株価を動かす要因はいろいろありますが、いつ飛び出してくるか分からない材料も多く、個人投資家がすぐに反応するのは困難です。しかし、経済統計は発表される時間が決められているので、あらかじめ予測を立てておくことができます。
ただ、経済統計によって株価が大きく動くこともあるので、チャンスだけでなくリスクもあります。すでに保有しているポジションを経済統計の前に決済しておくといったリスク管理も必要なのです。
この記事では、日本株を動かす要因となる日米の主な経済統計について解説します。
目次
1.日銀短観(日本)
日本銀行が3・6・9・12月の年4回、企業に景気の現状と先行きについてアンケートし、その分析結果をもとに日本の経済を観測する経済統計です。他の経済統計は数値の集計結果ですが、数値に表れない経営者の心理を調査しているのが特徴です。
もっとも注目度の高いのが業況判断D.I.で、プラスであれば景気が良い、マイナスであれば景気が悪いと判断します。
2.景気動向指数(日本)
景気動向指数は、景気の現状を知ったり、将来の動向を予測したりする時に使われる経済統計です。経済動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があります。
コンポジット・インデックスは、景気変動の大きさやテンポ(量感)を表し、2015年を100とします。そして数値が大きく増えているようであれば、景気回復が急ピッチであると判断するのです。
ディフュージョン・インデックスは、構成している経済統計のうち、上昇を示している指数の割合が50%を上回っている時は景気拡大、50%を下回っている時は景気後退と判断します。
3.雇用統計(米)
株式市場だけでなく、為替やコモディティ(商品)などマーケット全体に大きな影響を与える経済統計です。雇用統計は米国の雇用情勢を示す統計で、景気状況をはかるうえで最も重要な経済統計のひとつ。また FRB米連邦準備制度理事会は、金融政策の決定のときに物価の安定と雇用の最大化を目標としています。 FRBの金融政策を図る上でも雇用統計は重要なのです。
雇用統計は複数の項目で構成されていますが、中でも注目されるのが、非農業部門雇用者数と失業率です。 雇用者数は景気が後退すると減少し、不景気の終わりから少し後に回復しやすい傾向があります。
非農業部門雇用者数や失業率が予想を上回ると株式市場は上昇し、予想を下回ると下落する傾向にあります。
4.消費者物価指数(米)
小売りやサービス価格がどのように変化しているかを表す経済統計で、インフレを測る上で重要指標のひとつです。2021年10月の消費者物価指数は、前年同月比6.2%となり、1990年11月以来約31年ぶりに6%台に達しました。
緩やかな物価上昇は景気が回復している状況を示しますが、急激な上昇は消費を落ち込ませ、景気や株価のマイナス要因になります。
5.ISM非製造業景況指数(米)
ISM(全米供給管理協会)が算出する、非製造業の景況感を示す経済統計。0から100までのパーセンテージで示し、50%を超えると景気の拡大期、下回ると景気の後退期と判断します。
反応の大きさにムラはあるものの、景気の転換を示す先行指標として視線が集まっています。同じく製造企業を対象にしたISM製造業景況指数も注目されています。
6.米GDP
GDPとは国内総生産のことで、一定期間内に米国内で生み出されたモノやサービスの付加価値のことです。景気動向や経済成長を総合的に判断でき、中長期的な景気動向を判断するのに欠かせない経済統計です。
GDPは、雇用統計と同じぐらい株式市場で注目度の高い経済統計なので、必ずチェックするようにしてください。GDPの公表は四半期(3カ月)ごとで、1・4・7・10月に速報値、2・5・8・11月に改定値、3・6・9・12月に確定値が発表されます。
最もインパクトが大きいのは速報値なので、1・4・7・10月が特に注目されます。ただ、改定値が確定値でも大きな修正があった場合は株式市場に影響を与えるので、チェックしておく必要があります。
7.日米の金融政策にも注目
日米の金融政策も、株式市場に大きな影響を与えるのでチェックしておく必要があります。そして、なんといっても注目は米FOMC(連邦公開市場委員会)です。米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)が定期的に開く会合で、約6週間ごとに年8回、2日間にわたって開催されます。
政策金利や以後の金融政策を決める重要な会議です。そして日本では、日銀の金融政策決定会合が年8回開催されます。ただ、2012年から始まったアベノミクス初期は注目度が高かったのですが、最近は金融政策の大きな変更はなく、影響力は落ちています。
まとめ
経済統計の結果は、株式市場に大きな影響を与えます。事前に市場予想を確認しておき、結果発表でどちらに動くかを把握しておくことが大切です。とくにポジションを持っている場合は、大きな損失がでないようにリスク管理を徹底するようにしてください。
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山下耕太郎
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