新型コロナウイルス感染拡大は、世界経済に影響を及ぼし、新型コロナ不況またはコロナショックと言われる経済不況を引き起こしてきました。ロックダウンなどにより強制的に飲食業や観光業などで市場が急激に消失するなど、需要と供給の両面から悪化する新しいタイプの危機が生じました。
しかし各国で前例のない規模の財政政策と金融政策が実施されたことにより、危惧されていたような経済崩壊は回避されました。むしろ想定を上回る急速な景気回復が進み、インフレ懸念がでるまでに回復してきました。
またオンライン消費や在宅勤務の普及などデジタル経済への移行が加速する中、新たな経済構造への転換も同時進行しています。コロナ禍をきっかけとしたビジネス・チャンスも生まれており、投資家も銘柄選定に頭を悩ませています。
今回は、これまでの一連の騒動を振り返りつつ、今後のアフターコロナの投資で気になる業種について解説していきます。
目次
- コロナ時の投資行動の変化
1-1.コロナショック発生直後の心境
1-2.コロナショック発生からしばらく時間がたった後の投資行動 - ニューノーマルを考える
2-1.コロナ禍における消費者の行動変化
2-2.今後前提となる環境 - アフターコロナの投資
3-1.ニューノーマルの中で脆弱だと思われる業種
3-2.コロナ後の世界で業績が改善している業種
1.コロナ時の投資行動の変化
まずはコロナショック発生直後と、しばらく時間がたった後の投資行動について整理しましょう。
1-1.コロナショック発生直後の心境
- 資産価値(特に株や投資信託)の減少が不安で様子見
- 資産に余力がある人は、株価が下がっている今が買い時
- 自分の仕事など先行きの不透明感で投資どころでない
- 情報が錯綜して何が正しいのか判断できず様子見
1-2.コロナショック発生からしばらく時間がたった後の投資行動
- 様子見を継続
- 資産の買い増しを行った
- リスクのある資産を売却
- 新たな投資商品や投資業種の発掘
- 投資を止めた
置かれた状況や過去の経験などを元に、様々な投資行動を取ったと思われます。現在から当時を振り返るとコロナショック直後に株式を購入した場合、その後の株式の上昇により、値上がり益を享受できたといえるでしょう。しかし、ここまでの劇的な変化は誰も予想が出来なかったことです。
当初はリーマンショック並みの金融危機が懸念されていたものの、資産価格の下落は2020年の2月下旬から3月上旬の僅か2~3週間で収束しました。本来は何年もかかるような経済環境の変化がわずか1年程度で進行し、金融市場にもプラス・マイナスの両面から劇的な変化がもたらされています。
超金融緩和により債券利回りが大きく低下し、債券から株式への資金ローテーションが発生したかと思えば、現在は当初のデフレ懸念がインフレ懸念に転換するなど資産運用環境も激変しています。
コロナ騒動明けの投資では、何に気を付ける必要があるでしょうか。一つ言えることは、2020年の急回復のブームに乗り遅れたからと焦って株式を買ってはいけないということです。1年で大きく変化する市場であるため、コロナ後についてもしっかりと分析しなければなりません。
2.ニューノーマル(新しい当たり前)を考える
世界は「ゼロコロナ」から「withコロナ」へ舵を切り直しました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の対応は、これまでの社会基盤や生活様式を大きく変えてしまいました。
また人々が慣れたことで、コロナ感染がインフルエンザの様に当たり前の世の中に戻ったとしても、全てがコロナ前の状態に戻るというよりは、ニューノーマルの世界に移っていくと考えた方が自然でしょう。
2-1.コロナ禍における消費者の行動変化
コロナ前 | コロナ後 | ||
---|---|---|---|
食事 | オフィス周辺で外食 | ⇒ | 在宅勤務が増えたため自宅周辺で外食 |
デリバリー | |||
夜はたまに飲み会 | 飲み会の頻度は激減 | ||
大人数での団体予約が激減 | |||
買い物 | 外出して買い物 | オンラインショッピングが増加 | |
仕事 | オフィスに出社 | 在宅勤務が増加 | |
都心意外にもレンタルオフィス | |||
出勤時間を趣味に有効活用 | |||
9時から17時までが基本 | 時差出勤で働き方改革 | ||
対面会議 | オンライン会議 | ||
紙で稟議 | オンライン稟議 | ||
海外出張 | オンライン会議 | ||
旅行 | 団体旅行 | 少人数で旅行 | |
住宅 | なるべく都心のオフィスに近いところ | 出社回数が減ったため郊外へ | |
公共機関 | 電車・バス・飛行機 | 自家用車・タクシーの利用が増加 |
2-2.今後前提となる環境
景気が悪化すれば政府はすぐに財政出動を出し、⾦融政策も緩和スタンスを維持する可能性があります。一方で日本を除く世界は、昨年やり過ぎた反動でインフレ懸念が台頭していま。
大きく経済指標が悪化せず財政は様子見となれば、金融政策は利上げ方向となるでしょう。日本では新内閣の元で、新たな財政出動が出てくる可能性があります。ワクチン開発や経口薬承認の進展次第では人流が復活し、経済活動も活発化するでしょう。
変異株(デルタ株・アルファ株)による、ウイルスの変化による感染拡大に注意が必要です。ただ既に多くの対処方法が経験値として積み上がっており、従来のような行動制限は減少する可能性があります。
コロナショックがもたらした個人投資家の台頭といった市場構造の新たな変化にも留意する必要があります。コロナ期間中に、FXや証券口座の開設数が激増したように、在宅勤務が増え時間が出来た人たちが投資の世界に参入しています。
これまで日本で眠っていた預貯金が動き出し、株価を支えることになるかもしれません。既に米国ではロビンフットという取引手数料無料をセールスポイントにした個人向けの証券会社経由の取引が市場を動かし、存在感を増大させています。
3.アフターコロナの投資
社会が大きな変化を迎える局面では、新しい商品やサービスが多く生まれます。実際、行動制限などによりサイバー空間(仮想社会)が拡大し「社会全体のIT化」が加速しています。
3-1.ニューノーマルの中で脆弱だと思われる業種
- 陸運業
- ⼩売業
- 宿泊業
- 飲⾷サービス業
- ⽣活関連サービス業
- 娯楽業
- 医療福祉
どれも対面でのサービスが中心となっている業種です。
投資を完全に避けるということではなく、これまで通りの営業形態から脱却しニューノーマルに合わせた営業スタイルに変化出来た会社を選別して投資しましょう。
3-2.コロナ後の世界で業績が改善している業種ニューノーマルに合っていると思われる業種
- 電気機器
- 情報通信機器
- 教育・学習⽀援
- 機械器具
- ⾮鉄⾦属
- ⾃動⾞関連
- 不動産
コロナ後の世界で業績が改善している業種です。下記のいくつかのポイントを取り込めていることから業績が好調なのでしょう。
- グローバルな政策効果に伴う世界経済の回復
- 資産価格安定を背景とした資産効果
- 「密」を回避するニーズ
- オンライン対応も含めた新たなライフスタイル
- テレワークによる新たな教育やワーキングスタイル
- 脱炭素を中⼼とした新たな環境対応
- コロナショックに伴う経済安全保障、⼀定の国産化
現時点のニューノーマルに合った業種と言えますが、今後どのように変化するかは分かりません。環境の変化によって、いつ勤務先の会社がダメージを受けるのか分かりません。投資には余剰資金を使うという大原則を改めて確認しておきましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム
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