バリュー株・グロース株投資のメリット・デメリットは?銘柄の見つけ方も

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バリュー株投資とグロース株投資とは、株式投資における運用スタイルを表します。バリュー株投資とは実質的な企業価値より割安な水準で株価が推移している銘柄に投資することを言い、グロース株投資とは企業の売上成長率が高く、今後も高い成長が続くと期待される企業に投資することを言います。

今回は、バリュー株・グロース株それぞれのメリット・デメリット、投資方法について解説します。

目次

  1. バリュー株とは
    1-1.バリュー株投資のメリット
    1-2.バリュー株投資のデメリット
    1-3.バリュー株投資に適した環境と銘柄の見つけ方
  2. グロース株とは
    2-1.グロース株投資のメリット
    2-2.グロース株投資のデメリット
    2-3.グロース株投資に適した環境と銘柄の見つけ方
  3. グロース株投資とバリュー株投資の検証
    3-1.日本
    3-2.米国
  4. まとめ

1.バリュー株とは

バリュー株とは本来の企業価値と比較し、割安に放置されている株のことを指します。PERが低く、PBR(純資産倍率:1株当たりの企業の解散価値と株価を除した値で1より低い場合は解散価値より株価が安い)が1を下回っている銘柄も珍しくありません。

米国の投資会社、バークシャー・ハサウェイのCEOであるウォーレン・バフェット氏がバリュー株の投資家として有名です。同社では銘柄を絞り込み、株価が下落し割安になった時点で投資するという運用方針を取っています。同社は2020年9月に日本の5大商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、丸紅、住友商事)の株式を5%(約7,300億円)取得し、バリュー株投資が話題となりました。

1-1.バリュー株投資のメリット

バリュー株のメリットとしては、グロース株と比較し株価の下落率が低いことが挙げられます。もともと割安に放置されているため、大きく下落するようなことはほとんどありません。割安な水準の株を購入することで、中長期的に株価の成長が期待できることもメリットです。

1-2.バリュー株投資のデメリット

バリュー株では株価が短期的に2倍、3倍に上昇することはまずありません。中長期投資が前提となるため資金が寝てしまうこともデメリットの一つです。

割安=買いということではありません。その銘柄が注目されることで割安が修正されるため、今後注目されそうな業種や銘柄を絞りこむ必要があります。

1-3.バリュー株投資に適した環境と銘柄の見つけ方

株式市場の急落時にバリュー株が見直される傾向があります。株価下落時にはPERやPBR が低下すると同時に配当利回りが上昇するためです。バリュー投資家にとって株価急落時は買い場です。市場が落ち着きを取り戻せば、株価の反騰が期待できるためです。

PER、配当利回り、PBRの3項目で銘柄検索ができます。PER10倍以下、配当利回り4%以上、PBR1倍以下で検索すると良いでしょう。

2.グロース株とは

グロース株は成長株とも呼ばれ、売上成長率や利益率が高く、今後も高成長が期待できる銘柄のことを示します。企業の成長が期待できるため投資家からの人気が高く、株価が短期間に2倍、3倍に成長する銘柄もあります。

2-1.グロース株投資のメリット

グロース株の最大のメリットは、短期間に株価が2倍、3倍に成長することも珍しくないことです。また中長期的に企業成長が期待できる銘柄に投資をすることで、株価が10倍、100倍、それ以上に成長する可能性もあります。

米国のアマゾンの株価は、1997年5月の1.73ドルで上場してから、2021年2月5日現在で約3,350ドルに上昇しています。第2、第3のアマゾンにも投資できることがグロース株投資の醍醐味です。

2-2.グロース株投資のデメリット

デメリットとしては、配当利回りが低い、株価が割高であるケースも多いことなどが挙げられます。また、ファンダメンタルズ(企業の業績や財務状況)を理由に株価が下落した場合、本来の企業価値に株価が収れんする傾向があることにも注意が必要です。この場合、いったん株価が下落すると下落前の水準に戻るまでには時間がかかります。

グロース株の配当利回りが低い傾向にあるのは、企業が利益を株主への配当金よりも、成長のための設備投資等にまわすためです。また、株価が割高ということを具体的に言えば、グロース株のPER(株価収益率:株価を一株当たりの純利益で除した指数)は市場平均より高く、なかには100倍を超えるような銘柄も珍しくありません。

2-3.グロース株投資に適した環境と銘柄の見つけ方

グロース株投資は株式市場が活況な時に向いています。株価が上昇している時はリスクマネーが株式市場に押し寄せ、値動きの軽い銘柄が買われる傾向が強いためです。株価の上昇が新たな資金を呼び込む材料となり、株価が売りをこなし上昇する環境にあります。

グロース株は時流に乗った銘柄が多く、PERや売上成長率が高いという特徴があります。銘柄探しには証券会社が提供しているスクリーニング(銘柄検索機能)を使うと便利です。

検索にはPER(予想PER)が20倍以上、ROE(自己資本利益率)が20%以上、売上成長率10%以上、時価総額500億円以上、自己資本比率40%を基準に検索すると良いでしょう。合わせて自己資本比率を高めに設定することでリスクを減らすことができます。

グロース株に投資する場合はチャート分析も有効です。値動きが激しい銘柄が多いため売買のタイミングが重要となるからです。基礎的な分析方法を学んでおくと良いでしょう。

加えて、IPO(新規株式公開)銘柄もグロース株に該当します。該当企業は今後の成長に向けた資金調達を効率的に行えるように上場するため、今後の成長が期待できます。IPO銘柄は人気が高く、購入には抽選に当たる必要がありますが、当選確率は高くありません。比較的IPOの当選確率が高い証券会社を選び、地道に抽選に参加を続けるのも一つの手段です(参考記事:IPOの抽選・配分方法3種類の特徴と、当選チャンスが多い証券会社5選

3.バリュー株投資とグロース株投資の検証

今後の運用方針を決めるにあたって、バリュー株の指数とグロース株の指数の騰落率を検証し、どちらの指数が効率的かを調べてみました。米国の金融サービス企業であるMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は、日本や米国のグロース指数やバリュー指数を公表しています。指数は過去から現在までの各期間について、騰落率を検証しました。

3-1.日本におけるバリュー株・グロース株の騰落率

下表は2021年2月4日時点の各指数の騰落率を示しています。

日本の騰落率(%)

項目 1年 3年 5年 10年 20年 30年
バリュー指数 1.62 9.48 0.04 55.82 35.45 45.8
グロース指数 23.18 24.55 47.7 163.58 42.19 14.38
TOPIX 8.35 2.62 20.54 107.51 44.4 7.57

グロース指数はいずれの運用年限においてもTOPIXを上回っていましたが、バリュー指数は1年、5年、10年、20年の騰落率がTOPIXを下回りました。バリュー指数とグロース指数を比較すると、30年以外はグロース指数がバリュー指数を大きく上回っています。日本のこれまでの市況では、資産形成に適しているのはグロース銘柄と言えます。

3-2.米国におけるバリュー株・グロース株の騰落率

米国については、グロース指数の騰落率が全ての期間において、バリュー指数やS&P500指数を上回る結果となり、バリュー指数はS&P500指数を全ての期間において下回っていました。米国においても資産形成するにはグロース銘柄が適していると言えます。

米国の騰落率(%)

項目 1年 3年 5年 10年 20年 30年
バリュー指数 0.67 8.89 37.32 103.57 84.22 562.1
グロース指数 47.05 94.04 156.94 362.96 351.04 1950.36
S&P500 20.19 44.81 87.64 207.64 190.19 1077.82

まとめ

グロース株とバリュー株を比較すると、パフォーマンスはグロース株がバリュー株を上回る結果となりました。

グロース株は乱高下が激しいため、個別株に投資する場合はリスクが高く、投資初心者には難易度が高い部分もあります。しかし、銘柄が分散された投資信託やETFに投資し、長期間保有することでリスクを回避しながら資産を形成することができます。

一方、バリュー株は個別銘柄を絞りこむことが容易なため、タイミングを見て投資することでリスクを抑え、中長期的に利益を目指せます。

どちらも銘柄の選び方やメリット・デメリットは異なるため、自身の投資スタイルに合わせて検証を進めてみてください。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。