「人生100年時代」といわれる中、将来の資産形成を考えて投資を検討する機会が増えています。投資にはさまざまな種類がありますが、少額投資が可能でリターンも期待できるほか、案件によっては社会問題や環境問題の解決にもつながるクラウドファンディング投資が今注目されています。
そこで、この記事では投資初心者の方のために、クラウドファンディング投資の仕組みとやり方、おすすめのサービスについて詳しく解説するので、ご参考ください。
目次
- クラウドファンディング投資とは
1-1.クラウドファンディング投資の種類
1-2.クラウドファンディング投資のメリット・デメリット - クラウドファンディング投資の始め方
2-1.投資するプラットフォームを決定する
2-2.投資したい案件を探す
2-3.投資した後はほったらかしでOK - クラウドファンディング投資ができるサービス5選
3-1.ネクストシフトファンド
3-2.オーナーズブック
3-3.クラウドバンク
3-4.ファンディーノ
3-5.リンプル - まとめ
1 クラウドファンディング投資とは
クラウドファンディング投資は海外では盛んに行われていますが、近年では日本でも普及が進み、さらなる成長が期待されている投資分野です。
クラウドファンディングとは、「群衆」を意味する「クラウド」と「資金調達」の意味を持つ「ファンディング」を合わせて作られた言葉です。優れたアイデアや技術を持つ起業家等が事業に必要な資金を集めるため、インターネット上で出資を広く募り、出資をした人には返礼品が送られることもあります。
クラウドファンディングはサービスの購入型や見返りを求めない寄付型を中心に普及してきました。しかし現在は、数千万円~数億円の案件に小口で投資できる機会としても注目されるようになり、投資手段の一つとして地位を確立しています。
1-1 クラウドファンディング投資の種類
クラウドファディング投資には、「リターンを求めるタイプ」と「求めないタイプ」があり、大きく以下の5種類に分かれます。
寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングは、リターンを求めず単純に事業を応援・サポートするのが主な目的となります。なお、寄付先の企業や個人によっては返礼品を提供するケースもあります。
購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングは、リターンとしてモノやサービスが提供されるクラウドファンディングです。主にクリエイターが作品を作り、量産化するための資金が不足している場合などに行われます。
出資者は優先的に製品やサービスを受け取ることができるのがメリットです。最近はビジネスのために資金を募り、出資者にクーポンなどで返礼するケースも増えています。
融資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディングはソーシャルレンディングとも呼ばれ、募集者がある事業のためのファンドを形成し、出資者を募集します。募集者は集めた資金を事業者に貸付け、その返済金から出資者に利益を分配します。
借り手は金融機関よりも高い利率で融資を受けることになりますが、それでも資金調達ができるメリットがあり、また出資者も高い利息を得ることができる仕組みとなっています。
ファンド投資型クラウドファンディング
ファンド投資型クラウドファンディングは、ある会社の特定の事業に対するクラウドファンディングを行います。会社の業績に左右されず、特定の事業の成果からリターンを得られるのが特徴です。事業内容は不動産投資に関する案件が多くなっています。
株式投資型クラウドファンディング
株式投資型クラウドファンディングでは、リターンとして出資先の株式を取得することができます。株式は基本的に未上場株になるため、換金性や流動性は乏しく、配当金も確実ではありません。
しかし、上場が決定したり、M&Aなどが行われたりした場合には、株式価値が出資額よりもずっと高くなる可能性もあります。クラウドファンディング投資の中で最もハイリスク・ハイリターンなタイプとなります。
1-2 クラウドファンディング投資のメリット・デメリット
クラウドファンディングを投資と考え、他の投資方法と比較した場合のメリット・デメリットについても確認しておきましょう。
クラウドファンディング投資の最大のメリットは、今まで個人では投資が難しかった案件に小口で参加ができるという点です。1万円程度から始められるクラウドファンディング投資も多いので、投資初心者の方でも気軽にチャレンジすることができます。
また、投資先を自分の好みで決定できることや、採算だけでなく企業やビジネスへの共感で投資先を決めることができる点もメリットです。投資によってリターンを得るだけでなく、その事業や企業を応援することが可能です。
一方、案件ごとの投資額に上限が設定されている場合もあり、集中投資によって大きな利益を上げるのは難しいのがデメリットになります。
また、リスクの高い案件があることにも注意しましょう。基本的には金融機関から資金調達できなかった企業の案件が投資対象となるため、倒産リスクや貸し倒れリスクなどが伴います。
クラウドファンディング投資をする際は、社会貢献性の高さや将来性のほか、リスクとリターンをよく比較して判断することが大切です。
2 クラウドファンディング投資の始め方
具体的な案件選びをする前に、クラウドファンディング投資を始める手順の確認をしておきましょう。
2-1 投資するプラットフォームを決定する
クラウドファンディングの投資案件は、運営事業者が提供するプラットフォーム(=サービス全体を支えている仕組み)で公開されています。プラットフォームによって公開される案件の種類や、平均的な利回り、開示されている情報などのルールに違いがあります。
まずは、自分の出資したい案件を多く持つプラットフォームを探して、会員登録を行い、専用口座に入金を行うことが最初のステップとなります。タイプごとに具体的にどのようなプラットフォームがあるかは後述します。
2-2 投資したい案件を探す
利用するプラットフォームを決定して、会員登録や口座への入金を済ませたら、次はプラットフォーム上で投資したい具体的な案件を探します。案件の選び方は人それぞれですが、まずは興味の引かれる案件をチェックし、事業内容や想定利回り、プロジェクトの期間などを確認します。
投資が初めての方なら高利回り案件よりも低リスク案件を選ぶのがおすすめです。例えば、利回りが比較的低めの案件(利回り2%~5%程度)や、流動性の高い不動産が担保に設定されている案件などを中心に選んでみると良いでしょう。
2-3 投資した後はほったらかしでOK
案件が決まったら、出資を行います。出資では、資金を全部投資するのではなく、手元に余裕を残して出資しましょう。できるだけ複数の案件に分散投資を行い、貸し倒れのリスクを避けるようにすると損失リスクの低減を図れます。
なお、投資をした後はほったらかしで運用できるものがほとんどです。プラットフォームから定期的に配当が行われ、その後の状況が報告されます。時間があるときにこれらの動向をチェックして、次の投資の参考にすると良いでしょう。
3 クラウドファンディング投資ができるサービス5選
現在注目されているクラウドファンディング投資のプラットフォームをご紹介するので、参考にしてみてください。
3-1 ネクストシフトファンド
鳥取県に本社を構えるネクストシフトが運営する融資型クラウドファンディングサービスがネクストシフトファンドです。「社会的インパクト投資」を掲げ、「貧困」・「教育」・「環境」・「地方創生」などのあらゆる社会問題解決への貢献と、投資家様への経済的リターンを同時に追求することを目指しています。
融資案件はカンボジアやジョージアと言った発展途上国へのマイクロファイナンス融資案件を中心となっており、利回りは5~7%程度となっています。
社長を務める伊藤 慎佐仁氏は鳥取県出身です。三菱UFJ銀行・ソフトバンクSBIホールディングスでそれぞれ取締役などを務めた経歴があります。他のソーシャレンディング会社と比較しても、経歴と人脈はかなりのものがあると言えるでしょう。
融資先については、海外担当者が必ず現地に赴き、情報収集を行ったうえで対象国を選定し、社内規定の融資審査に則って厳選しています。また、融資判断は大手都市銀行出身者、貸金業務取扱主任者の有資格者、マイクロファイナンス機関出身者などで構成される融資審査会で行われており、財務面、社会性(社会貢献度)の両方を満たしているかなどをチェックしています。
また、融資後も定期的に融資先マイクロファイナンス機関から報告を受けることに加え、担当者が現地に訪問し、融資先のヒアリングを行っているなど、しっかりとコミュニケーションを続けています。
2018年から運営を行っていますが、累計募集金額は数億円程度でまだ実績は少ないと言えます。一方でネクストシフト社はベンチャーキャピタル事業にも取り組み他の収益源も持っていることに加えて、鳥取銀行が株主であるなど、企業としての安定性や信頼性が高く、他のソーシャレンディング会社と比べて事業者リスクは低いといえます。
3-2 オーナーズブック
オーナーズブックは、東証プライム上場企業100%子会社のロードスターインベストメンツ株式会社が運営するサービスで、不動産事業向けの融資型クラウドファンディングとなります。全ての案件で担保が設定されており、サービス開始からデフォルト件数はゼロとなります。担保付きながら10%を超える高利回り案件があるのも、オーナーズブックの特徴です。
オーナーズブックでは、不動産のプロが厳選した案件に対して融資を募っていますが、そのビジネスの性質上、中長期の案件が多いため、案件数や実績などで他のプラットフォームと比べて伸びにくい面もあります。少額でできる不動産投資に興味のある方に向いています。
3-3 クラウドバンク
クラウドバンクは融資型のクラウドファンディングの中の大手の1社で、案件は国内外の不動産事業や再生可能エネルギー発電に関する事業が中心です。
クラウドバンクでは多くの案件で担保が設定され、2019年時点で平均利回り実績6.99%(年率)となります。さまざまな手数料が無料なため出資金以外でほとんど費用もかからず、ほったらかしでも運用可能なので、投資初心者の方にも向いています。なお、融資先が倒産する貸し倒れリスクや、元本保証が無い点には注意も必要です。
3-4 ファンディーノ
ファンディーノは日本初の株式投資型クラウドファンディングサービスです。多くのスタートアップ企業やベンチャー企業のプロジェクトが参加し、将来性や成長性、社会貢献性のある案件が並んでいます。まだ始まって数年ながらも、すでにイグジット(=利益確定)を達成した案件も出ており、多くの投資家から注目されています。
ファンディーノの運営会社は借り手となる事業者の選別や支援を行い、出資者は事実上の株主となって取得した株式の売却などから利益を狙うことができます。
投資先は医療やIT、バイオなどの先進的な案件も多く、プロの投資家からも高く評価されています。一方、ファンディーノで投資家登録するには制限があり、案件を選ぶ知識なども必要となるため、投資経験者向けのサービスといえます。
3-5.リンプル
Rimpleは、東証プライム上場グループのマンション投資会社「プロパティエージェント」が運営する不動産投資型クラウドファンディングです。リンプルの投資案件は、プロパティエージェントが企画・開発したマンション「クレイシア」シリーズが中心となっており、1口1万円からの少額投資が可能となっています。リンプルの年率の利回りは5%前後、運用期間は6ヶ月前後となっています。
また、リンプルでは、他社のポイントを、リンプルで使用できる「リアルエステートコイン」に交換し、投資をすることができます。永久不滅ポイントなどから交換することができ(※永久不滅ポイント:1000ポイント×4.5=4500リアルエステートコイン)、「1コイン=1円」の価値で不動産に投資することができます。今後も、ポイントサービスは順次追加されていく予定です。
リンプルは「優先劣後方式」の仕組みを採用しており、万が一運用による損失が発生した場合でも30%までは投資家の元本が守られる、という仕組みとなっています。
4 まとめ
クラウドファンディング投資は、将来性のあるビジネスや企業に出資してその事業を支援するための仕組みです。プラットフォームによって案件の特徴や投資するメリット・デメリットが異なるため、まずはよく比較してみましょう。
投資のリターンを狙いつつ、社会貢献などにも気軽に取り組むことができるクラウドファンディング投資は、今後の成長が見込まれる分野です。気になる方はこの記事を参考に検討してみてください。
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