コモディティ投資は、個人だと投資しにくい商品を取引できるほか、株式や投資信託などの値下がり相場におけるリスク分散を行えます。金・原油等の実物資産を投資対象としていることからインフレにも強く、利便性の高い投資商品となっていますが、リスクや商品の選び方などがよくわからないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、コモディティ投資の特徴や始め方、注意点について詳しく説明するので、関心のある方は参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・サービスの利用・投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は、2022年6月26日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- コモディティ投資とは
- コモディティ投資の商品の選び方
2-1.現物取引
2-2.投資信託
2-3.ETF
2-4.先物取引
2-5.CFD取引 - コモディティ投資ができる証券会社
3-1.SBI証券
3-2.楽天証券
3-3.GMOクリック証券
3-4.IG証券 - コモディティ投資の注意点
- まとめ
1 コモディティ投資とは
コモディティ投資とは、金、原油、農産物など「商品市場」に対する投資行為を指します。商品自体に価値のある実物資産なので、株式のように企業の業績悪化や倒産といった心配をする必要がなく、証券とは異なる性質を持つ資産クラスとして、リスク分散を目的にコモディティ投資が行われることもあります。
例えば、ポートフォリオを株式のみで構成している場合、リーマンショックなど株式市場全体を揺るがす金融危機の際は高リスクとなりますが、株式市場と相関性の低い実物資産を組み合わせたポートフォリオならリスク低減効果を望めます。
また、インフレ(=物価上昇)に強いのもコモディティ投資の特徴です。物価上昇に合わせて実物資産の価格も上昇しやすいため、インフレ期でも高いリターンを期待できるのです。実際、世界的に高インフレとなっている2022年6月24日時点では、コモディティに幅広く投資する「iシェアーズS&P GSCIコモディティ・インデックス・トラスト」の年初来リターンは+40.04%を記録しています。
2 コモディティ投資の商品の選び方
コモディティ投資の対象金融商品には「現物取引」「投資信託」「ETF」「先物取引」「CFD取引」があります。以下、各商品の特徴を詳しく確認してみましょう。
2-1 現物取引
現物取引とは、インゴット(金地金)やプラチナなどの現物を取引する方法です。農産物や原油は、個人で保管および取引することは難しいため、コモディティ投資における現物取引のほとんどは金や銀、プラチナ、ダイヤモンドなどの貴金属となっています。
金貨などの現物は、貴金属メーカーや商社、デパートなどで購入することが可能で、売却先はオークションや買取店等になります。現物取引は、実物資産を手元に置いておく安心感はあるものの、保管方法や取扱いが難しく、セキュリティ面にも配慮する必要があります。銀行の貸金庫などはより安全ですが、高額な保管手数料がかかります。
一方、金や銀を証券会社が保管し、少額から積み立てるサービスもあるので、現物取引の管理方法で悩んでいる場合、投資信託やETFなども検討候補になります。
2-2 投資信託
投資信託とは、投資家から資金を預かり、ファンドマネージャーといわれる投資のプロが投資家に代わって運用する方法です。株式などでは難しい売買タイミングなど、高度な投資判断をファンドマネージャーに任せることができます。
投資信託の主な種類は、「アクティブファンド」「インデックスファンド」の2つがあります。アクティブファンドは、ファンドマネージャーの裁量によって銘柄選びや売買タイミングが決められる投資信託であり、インデックスファンドは、指数に連動するように運用される投資信託です。
コモディティを対象とする投資信託には、金や農作物などの現物、少額で始められる純金積立、先物価格に連動するように設計されている銘柄などがあります。いずれも専門家が運用してくれるため、投資初心者でも始めやすいのが特徴です。
2-3 ETF
ETF(上場投資信託)とは、株式のようにリアルタイム取引が可能な投資信託です。インデックスに連動するように設計されているため、ETF銘柄を一つ購入すれば、市場を丸ごと購入したのと同様の効果を得られるほか、通常の株式と同様に、証券口座から売買することができます。
例えば、金価格に連動するETF銘柄の「SPDRゴールドシェアETF(GLD)」は、実際に金を保有しているのと同等な効果が得られるだけでなく、手軽に売買できるので、株式投資に慣れている方のほか、投資初心者にも向いています。
このほか、農産物に投資するETF銘柄の「インベスコDBアグリカルチャー・ファンド(DBA)」は、大豆やトウモロコシ、小麦など11のコモディティに分散投資することが可能になります。
2-4 先物取引
先物取引は、将来決められた期日に行う商品の受渡しと、代金決済の条件を現時点で契約する取引です。委託証拠金を預託することで、レバレッジをかけられるので、投資資金よりも大きな取引が可能になります。
また、先物取引は「売り」からも入れるため、値下がり局面でも利益を狙うことができます。先物取引には「取引期日」があり、取引期間内であれば、ポジションを持ち続けることができますが、期日を迎えたら決済しなければいけません。
中でも商品先物取引は、ハイリスク・ハイリターンな上、先物取引独自のルールもあるため、中・上級者以上向けの商品となります。
2-5 CFD取引
CFD取引とは、Contract For Differenceの略で、「差金決済取引」のことを指します。CFD取引は、取引結果の差額を取引するデリバティブ商品なので、商品先物のように現物の受渡しは行いません。
一方、CFD取引では、先物取引と同様にレバレッジをかけられるので、少額から大きな取引行うことができるほか、「売り」からも入れるため、相場上昇時・下落時に関わらず利益を狙うことも可能です。
また、CFD商品によっては、ほぼ24時間取引可能なので、日中忙しい人でも取引に参加しやすいのも特徴です。CFD取引は、基本的に短期売買向けの商品なので、デイトレードやスキャルピングトレードに適した商品です。
3 コモディティ投資ができる証券会社
現物取引を除いて、コモディティ投資を始めるためには、証券口座を開設する必要があります。以下では、コモディティ投資ができる証券会社をご紹介します。
3-1 SBI証券
SBI証券は、手数料が業界最安水準で取扱商品も豊富なため、投資初心者から上級者まで幅広い層から利用されている証券会社です。
SBI証券で行えるコモディティ投資は、投資信託、ETF、CFD取引、積立取引になります。SBI証券の投資信託では、業界最多クラスの投信銘柄を取り揃えており、ETFは、業界最安水準の取引コストで売買することができます。
SBI証券のCFD取引では、メジャーなコモディティ商品である金CFDと原油CFDの取扱いもあり、レバレッジを効かせたトレードが可能です。また、金、銀、プラチナの積立取引もあり、1,000円から積み立てることができます。
積立単位は、「定額」と「定量」とあり、定額であれば1,000円以上1,000円単位(1回の設定につき上限1億円)、定量であれば、「金・プラチナ」1g以上1g単位、「銀」10g以上10g単位(1回の設定につき上限10,000g)となり、積み立てた金・プラチナに関しては、100gから引き出し可能です。
積立取引の買付手数料は、金・銀・プラチナともに約定代金の1.65%(税込)、売却手数料は無料となっています。
3-2 楽天証券
楽天証券は、取引コストの安さや豊富な取扱商品、充実したサービスなど総合評価の高い証券会社です。
楽天証券で行えるコモディティ投資は、投資信託、ETF、先物取引、CFD取引、積立取引になります。楽天証券の投資信託は、数多くの投資信託を取り揃えており、ノーロードファンドも多いのが特徴です。
楽天証券の先物取引では、金・金ミニ・金スポット、銀、白金・白金ミニ・白金スポット、パラジウム、ゴム、大豆、トウモロコシなど、商品先物も豊富です。CFD取引においては、金、銀、原油CFDが提供されています。
また、高性能取引ツール「マーケットスピードⅡ」を利用できるのも楽天証券の強みです。マーケットスピードⅡでは、ETFや商品先物のトレードが可能なほか、アルゴ注文を活用することもできます。
SBI証券同様、楽天証券にも積立取引サービスがあり、1,000円から積立でき、積み立てた金・プラチナは100gから引き出し可能となっています。
3-3 GMOクリック証券
GMOクリック証券は、「GMOフィナンシャルグループ」の完全子会社で、CFD取引に強い証券会社です。
GMOクリック証券で行えるコモディティ投資は、投資信託、ETF、CFD取引になります。中でもCFD取引は、金・銀、原油、天然ガス、コーン、大豆など、商品先物の種類が豊富です。
また、GMOクリック証券では、CFD専門の取引ツールである「はっちゅう君CFD」を利用可能なので、資金振替から注文までツール一つで完結します。マルチモニターにも対応しており、レイアウトを自由にカスタマイズすることができるので、自分だけの使いやすい取引環境を追求できます。
このほか、ワンクリックで発注可能な「スピード注文」が搭載されているため、短期トレードを行いたい方にも使いやすくなっています。
3-4 IG証券
IG証券は、ロンドンを本拠地として構え、グローバルにサービスを展開している証券会社で、トップクラスのCFD銘柄数を取り揃えています。
IG証券のCFD銘柄数は、商品先物だけでも27銘柄(※2022年6月26日時点)あるほか、他社では取扱いの少ないココア、コーヒー、綿花、牛肉CFDなどの取扱いもあります。また、IG証券のCFD取引は、業界最低水準のスプレッドで取引できるので、取引コストを気にせずに売買することができます。
また、高機能取引ツール「プロリアルタイムチャート」をCFD取引で利用できます。プロリアルタイムチャートでは、100種類以上のテクニカル指標が使えるほか、自動売買が可能となっています。
4 コモディティ投資の注意点
コモディティ投資では企業業績に直接的な影響を受けない一方、国際情勢や需給、金融政策によるマクロ的な要因で価格変動するケースが多くなります。また、コモディティ投資の対象となるエネルギーや農産物などは、米ドルで取引が行われているため、為替市場の影響も受けやすい点も考慮する必要があります。
また、コモディティ投資の中でもCFD取引や先物取引などの証拠金取引は、含み損が一定水準にまで達すれば追証(証拠金の追納)となるリスクもあるので、注意が必要です。
まとめ
コモディティ投資は金・原油などの現物資産を対象とした取引なので、リスク分散として活用できるほか、インフレから資産を防衛する手段としても役立ちます。また、投資信託やETFなら少額取引も可能なので、初心者の方でも始めやすくなっています。
一方、コモディティ投資の対象となる商品は、ボラティリティが大きく、短期間で相場状況が変わることもあるので、余裕資金の範囲内で取引を行うなど、リスク管理を徹底することも大切です
コモディティ投資に興味のある方は、商品の特徴や注意点を十分に理解した上で、検討してみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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