感情的に取引すると、株式投資を長く続けるのは難しくなります。株価が大きく下落すると、怖くなって株式を売ってしまう可能性が高くなるからです。
この記事では20年以上の投資歴を持つ筆者の観点から、株式投資を長く続けるコツと、リスクへの対策などについて解説します。
目次
- 株式投資を長く続ける3つのコツ
1-1.投資計画書を作っておく
1-2.自分にあった投資方法を見つける
1-3.株式市場が暴落しても投資をやめない - 長期投資の銘柄を選ぶ方法
- 株価指標をチェックする
3-1.PERとは
3-2.PBRとは - 投資は余裕資金で行う
- 株価の動きに一喜一憂しない
- まとめ
1.株式投資を長く続ける3つのコツ
株式投資を長く続ける3つのコツについて解説します。
1-1.投資計画書を作っておく
株式投資をする時、株価が下がると怖くなって感情的な取引をしてしまう可能性があります。そこで、あらかじめ投資方針を決めてルールを守ることが大切です。自分で「投資計画書」を作成し、不安になった時に読み返すと効果があります。
これは、私も実践している方法です。投資計画書とは、自分がどのような方針で投資をするかをまとめたものです。簡単な箇条書きでも構いません。不安や感情に左右されずに冷静に判断するために、投資計画書を作成してみることをおすすめします。
1-2.自分にあった投資方法を見つける
長期的に株式投資を続けるためには、自分に合った方法で投資することが大切です。
株式市場は上下動が激しく、企業が倒産することもあります。株価が下がった時にチャンスと捉える人もいますが、不安な人は、個別株の代わりに、リスクを分散させた投資信託やETFに投資する方がいいでしょう。これにより、個別企業のリスクを回避できます。
自分に合った投資商品を選び、リスクを最小限に抑えながら長期的な投資を継続することが大切です。
1-3.株式市場が暴落しても投資をやめない
株価が下がった時でも、あわてる必要はありません。株式市場は何度も暴落を経験してきましたが、その後に復活しているからです。過去の日本や米国の株価指数を見ると、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックなどで暴落しましたが、克服し上昇しています。
ですので、株式市場を信じ、途中で売却せずに目標期間まで長期保有するようにしてください。暴落時こそ、チャンスという考え方もあります。冷静に対処して、着実に投資を続けることが大切です。
2.長期投資の銘柄を選ぶ方法
長期投資は数年~数十年といった期間で投資します。株価を頻繁にチェックする必要がなく、時間を節約できるのがメリットです。
長期投資での銘柄探しでは、業績に注目します。株式の価値は業績などファンダメンタルズに従うため、業績がよい企業を買うことが大切です。業績のよい企業の株価は、業績が上がるに従って上昇します。
ただし、株価は日々上下するため、市場全体が下がった場合には、業績がよい企業でも株価が下がることがあるので注意が必要です。
長期投資では、将来成長が期待される企業を探して投資します。将来どの企業の株価が上がるかを予測し、銘柄選択をすることがポイントです。
3.株価指標をチェックする
長期投資では、ファンダメンタル分析が大切です。ここでは、代表的な株価指標である「PER」と「PBR」について解説します。
3-1.PERとは
PERは「Price Earnings Ratio」の略で、株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍で取引されているかを示す投資尺度です。PERの計算式は、以下の通りです。
- PER=株価÷1株当たり純利益(EPS)
PERは、現在の株価が企業の利益に対して割高か割安かを判断する目安として使われます。PERが低いと、株価が割安であることを示します。通常、1株当たりの純利益は当期の予想値が使われます。この指標を利用することで、投資家は企業の利益状況を評価し、株価が適正かどうかを判断できるのです。
3-2.PBRとは
PBRとは、株価が1株あたりの純資産価値(BPS)の何倍で取引されているかを示す投資指標で、計算式は、以下の通りです。
- PBR=株価÷1株当たり純資産(BPS)
PBRは、企業の株価がその資産価値に比べて高いか低いかを判断する目安として使われます。PBRが低い場合、企業は割安と見なされます。
以前は、PBRが1倍であることが底値の目安でしたが、最近では1倍以下で長期間推移する企業も多くなっており、PBRが1倍を下回るだけで底値とすることはできません。
ただ、日本では大型株でもPBR1倍割れが4割を占め、欧州の2割、米国の1割未満に比べて多い状態です。そこで、東京証券取引所は約3,300社が上場するプライム市場とスタンダード市場に対して、資本コストや株価を意識した経営をするよう通知文を発表しました(参照:日本取引所グループ「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」)。
この通知文では、PBRが1倍を下回ることが「成長性が投資家(株主)から十分に評価されていないことを示唆する1つの指標」として問題視されました。今後、自社株買いや増配などの対応を行う企業が増えるかどうかに注目しています。
4.投資は余裕資金で行う
投資は余裕資金で行うことが大切です。
株を長期保有している間は、現金がしばらく株に使われることになります。もし急に出費が必要になった場合、手元に現金がないと困るでしょう。株を売れば現金を確保できますが、株価が大幅に下落している場合は必要な現金を確保できない可能性があります。
そのため、株式投資に使うお金は最低限の生活費以外の余裕資金に限定するようにしてください。例えば、2〜3ヶ月分の生活費は確保しておき、残りのお金を株に投資するようにします。投資は余裕資金で行うことが重要です。
5.株価の動きに一喜一憂しない
長期保有では、日々の株価の値動きに一喜一憂しないことが大切です。
株式を長期保有する場合、株価は毎日上下します。しかし、少しの値下がりに怖くなってすぐに売ってしまうと、長期投資の目的を達成できません。
もしかすると、明日には大きな値上がりが待っているかもしれません。ノイズ程度の下落で怖くなって株式を手放すのは避けるようにしてください。日々の株価の値動きに一喜一憂せず、冷静に投資を続けることが大切です。
まとめ
株式投資を長く続けるためには、自分にあった投資方法を見つけて、継続する必要があります。とくに、リーマンショックやコロナショックなど株価が大きく下落する局面では売りたくなりますが、途中で売却せずに目標の期間や金額まで長期保有することが大切です。
日々の株価に一喜一憂することなく、着実に投資を続けるようにしてください。
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山下耕太郎
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