高齢化・長寿化が進み、コロナ禍による経済減速懸念も高まる中、将来への備えなどから資産運用への注目が高まっています。しかし、まとまった資金が手元になく、資産運用を半ばあきらめてしまっている、といった方もいるでしょう。
そこで今回は、10万円からでも始められる投資の種類3つに焦点を当てていきます。それぞれの投資対象の特徴やメリット・デメリットも併せて解説していきますので、ぜひ投資対象を選択する際の参考にしてください。
目次
- 10万円で始められる投資の種類3選
- 投資信託
2-1.投資信託のメリット
2-2.投資信託のデメリット - 不動産投資型クラウドファンディング
3-1.不動産投資型クラウドファンディングのメリット
3-2.不動産投資型クラウドファンディングのデメリット - 融資型クラウドファンディング
4-1.融資型クラウドファンディングのメリット
4-2.融資型クラウドファンディングのデメリット - 元手の10万円は生活費以外からが鉄則
- まとめ
1.10万円で始められる投資の種類3選
投資は種類によっては数万円からスタートできます。そのため、10万円でも充分な投資が可能です。
今回解説していく投資対象は以下の3つです。
- 投資信託
- 不動産投資型クラウドファンディング
- 融資型クラウドファンディング
2.投資信託
1つ目は投資信託です。投資信託には投資する資産タイプなどに応じて以下の種類があり、出資者から集めた資金をファンドマネージャーが運用し、その利益を配分する投資商品です。
- 国内株式
- 国内債券
- 外国株式
- 外国債券
- 不動産(REIT)
- コモディティ(金などの商品)
- バランス型
2-1.投資信託のメリット
投資信託の魅力は以下の3つです。投資信託の場合、組入銘柄を自分で選択する必要がないなど、初心者から経験者まで運用のハードルが比較的低い商品だといえます。
- プロが代わりに運用してくれる
- 分散投資の効果を受けられる
- 購入しづらい海外株式にも投資ができる
投資信託は、投資家自身ではなくファンドマネージャーが資金を運用します。とくに株式などは個別で購入する際、何を選ぶか・いつ買えばいいのか・どのくらい購入するのかなど、ある程度の知識や経験が必要です。
しかし、投資信託は前述の通り、投資家から集めた資金を投資のプロが運用します。投資対象の選定や入れ替えなども全て担ってくれるため、自分での運用と比較して大きく手間を省けます。
また、投資信託は選択する商品によって、投資する資産を分散しリスクを軽減できます。中でも定期・定額積み立てで投資信託を購入する時間分散は、分散投資の有効な方法の1つです。
加えて、やや購入しづらい海外株式にも簡単に手を出せる点はメリットだといえます。例えば、インドの株式を購入しようとしても、2020年10月現在、日本の証券会社では個別株は取り扱っていません(一部の銘柄は米国預託証券を利用すれば可能)。
上記のように直接購入できない、あるいは情報が少なく購入しづらい海外の株式などでも、投資信託を購入することで投資可能となります。
2-2.投資信託のデメリット
投資信託は、プロに運用を任せられるというメリットがありました。しかし、以下の3つの注意点は重要です。
- 手数料がかかる
- 価格変動のリスクがあるため、元本が保証されない
- 短期での収益化には不向き
投資信託は、一般的に以下3つの手数料がかかります。販売・運用・管理それぞれに対して専門家への手数料が発生するためです。
- 購入時手数料
- 信託報酬
- 信託財産保留額
運用状況だけを見たら運用損益がプラスであっても、手数料のせいで結果マイナスになってしまう事例もあります。そのため、投資信託を選ぶ際には充分に注意が必要です。
また、投資信託は複数の銘柄、資産、地域に分散投資を行うもののため、個別銘柄と比べると低リスクの傾向があり、短期的な騰落を狙った利益獲得には不向きです。そのため、投資信託は、中期・長期での運用を意識して購入するのが無難です。
3.不動産投資型クラウドファンディング
2つ目は不動産投資型クラウドファンディングです。
不動産投資型クラウドファンディングでは、主にインターネットを通して不特定多数の人が不動産の建設や取得のために必要な額を投資し、サービス提供事業者が不動産の運営を行います。そして不動産から得られた賃料収入や売却益を投資家に分配するという仕組みです。
3-1.不動産投資型クラウドファンディングのメリット
不動産投資型クラウドファンディングのメリットは以下の3つです。
- 投資先が選べる
- 変動幅が小さい
- 社会貢献に繋がることもある
不動産投資型クラウドファンディングでは、後述する融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)と異なり、会社や案件が明確な上で投資先を選べるため、自身の気になった不動産に投資が可能です。
また、不動産は株式や為替などに比べると収支の変動リスクが低く、株価や金利の変動による大きな影響を受けることも少ないといえます。クラウドファンディングでは運用期間も比較的短めなため、現物不動産以上に変動幅が小さくなり得る点もメリットです。
そして、不動産投資型クラウドファンディングにおけるプロジェクトには、保育園建設・古民家再生・空き家活用など、社会貢献に繋がるものも多くあります。現物の不動産を購入するにはハードルが高くても、こうした社会的意義の高いプロジェクトに簡単に参加できるのもメリットの一つといえます。
3-2.不動産投資型クラウドファンディングのデメリット
不動産投資型クラウドファンディングのデメリットは以下の2つです。
- 倒産リスクがある
- 流動性が低い
不動産投資型クラウドファンディングの出資先は、非上場企業や小規模事業者も多いため、案件によっては業績悪化や倒産によって貸し倒れが発生するリスクが無視できません。
また、プロジェクトの多くは運用期間があらかじめ設定されています。出資後、原則的に解約は禁止で権利を売却することも不可能です。したがって、その他の投資と比較すると流動性は低いといえます。
4.融資型クラウドファンディング
3つ目は融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)です。
融資型クラウドファンディングとは、資産運用をしたい投資家と資金を融資してほしい企業をマッチングするプラットフォームサービスのことです。プラットフォーム提供者はあくまでも借り手に融資を行う存在であるため、融資した資金から発生する金利を出資者に分配します。
4-1.融資型クラウドファンディングのメリット
融資型クラウドファンディングのメリットは以下の3つです。
- 最低1万円から投資できる
- 比較的利回りが高い
- 投資先が幅広い
融資型クラウドファンディングのメリットの1つに、最低1万円から投資できる点が挙げられます。投資家は様々なプロジェクトに分散投資がしやすく、これを行うことである程度損失のリスク回避が可能です。
加えて、融資型クラウドファンディングの投資先は、不動産、発展途上国のローンファンド支援、ソーラー事業支援など多彩な選択肢があります。利回りに関しては案件によって大きくばらつきがありますが、年利4~10%ほどが平均であり、比較的高い水準にある点もメリットの1つです。
4-2.融資型クラウドファンディングのデメリット
融資型クラウドファンディングの主なデメリットは以下の2つです。
- 投資先が見えにくい
- 投資先が倒産するリスクがある
- 流動性が低い
融資型クラウドファンディングは、以前は投資先(融資先)が匿名化されていることも多く、自分がどんな企業に投資しているのかわからないこともありました。匿名化が原則不要となった今でも、サービスによっては投資家から見えにくい点があるため、事業者およびプロジェクト(融資先)の選択が大切なポイントだといえます。
そして、融資型クラウドファンディングも融資先や運営会社の倒産による貸し倒れリスクがあります。仮に融資先が資金を返済できない場合は、運営会社や投資家が損失を被ることになるものの、過去の資金回収率を確認するなどで貸し倒れリスクを図り対策することは可能です。
なお、融資型クラウドファンディングでも不動産投資型と同様、契約期間中は原則として解約は不可能な点に留意する必要があります。
5.元手の10万円は生活費以外からが鉄則
仮に、これから10万円の投資資金を用意する場合、月に5,000円~1万円程度など無理のない金額から準備を行いましょう。これは、余剰資金から投資に使用できる資金を用意しなければ、生活が困窮してしまいかねないためです。
投資は、生活費には手を付けずに余剰資金で行うことがポイントです。また、10万円を無駄にしないためにも、投資のリスクに詳しくなるなど勉強していくことが必要です。
まとめ
本記事では、10万円から始められる3つの投資方法の解説をしてきました。それぞれの特徴やメリット・デメリットをしっかり把握し、自分に合った投資方法を検討してみましょう。
また、10万円という金額は日常生活から考えると決して少なくはないものでしょう。無理をして生活資金から捻出はせず、必ず余剰資金から拠出するようにしましょう。また損失の可能性を下げ、少しずつ勝率を上げていくために、少額から投資を行いつつ勉強していくことも大切です。
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鈴原 千景
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