のほうがより選択肢が幅広いといえます。
一方、投資信託固有のデメリットとしては、「換金されるまでに時間がかかる」「解約できない期間がある」といった点があります。そのため、ある程度自由に資産運用をしたい方にとっては自由度が低い投資手法といえるでしょう。
また、投資信託商品は「内容が複雑でわかりづらい」という点もデメリットになることがあります。
ETFにもさまざまな投資対象が含まれていますが、基本的には特定の指数に連動するように運用されますので、ある程度の予測がつきやすく、比較的わかりやすいといえます。
3-3.ETF特有のメリット・デメリット
ETF特有のメリットとしては、「値動きがわかりやすい」「リアルタイムで売買可能」ということが挙げられます。
値動きの分かりやすさは、先述したように特定の指数に連動するように運用されているために生じます。また、投資信託と違い市場での価格で売買できるため、株式投資にも似ているといえるでしょう。そのため、投資信託と比較して自由度が高い投資手法といえます。
次に、特有のデメリットですが、「価格の乖離がある」「自動積立投資ができないことがある」「分配金が自動的に再投資されない」ということが挙げられます。
ETFは市場にて取引されるため、購入者と売却者の需要と供給によって価格が変動します。そのため、自分が購入したくても、その時の価格が適正かどうかはわかりません。場合によっては、想定しているよりも高値での購入や安値での売却となることがあるため、発生する利益に影響することがあります。
また発生する利益をそのまま再投資したい場合も、基本的には投資家に直接還元されることになるので、自分で再投資に回す必要があります。ETFで長期スパンの資産運用を行いたい場合、その分の手間がかかると考えておきましょう。
3-4.投資信託とETF、どちらを選べば良い?
このように見てみると、少額にて分散投資をしたいという方には、投資信託もETFも向いているといえます。
投資信託にはアクティブ運用ファンドが存在するぶん選択肢が広い一方、換金や解約に制限がある点は留意する必要があります。対してETFは市場で自由に売買ができるぶん、値動きに様々な影響が出ることになります。
自分がどのような投資をしたいのか、その投資スタイルに合っているのはどちらなのか、を基準に投資信託とETFどちらに投資するかを判断する必要があるといえます。
どちらが正しいということではありませんので、しっかり比較検討することが大切です。
まとめ
投資信託とETFにはそれぞれに特徴があります。メリットやデメリットをよく比較して、どちらが自分に合っているのが判断するようにしましょう。場合によっては両方を組み合わせることも可能です。
このような投資商品ごとの違いについて勉強しながら、自分にピッタリの運用方法を探していきましょう。
山本 将弘
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