新規公開株(IPO株)は、個人投資家も抽選に参加して購入できるチャンスがあります。しかし、新規公開株は人気があるので、申し込んでもなかなか当選せず、抽選に参加するのを諦めている人もいるかと思います。この記事では、新規公開株の抽選に当たる確率を上げるコツと、購入方法について解説します。
目次
- 新規公開株(IPO株)とは
- 新規公開株の購入方法
- 新規公開株のメリット
3-1.初値が公募価格よりも高くなるケースが多い
3-2.短期間で利益が狙える
3-3.購入時手数料がかからない - 新規公開株のリスク
- 新規公開株に当選するには
5-1.複数の証券会社に申し込む
5-2.主幹事証券を狙う - 新規公開株に強みのある証券会社
6-1.SBI証券
6-2.マネックス証券
6-3.SMBC日興証券 - まとめ
1.新規公開株(IPO株)とは
新規公開株(IPO株)とは、非上場の企業が証券取引所に上場(公開)する際に販売される株式をいいます。株式公開では、既存株主が保有している株式の売却や、企業が新規資金を調達するために新規株式の発行が行われます。これにより、一般の投資家がその企業の株式を持つことができ、自由に証券取引所で売買できるようになるのです。
2.新規公開株の購入方法
新規公開株では、ブックビルディング方式が用いられています。ブックビルディング方式の流れは以下の通りです。
- 仮条件:新規公開の仮条件の価格が2,000~2,500円などと提示されます。
- 投資家は仮条件を確認し、仮条件の範囲内で希望価格を提示します。ただし実情では、人気のある銘柄は最高値を提示しないと購入できません。
- 発行株式数よりもブックビルディングでの申し込みが多い場合は、抽選がおこなわれます。
- 抽選に通れば当選となり、新規公開株を手に入れることができます。
3.新規公開株のメリット
新規公開株のメリットは、主に次の3つです。
3-1.初値が公募価格より高くなるケースが多い
新規公開株の価格はあらかじめ決められています(公募価格)。そして、新規公開株は公募価格によって一定の株数のみが売り出されます。そのため、公募価格で買えなかった投資家が上場時に買い注文をだすこともあり、人気銘柄では公募価格を大きく上回って初値がつくことも珍しくありません。
3-2.短期間で利益が狙える
新規公開株は、短期間で利益が狙える点も魅力です。新規公開株を手に入れるための抽選に申し込んでから、上場するまでの期間は2週間程度です。抽選で新規公募株を手に入れて初値で売却すれば、短い期間である程度のリターンが期待できるのです(ただし初値が公募価格割れをするケースもあります)。
3-3.購入時手数料がかからない
新規公開株は、購入時の手数料がかかりません。そのため、通常の株取引に比べてコストがかからないというメリットがあります(ただし売却時には必要)。
4.新規公開株のリスク
新規公開株の株数には限りがあるので、抽選がおこなわれても誰もが必ず新規公開株を手にできるわけではありません。そして、ブックビルディングでは需要申告申込期間が決まっているので、その期間中に必ず申し込みをしなければいけません。
また、新規公開株は公募価格よりも高い初値が必ずつくわけではありません。公募価格が割高だったり、今後の成長が期待できなかったりする銘柄は、公募価格よりも低い初値がつく可能性もあるのです。さらに上場直後は値動きが荒くなるので、初値が公募価格より高くても、その後大きく値下がりするリスクがあります。
5.新規公開株に当選するには
新規公開株の抽選に当選するためのポイントを解説します。
5-1.複数の証券会社に申し込む
最近は新規公開株の人気が高いので、ほとんどの銘柄が売り出される株式数よりも、ブックビルディングに申し込む株式数の方が多くなっています。そのため、競争倍率が非常に高い抽選に当選しないと、新規公開株は購入できないのです。
通常の株式投資では、今後上がる銘柄を見つけることが大切ですが、新規公開株の場合は抽選という狭き門をくぐり抜け、いかにして新規公開株を購入する権利を手にできるかが重要になってくるのです。
そして、新規公開株を手に入れる確率を上げるには、多くの証券会社で申し込むようにします。新規公開株は銘柄ごとに取扱い証券会社が決まっていて、証券会社ごとに新規公開株が割り当てられます。証券会社ごとに抽選がおこなわれるので、多くの証券会社に抽選を申し込めば、それだけ当選確率は上がるのです。
5-2.主幹事証券を狙う
新規公開株を手に入れるためには、複数の証券会社にブックビルディングを申し込む必要があります。ただ、とくに重要なのが主幹事証券で申し込むことです。なかなか当選しない証券会社で申し込むより、当たりやすい証券会社から申し込んだ方が、当選確率は上がるからです。
企業が新規上場する時に、さまざまなサポートをおこなう証券会社を「幹事証券」と呼びます。そして、中心的な役割を果たす証券会社が「主幹事証券」です。
売り出される新規公開株は、取扱証券会社ごとに割り当てられますが、主幹事証券の割り当てが圧倒的に多くなります。銘柄によって異なりますが、売り出し株数のうち80~90%が主幹事証券に割り当てられる場合もあるのです。
新規公開株の割り当てが多いということは、それだけ当選する確率も上がります。新規公開株を手に入れるためには、なるべく主幹事証券でブックビルディングを申し込むようにしましょう。
6.新規公開株で実績のある証券会社
新規公開株で実績のある証券会社を3社紹介します。
6-1.SBI証券
SBI証券の新規公開株の取扱い数(2020年3月期)は、証券会社でトップの86社です(SBI証券調べ)。新規上場した銘柄の約93.5%を取り扱いました。SBI証券を利用すれば、新規上場銘柄を手に入れるチャンスを広げることも可能です。
また、SBI証券にはIPOチャレンジポイントがあるのも特徴です。IPOチャレンジポイントは、ブックビルディングの抽選に外れた回数に応じてもらえるポイントで、次回以降の新規公開株の申し込み時にポイントを利用すると、当選確率がアップするというメリットがあります。
6-2.マネックス証券
マネックス証券の新規公開株ブックビルディングは、コンピューターによる完全抽選制なので、過去の実績や預かり資産などに関係なく、すべての投資家に公平に新規公開株の当選の可能性があります。また、マネックス証券の2019年の新規公開株取扱い実績は45件と取扱い銘柄も比較的豊富なので、それだけ当選するチャンスも多くなります。
6-3.SMBC日興証券
大手証券のSMBC日興証券は、毎年多くの新規公開株で主幹事を務めていて、取扱い銘柄数もトップクラスです。対面型証券会社ということもあり、ネット取引の投資家には10%の配分と少なめですが、主幹事を務める銘柄での当選確率は期待できるでしょう。
まとめ
新規公開株(IPO株)投資は個人投資家に人気がある投資手法です。ただ、ブックビルディングに申し込んで抽選に当たらなければいけません。当選確率を上げるには、複数の証券会社に申し込むことと、主幹事証券会社に申し込むことが必要です。
これから申込を考えている方は、少しでも当選確率を上げるための方法も検討して、新規公開株を手に入れるようにしてください。
山下耕太郎
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