投資後に株価が10倍になる「テンバガー」。実は、テンバガー(10倍株)銘柄は日本でも毎年のように誕生しています。
この記事では、テンバガー銘柄の特徴と候補銘柄を見つける方法について解説します。
目次
- テンバガーとは
1-1.100倍以上に上昇する銘柄も - テンバガー銘柄の特徴
2-1.低位株であること
2-2.時代のトレンドに乗っている - テンバガーまで株価が上昇するパターン
3-1.テーマ株の流れに乗る
3-2.業績悪化で大きく売られた銘柄
3-3.業績の伸びが数年続いてテンバガーを達成 - まとめ
1.テンバガーとは
テンバガーとは、株価が10倍になりそうな銘柄や、なった銘柄のことです。野球用語で「バガー」は塁打を意味し、1試合でテンバガー(10塁打)を記録するぐらいの勢いで株価が上昇し、10倍まで跳ね上がる銘柄をテンバガーと呼ぶのです。
1-1.100倍以上に上昇する銘柄も
テンバガー銘柄として有名なのは、スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」を手掛けるガンホー(3765)です。2012年5月の安値140円から、2013年5月の高値16,330円まで約117倍と、テンバガーどころか100倍以上の上昇となり、アベノミクスを象徴する銘柄になりました。
他にも医療関連銘柄や派遣会社、IT企業など国内で100倍になった銘柄だけでも30を超えます。「株価10倍」というとすごい銘柄のように感じますが、実はテンバガー銘柄は数多く誕生しているのです。
2.テンバガー銘柄の特徴
それでは、どのような銘柄が10倍株になりやすいのか、テンバガー銘柄の特徴について見ていきましょう.
2-1.時価総額が小さい低位株であること
時価総額の小さい低位株がテンバガーになることは珍しくありません。時価総額とは、株価に発行済株式数を掛けたものです。そして低位株とは、一般に株価が500円以下の銘柄のことを指します。低位株には売買(出来高)が少なく、マーケットの注目を集めていない銘柄も多いのですが、新商品の発表や業績の急成長などがあると、突然投資家の買いが殺到することがあるのです。
株価が安く出来高の少ない銘柄は一度注文が集まると株価が上昇しやすく、2倍・3倍になることも珍しくありません。そして、やがてテンバガーになる銘柄もあるのです。
2-2.時代のトレンドに乗っている
過去のテンバガー銘柄を見ると、スマートフォンの普及やアウトソーシングの拡大など、時代の大きなトレンドに乗り、業績を伸ばした企業が多いことがわかります。テンバガー銘柄を見つけるためには、時代のトレンドを意識することが大切なのです。
現在のコロナ禍では、テレワークなど新しい働き方の拡大、そしてAI(人工知能)や自動化の進展、バイオ創薬の再評価など世界の潮流になりそうなトレンドを追いかけ、関連銘柄を探すようにするといいでしょう。
3.テンバガーまで株価が上昇するパターン
テンバガーというと、短期(1年以内)に一気に株価が上昇すると考えている人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。もちろんそういう銘柄もありますが、5年~10年程度の時間をかけて中長期的にテンバガーを達成している銘柄のほうが多くなっています。
テンバガーを達成するためには、時間をかけることも必要だといえます。それでは、どのような銘柄がテンバガーを達成するのでしょうか。
3-1.テーマ株の流れに乗る
テーマ株投資とは、話題の材料に関連する銘柄を「テーマ」として捉える投資手法です。社会問題に関するものや新技術など、テーマの内容は多岐にわたります。テーマ株は突然大きく値上がりすることで注目されます。
例えばがん免疫療法に強みをもつテラ(2191)は、新型コロナ相場でテンバガー1号となった銘柄です。テラは、アベノミクス相場初期の2012~2013年にかけてもテンバガーを達成しています。2012年6月の株価275円から、2013年5月の4,970円まで、約18倍上昇したのです。
しかし今回は、2020年3月の安値92円から6月の高値2,175円まで約23倍の上昇と、アベノミクス相場時の上昇率を上回っています。4月に細胞や遺伝子などを使った先端医療支援を手掛ける「セネジェニックス・ジャパン」と新型コロナウイルスの治療法開発の共同研究契約を結んだことが材料となり、急騰が始まりました。テラは100円以下で推移していましたが、今回の発表により2,000円を超える上昇となったのです。
テーマ株では、時流に乗ると比較的短期間でテンバガーを達成する傾向があります。
3-2.業績悪化で大きく売られた銘柄
業績が悪化し、どん底の状態から黒字転換した銘柄も大きく買われることがあります。テーマ株ほどではありませんが、比較的早いスピードで株価が上昇します。
自治体向けのメディアやマーケティングを手掛けるホープ(6195)は、2019年にテンバガーを達成。1月の安値225円から12月の高値3,585円まで約16倍の上昇となりました。ホープは2019年にもっとも大きく上昇した銘柄になったのです。黒字転換したというサプライズからテンバガーの達成に繋がりました。
3-3.業績の伸びが数年続いてテンバガーを達成
テーマ株や業績の黒字化などは、短期間で大幅に株価が上昇するのでテンバガー銘柄として目立ちます。しかし実際は、企業の業績拡大が何年も続くことにより株価もそれにつれて上昇を続ける、いわゆる「成長株」と呼ばれる銘柄がテンバガーを達成することが多いのです。
上昇期間が長いものを見てみると、業務スーパーを展開する神戸物産(3038)は、リーマンショック後の2008年10月に53.3円の最安値をつけています(株式分割を反映)。そして、2020年7月の上場来高値6,940円まで約130倍の上昇。12年近くも上昇トレンドを続けているのです。
成長株がテンバガーを達成するスピードは、テーマ株などに比べて遅くなります。しかし、数年かけてさらに大きく上昇する可能性が高い銘柄が多いといえるのです。
リーマンショック以降にテンバガーを達成している銘柄はたくさんあるので、2018年・2019年に年間でテンバガーを達成した銘柄を紹介します。1年間という期間でみても、毎年のようにテンバガー銘柄は誕生しています。
年 | 銘柄 | 安値 | 高値 | 上昇率(倍) |
---|---|---|---|---|
2018年 | ジェネックス(9820) | 1,921円 | 45,950円 | 23.9倍 |
ALBERT(3906) | 1,200円 | 16,730円 | 13.9倍 | |
地域新聞社(2164) | 431円 | 5,000円 | 11.6倍 | |
エクストリーム(6033) | 610.5円 | 6,290円 | 10.3倍 | |
2019年 | ホープ(6195) | 225円 | 3,585円 | 15.9倍 |
レアジョブ(6096) | 217.3円 | 3,145円 | 14.4倍 |
まとめ
テンバガー銘柄は毎年のように誕生しています。そして銘柄によっては、100倍以上に株価が上昇することもあります。時価総額が小さい小型株や、収益力の高い成長株を保有すれば、テンバガーを狙える可能性は十分あるのです。
ただし短期間でテンバガーを達成する銘柄は少なく、ほとんどは長い時間をかけて上昇しています。大きな利益を得るためには、十分な時間も必要なのです。また短期間で急上昇した銘柄は、急落する可能性もあります。きちんとリスク管理をし、大きな損失を抱え込まないように注意しましょう。
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山下耕太郎
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