不動産CFのクリアル(2998)、IPO情報や企業概要、今後の見通しも

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不動産投資クラウドファンディングなどを運営する不動産テック企業のクリアル(2998)が2022年4月28日にグロース市場に上場します。この記事ではクリアルの企業概要と、不動産テック業界の今後の見通しについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. クリアル(2998)がグロース市場に上場
    1-1.クリアルの事業内容
  2. オンライン不動産投資市場の市場規模は拡大
  3. 不動産投資のニーズも拡大
  4. 不動産クラウドファンディング業界の今後
  5. 主幹事がSBI証券のときは「IPOチャレンジポイント」を使う
  6. まとめ

1.クリアル(2998)がグロース市場に上場

クリアルは、資産運用プラットフォーム事業、ワンルームマンション投資、富裕層・機関投資家向け資産運用を行っている会社です。2011年5月11日に設立され、2022年4月28日にグロース市場に上場します。

クリアルの公募・売出条件

  • 市場 グロース市場
  • 仮条件  850~930円
  • 公募・売出価格 930円
  • 公募   743千株
  • 売出   259千株(OA150.3)
  • 主幹事 SBI証券

1-1.クリアルの事業内容

出典:クリアル目論見書

クリアルは、1万円から不動産に投資できる不動産ファンドのオンラインマーケット(不動産投資型クラウドファンディング)「CREAL」と、1億円から投資できる機関投資家・超富裕層向け資産運用サービス「CREAL Pro」などを展開しています。

CREALは、「不動産投資を変え、社会を変える」をミッションに、2018年11月にスタートした不動産投資オンラインマーケットです。これまで個人が投資機会を得ることが難しかった大規模不動産やESG不動産(人口減少、少子高齢化などの課題解決に貢献する環境・社会・企業統治に配慮した不動産)など、さまざまなタイプの不動産への投資機会を1万円から提供することで、誰もが資産運用を始められる社会の実現を目指しています。

また、グループ会社の株式会社クリアルパートナーズは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した中長期的な資産形成を目指す個人向け不動産投資運用サービス「CREAL Partners(クリアルパートナーズ)」を展開しています。

2.オンライン不動産投資市場の市場規模は拡大

クリアルがサービスを展開する不動産投資型クラウドファンディング市場は、世界的に高い成長が見込まれていて、日本国内でも2020年の850億円から2026年には1兆5,331億円まで成長すると予測されています。

そして、不動産特定共同事業法に基づき運営されるクラウドファンディングの運用資産残高調査において、『CREAL』が3年連続1位を獲得。高い資金調達力を誇っています。このことから、今後もクリアルの継続的なサービス拡大が期待されているのです。またIPOのテーマとして人気のある「不動産テック」事業なので、将来性も見込めます。

公募・売出価格が930円と購入単価が低いので、初値はある程度の上昇が見込めそうです。ただ、マザーズ市場が下落基調にあるなど、グロース株には逆風が吹いている状況なので、公募・売出価格の1.5倍(1,395円)程度が上限と筆者は考えています。

3.不動産投資のニーズも拡大

世界の運用資産残高は増加の一途をたどっており、日本においても、老後の年金問題に代表されるように、機関投資家、個人投資家ともに資産運用の重要性とニーズは高まっています。

そして、資産運用の中でも不動産投資は、株式など他の上場金融商品と比較して金融市場の影響を受けにくく、比較的安定した価値を持つことから、資産運用の重要な手段の一つとなっているのです。しかし、経営手法や業務プロセスには、まだまだ大きなイノベーションの余地があります。

クリアルは、ITプラットフォームの有無が、資産運用業界における競争優位性を左右すると考えています。そして、以前から機関投資家などのプロ向けに不動産投資運用サービスを提供していましたが、プロ向けの資産運用のノウハウをDXと組み合わせることで、一般個人が手を出しにくい閉じた市場である不動産投資市場に、すべての個人がアクセスできるプラットフォームを構築しているのです。

4.不動産クラウドファンディング業界の今後

不動産および不動産クラウドファンディング業界では、新型コロナウイルスの蔓延により、自粛や越境移動の規制が行われ、ホテルの稼働率低下や商業施設の営業時間短縮など、一部のセグメントで影響が長引いています。一方、手堅い需要が見込まれる住宅や物流施設には投資資金が流入しています。

例えば、マンション市場では、コロナ災害の影響で2020年に減少した取引件数が回復しつつあり、財政出動による潤沢な資金を背景に、1㎡あたりの単価や不動産価格指数は上昇基調を維持しているのです。

ただ、今後もコロナ禍による景気の先行きや新常態への移行、市場に流入する潤沢な投資資金の影響などを注視していく必要があります。

しかし、クリアルは売上高、当期純利益ともに伸びており、不動産クラウドファンディングの市場拡大とともに今後も期待できそうです。


出典:クリアル目論見書

5.主幹事がSBI証券のときは「IPOチャレンジポイント」を使う

クリアルの主幹事はSBI証券です。SBI証券が主幹事のIPO銘柄は、チャレンジポイントを使えば当選確率が上がります。

SBI証券に割り当てられたIPO株は、「優先配分」と「ネット抽選」に分かれており、ネット抽選の7割は完全抽選で行われます。この抽選では、多くの株数を申し込むとIPOに当選しやすくなります。そして、残りの30%はポイント抽選、つまり、IPOチャレンジポイントの数が多い順に当選者が決定されるのです。

ポイント数の多い順に当選が決まるので、長い目で見れば、ルール変更がない限り、必ずどこかで当選することができます。IPOに応募して「外れた」場合、「IPOチャレンジポイント1ポイント」がもらえます。このポイントを貯めて、いざという時に使えば、IPOの当選が期待できるのです。

まとめ

クリアルは「不動産テック」関連企業で、投資家の関心も高い業態です。しかし、マザーズ指数などのグロース株が弱い中、初値の上昇は限られそうです。ただ、今後の業績期待は高いので、公開後に押し目買いを狙っていく戦略は有効だと考えています。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011