株式投資をされている方でも、個別銘柄からインデックス(日経平均株価やTOPIX等)に投資をされている方も多いのではないでしょうか。
そのような方は株式市場の視点からマーケットを分析することが当たり前ですが、マーケットの商品というものはそれぞれ連動しているということは投資家にとって必要の知識とも言えるでしょう。
しかし一つの投資商品で投資を行い続けていると見方が偏ってしまうこともあります。
この記事では株式市場と為替市場の関連性を解説しながら、株の投資家がどのようにFXを利用できるかを考えていきたいと思います。
目次
- 株式市場とFXの関係は?
1-1.日本株と為替市場の関係は?
1-2.米国株と為替市場の関係は? - 日本円が売られる場面とその理由は?
2-1.企業が決済資金として米ドルを調達する場合に売られやすい
2-2.金利での利益が取りにくいため - 株式市場の投資家がFXを使いこなすには?
3-1.ドル円をロングポジションで保有する
3-2.金利が高い国の通貨に投資する
3-3.様々な国の通貨を保有してマーケットを把握する
1.株式市場とFXの関係は?
まず株式市場とFXの関連性について着目して解説したいと思います。
1-1.日本株と為替市場の関係は?
皆さんは株価と為替の関連性をどのように認識しているでしょうか。よく日本株が下落すると為替は円高になると言われていますが、その理由を知らない方も多いかもしれません。
最初に株価と為替の関連性を簡単にまとめたいと思います。
- 日本株が大幅上昇するときは円が売られやすい(円安方向)という相関があること
- ドル円が上昇すると日本株が上昇しやすいという相関があること
上の2つは同じことを意味しており、言い方を変えたものですが、どちらをメインのマーケットとして取引を行っているかによって相場の動きを理解するための思考回路が異なります。
しかし傾向として知っておくべきことは、日本株が下落すると円高になりやすく、日本株が上昇すると円安になりやすいということです。
1-2.米国株と為替市場の関係は?
次に米国株と為替市場の関連性について簡単にまとめていきたいと思います。
- 米国株が上昇すると米ドルが上昇する
- 米国株が上昇すると日本株も上昇する
この2つが投資家としては覚えておくべき相関関係ですが、上記をまとめて言い換えると米国ドルが上昇すると日本株も上昇するとも言えるでしょう。
日本株と為替市場の関連性で解説した、日本株が上昇すると円が売られる(ドル円の場合円が売られると相対的にドルが上昇する)の箇所に関連します。
このように、為替市場と株式市場の関連性は切っても切り離せないものであり、投資家は両者を利用することで、投資活動に生かす必要があります。
2.日本円が売られる場面とその理由は?
先ほど日本株が上昇すると円が売られるということを解説しました。そして、米国株が上昇すると米ドルが上昇するということを解説しました。
米国株と米ドルが上昇する理由は、将来的に株価が上昇すると中央銀行(FRB)が政策金利を引き上げる可能性が高まり、金利が上昇すると米ドルが高くなる、という流れを市場が想定するためです。また利上げが近くなるため、米国債金利が売られることから債券金利の上昇によって米ドルが連れ高となるという解説も可能です。
では、日本円が売られやすい理由とその場面はどのようなものでしょうか。
2-1.企業が決済資金として米ドルを調達する場合に売られやすい
円の場合は、日本株が上昇すると日本円はなぜか売られてしまうというのが市場の常識になっています。しかしこれは円の特徴的な動きであり、他の先進国通貨では当てはまらないということをしっかりと覚えておきましょう。
この理由としては、日本が戦後の経済成長を支えてきたのは自動車産業や半導体企業、つまり輸出企業が日本の経済成長を支えてきたという背景があります。そして輸出企業は海外での売上高比率が当然大きくなるため、外貨で売上代金を徴収することになります。
例としてアメリカで10ドル売上を得た場合、その時のドル円のレートが1ドル100円か1ドル110円かで日本円換算にすると10%も売上高が変動するということになります。つまり円安というのは日本の経済成長を支える一つのツールだったということです。そのためいまだにドル円の為替レートは自民党でも気にするポイント(自民党の票基盤が大企業であるため)になっているとも言われています。
2-2.金利での利益が取りにくい
また日本はゼロ金利政策をスタートしてから現在ではマイナス金利政策となっており、金利が上昇した記憶があまりない方も多いのではないかと思います。
そのため投資家心理としても日本の政策金利は引き上げられないという仮説が浸透してしまっており、日本株が大きく上昇した場合でも、金利自体は変わらないという意識になっていることも理由の一つとして挙げられるでしょう。
3.株式市場の投資家がFXを使いこなすには?
株式投資の投資家がFXを利用するためにはどのような方法があるのか解説します。
3-1.ドル円をロングポジションで保有する
例として、日経平均株価の投資信託やインデックスを利用している場合には、ドル円をロングポジションで保有するとリスクが増加することになります。(米ドル上昇と日本株の上昇は連動しやすいため)
一方で上記の場合でドル円をショート(空売り)したとすると、もし日経平均株価が下落してもドル円のショートで利益を出すことができるため、株式市場での損失をドル円のショートで軽減することができます。
これはポートフォリオ分散効果とも言えるもので、アセットクラスが日本株だけの場合FXを取り入れることで、リスク分散を図ることができます。
逆に、日経平均株価をショートして下落を待っている間は、ドル円をロングポジションで保有することで同じ効果が期待でき、米ドルの方が金利の高さを活用したスワップポイント(通貨金利)のメリットを享受することができます。
3-2.金利が高い国の通貨に投資する
低金利政策がどこの先進国も継続している時期には、大きな金利を享受することはできませんが、このような手法があることを認識しておきましょう。今後米国の政策金利が上昇する局面があれば年間で数%の金利が享受できる可能性もあるため、日本株をショートしている投資家がいればこの方法も検討していいのではないかと思います。
また米国株を保有している投資家はいつ米国株が緩和バブルから崩壊するのか怖い方も多いのではないかと思いますが、その場合でもドル円をショートすることで株価の下落による損失幅をドル円でヘッジすることが可能です。ドル円やユーロドルなど、主要通貨でのショートという方法があります。
投資を行っている国と全く関係のない通貨ペアで運用しながら、相場の大きな波を捉えつつ投資した場合、ポートフォリオとしてバランスを取ることができます。株価と為替は密接な関係がありますが、国が違えば全く異なる動きにあるため、リスク分散としてはとてもいい効果を発揮すると言えるでしょう。
3-3.様々な国の通貨を保有してマーケットを把握する
株式投資を行っている方がFXを行うメリットとしては、マーケットを俯瞰して理解することができる点があります。
日本株の場合は日経平均株価とか個別銘柄の決算情報等はチェックするかもしれませんが、世界の株価やニュースまでは初心者の場合なかなか目がいかないものです。
しかし自身でFXにも投資を行うことで自然とニュースが目に入り理解することができるため、最終的には株式投資を違う視点から考えるきっかけにもなるでしょう。
株式投資とFXを両方行うことは資産の分散や市場を深く理解することにつながるなどのメリットがあります。株式投資を行っているけどFXに興味があるという方は参考にしてみてください。
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中島 翔
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