株式投資に関連して「グロース投資」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。グロース投資は基本的な投資スタイルの1つではありますが、その内容についてよく理解していないという方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、グロース投資の概要やメリット・デメリット、銘柄の選び方などについて解説していきます。
目次
- グロース投資とは
1-1.グロース投資の対象となる銘柄の特徴
1-2.グロース投資とよく比較されるバリュー投資 - グロース投資を行うメリット
2-1.キャピタルゲインが大きくなる可能性がある
2-2.長期投資では短期的な値動きはあまり気にしなくていい
2-3.短期的な利益獲得にも向いている - グロース投資を行うデメリット
3-1.配当金が低いもしくはない
3-2.株価が割高な銘柄が多い
3-3.長期投資の場合、利益が出るまでに数年かかる
3-4.企業の成長がとん挫すると株価の反動も大きい - グロース投資を行なう銘柄の選び方とは
4-1.スクリーニング機能を使って銘柄を絞る
4-2.銘柄を絞る際に参考にするべき指標
4-3.成長株を探すためのポイント - グロース投資の注意点
- まとめ
1.グロース投資とは
グロース投資というのは、企業の売上や利益率が市場よりも高いと評価されている株式銘柄に投資をするというもので、株式投資の基本的な投資スタイルの1つです。
分かりやすく言い換えれば、利益を伸ばしている成長中の企業の株式を保有するということです。グロース投資の対象となる株式銘柄が「成長株」「グロース株」と呼ばれていることからも、その意味が分かるでしょう。
また、株式投資だけではなく投資信託やETF(上場投資信託)もその対象となり、成長株と呼ばれる株式銘柄をメインに運用されている投資信託やETFのことを「グロースファンド」と呼びます。
1-1.グロース投資の対象となる銘柄の特徴
グロース投資の対象となる銘柄は企業の利益率の高さを評価されていたり、今後の成長を見込まれたりしています。そのため、投資家の人気を集める銘柄が多いといえます。人気が高いということは、それだけ株価が高くなる傾向にあると見込まれていることになります。
また、グロース投資対象銘柄は配当利回りが低いという特徴があり、なかには配当がないものもあります。これは、企業の成長スピードが速いため、事業収益を配当に回すよりも事業に再投資する企業が多いためです。
つまり、配当金ではなく、株価の上昇によるキャピタルゲインによって投資家に還元しようと考えている、と考えられます。
1-2.グロース投資とよく比較されるバリュー投資
グロース投資とよく比較される投資手法があります。それが「バリュー投資」です。
グロース投資が成長株に投資する投資手法であることに対して、バリュー投資は割安株と呼ばれる銘柄を対象とした投資手法になります。つまり、市場や企業の価値に対して、評価が低い(=株価が低い)株式銘柄に投資をするスタイルとなります。
いずれも中長期的な値上がりを期待するものですが、これらの投資手法は方向性が全く異なりますので、その違いについてはしっかり理解しておきたいところです。
2.グロース投資を行うメリット
グロース投資には、以下のようなメリットがあります。
- キャピタルゲインが大きくなる可能性がある
- 長期投資では短期的な値動きはあまり気にしなくていい
- 短期的な利益獲得にも向いている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.キャピタルゲインが大きくなる可能性がある
グロース投資の最大のメリットは、大きなキャピタルゲインを得られる可能性があるということです。
成長株を保有してその銘柄が長期的な上昇トレンドを継続した場合、株価が大きくアップすることが見込まれます。2倍以上になることも多く、場合によっては数倍以上に株価が上昇するケースもあります。
そのため、一気に利益を上げたい投資家には魅力のある投資手法だといえます。
2-2.長期投資では短期的な値動きはあまり気にしなくていい
長期的な視点でグロース投資を行う場合、短期的な値動きを気にしなくてもいいというのもメリットの1つです。
先述したように、成長株を見極め保有した銘柄が上昇トレンドを継続している場合、ポジションを長く保有するほど株価は上昇しやすくなります。つまり、今日明日の株価の値動きを気にしてトレードする必要がないということになります。
企業の財務状況や決算報告などに目を通しながら、今後もその企業が成長するのかを見極めることができれば、将来的に大きなリターンを得ることができるでしょう。
2-3.短期的な利益獲得にも向いている
グロース投資は長期的な投資だけではなく、短期的なトレードでも利益を獲得できるケースがあります。
マーケット全体がリスクオンになっている場合や、企業の決算内容がかなり良い状況であれば、短期的に株価が急上昇する可能性があります。そのため、成長株の節目に注目することで、短期的に大きなキャピタルゲインを得ることも可能なのです。
3.グロース投資を行なうデメリット
一方で、グロース投資には以下のようなデメリットもあります。
- 配当金が低いもしくはない
- 株価が割高な銘柄が多い
- 長期投資の場合、利益が出るまでに数年かかる
- 企業の成長がとん挫すると株価の反動も大きい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.配当金が低いもしくはない
グロース投資のデメリットの1つが、配当金が低い、もしくはない銘柄が多いということです。
先述したように、グロース投資の対象となる企業は成長のスピードが速いため、事業から発生した収益を配当ではなく事業への再投資に回しているケースが多いためです。そのため、インカムゲインを狙って投資をしたい方にとって、グロース投資は向かないことの方が多いといえます。
3-2.株価が割高な銘柄が多い
グロース投資の対象となる銘柄は人気が非常に高いものも多いため、株価が割高であることが多いのもデメリットといえます。
特に、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)などの銘柄は、企業の価値だけではなく相場の方向性を先導するような影響力を持っているため、決算内容が悪かったり、大きくマイナスに影響する材料が発生したりした場合は、実態以上に高騰した株価が暴落する恐れがあります。
そのため、グロース投資をする場合は、日頃からリスク管理を徹底しておく必要があるでしょう。
3-3.長期投資の場合、利益が出るまでに数年かかる
グロース投資による長期的な投資は、大きなキャピタルゲインを得られる可能性がある一方で、利益を得るまでに数年単位で時間がかかるケースもある、というのもデメリットとなります。
短期間で利益を上げたいと考えているなら、グロース投資よりもスイングトレードやデイトレードなどの方が向いているといえます。
3-4.企業の成長がとん挫すると株価の反動も大きい
グロース投資では、企業の成長がとん挫してしまうと、株価への影響が大きくなりやすいというデメリットもあります。
企業の内部事情や方針転換など、さまざまなことがきっかけとなって成長が鈍化したり、業績が低迷したりすることがあります。特にグロース投資の場合、このような出来事に対して株価が敏感に反応することが多いので、利益どころか大きな損失が発生することも十分考えられます。
仮にこのような事態に陥っても対応できるよう、あらかじめ損切りラインを設定するなど、リスクをしっかりと管理したうえで投資を行なうことをおすすめします。
4.グロース投資を行なう銘柄の選び方とは?
ここからは、実際にグロース投資を行なうための銘柄の選び方について解説します。
4-1.スクリーニング機能を使って銘柄を絞る
投資する株式銘柄を選ぶ際に活用したいのがスクリーニング機能です。
スクリーニングとは銘柄をふるいに掛けるための機能で、無料で利用できるものや各証券会社が提供しているものまで様々なものがあります。具体的には、様々なファンダメンタル・テクニカル指標や株価などで条件検索を行い、該当する銘柄を抽出するものになります。
では、グロース投資においてスクリーニングをするために、どのようなデータを参考にすると良いのか見ていきましょう。
4-2.銘柄を絞る際に参考にするべき指標
グロース投資を行う場合に注目したいポイントは以下の3つです。
- 企業が持つ稼ぐ力
- 企業が成長するための余力
- 企業の成長力
これらが発揮されている銘柄で、かつ比較的割安な銘柄を探すのがコツとなります。
次に、グロース投資の対象となる銘柄を探すうえで重要になる指標は以下の通りです。
- ROE(株主資本利益率)
- 売上高成長率
- 経常利益増減率
ROE(株主資本利益率)とは、投資家から集めた資金からどれだけ効率よく利益を得られているのかを判断するために使われる指標です。10%を超えているかどうかが目安となり、超えている企業であれば売上が高く成長性も期待できる企業であると判断できます。
次に注目すべきは売上高成長率です。これは、1年間でどれだけ売上を伸ばしているのかを見るための指標です。過去5年程度の売上高成長率を確認し、順調に推移していれば投資の対象と判断することができます。
売上高成長率と合わせて確認したいのが経常利益増減率です。経常利益とは会社の総利益から販売管理費などのコストを引いた営業利益から、さらに財務コストなどの営業外損益を加減して求めるものです。つまり、1つの企業が経常的に稼ぐ利益のことを指します。
経常利益率が順調にアップしており、売上高成長率も同様にアップしている場合、利益が順調に拡大していると考えられます。
一方、経常利益が増えていても、売上高が減少している場合は、コストカットなどにより利益が増えている状況であると判断できます。また、経常利益が減少して売上高が増加している場合、コストが経営を圧迫している、もしくは単価を下げて売上増加につなげている可能性があります。
さらに、経常利益と売上高の両方が減少している場合、業績不振であると判断できます。
これらの指標を確認しながら、今後の成長に期待できる企業の銘柄を探していくことになります。
4-3.成長株を探すためのポイント
成長株を探すためには、先述した指標を参考にしながら、以下に当てはまる銘柄を中心に探してみるとよいでしょう。
- 売上や利益、業績予想、配当が年々伸びている
- 自己資本比率が20%以上ある
- ROEが高く収益力がある
①~③の条件に当てはまりつつ、時価総額が低い企業があれば、今後成長する余力を十分に残していると判断でき、グロース投資の対象と見ることができると考えられます。
5.グロース投資の注意点
グロース投資を行う場合の注意点には、以下の2つが挙げられます。
- 企業の倒産リスクを考える
- 株価が上がりきる前に株式を購入する
まず、株式を購入する企業が倒産するリスクについては、常に意識しておく必要があります。
仮に利益を上げている企業でも、実は倒産寸前だったというのは、実際にあり得ることです。企業が倒産してしまうと、利益どころではなく大きな損失を被る可能性がありますので、注意が必要です。
倒産リスクを見るためには、自己資本比率の確認を必ず行ないましょう。自己資本比率が20%以下の場合は倒産リスクが高くなるので、覚えておいてください。
また、業績が好調で将来的な成長が見込める場合でも、株価が上がりきってしまった状態では、大きな利益を得るのは難しくなってしまいます。
先述した成長株を見つけるためのポイントを意識しながら、今後成長する銘柄を探してみてください。
まとめ
今回はグロース投資の概要やメリット・デメリット、銘柄の探し方などについて解説しました。
グロース投資では将来的に大きなキャピタルゲインを得られる可能性があります。グロース投資を始めたいという方は、本記事を参考にしつつ、企業分析とリスク対策を詳細に行ったうえで挑戦してみてください。
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山本 将弘
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