コモディティ投資信託のメリット・デメリットは?特徴や手数料、人気ファンドも

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投資信託におけるコモディティとは、原油や金など、実体を伴う商品の事を指します。この記事では、コモディティとは何か、具体的な投資方法など、詳しい内容を網羅的に解説します。株式や債券、REIT以外の分散投資先をお探しの方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. コモディティとは
    1-1.商品先物市場を通じて取引を行う
    1-2.物価への影響もあり注目度が高い
    1-3.コモディティの種類
  2. コモディティ投資を行うには
    2-1.商品ファンド
    2-2.投資信託、ETF
    2-3.金、プラチナ積み立て
    2-4.CFD投資
  3. コモディティを扱うファンドやETF銘柄
  4. コモディティ投資のメリットとデメリット
    4-1.メリット
    4-2.デメリット
  5. まとめ

1.コモディティとは

原油や金など、世界に流通している汎用性の高い商品をコモディティと呼びます。

1-1.商品先物市場を通じて取引を行う

基本的にコモディティへの投資は、商品先物市場を通して行われます。主なコモディティは以下の通りです。

  1. 金やプラチナなどの貴金属
  2. 原油やガソリンなどのエネルギー
  3. とうもろこしや小麦などの農産物

日本の商品取引市場は大阪取引所と東京商品取引所で取引され、米国ではシカゴ商品取引所が有名です。投資信託やETFではファンドとして直接商品へ投資をせずに、商品指数をベンチマークとしたインデックスファンドとして運用されています。

1-2.物価への影響もあり注目度が高い

コモディティは景気や物価の先行きを見定める指標として、常に注目されています。原油先物価格として有名なWTI原油は生活に身近なガソリン価格や、物価の見通しを図る上で、とても重要な指標です。

以前は、商品の値動きと債券や株式の値動きには連動性がないとされていましたが、金融市場のグローバル化が進み、ある程度の関連性が考えられるようになりました。

1-3.コモディティの種類

コモディティは主に2つのカテゴリーに分けられます。

ハードコモディティ

  1. エネルギー
  2. 金属

ハードコモディティはエネルギーと金属の2種類。エネルギーはWTI原油や北海原油などの原油、NYヒーティングオイル、NY無鉛ガソリン、NY天然ガスが挙げられます。

エネルギーの中心となる原油価格は、需要と供給の生産バランスや、中東情勢、減産の方針が合意された場合などに国際情勢を反映して価格が変動することが多くあり、人々の生活に影響を与える重要な指標とされています。

ソフトコモディティ

  1. 農産物
  2. 畜産物

ソフトコモディティは、農産物と畜産物の2種類。農産物には、小麦、シカゴコーン、シカゴ大豆、小豆、米、コーヒー、砂糖、ゴムなどが挙げられます。天候不良や自然災害などによって需給バランスが崩れると価格変動に影響をもたらす点が特徴的です。

畜産物には、飼育牛や生牛、赤身豚肉などが挙げられます。畜産物も需給バランスによって価格に影響をもたらし、飼料の高騰や狂牛病などの疫病によって価格が変動します。

2.コモディティ投資を行うには

コモディティへの投資はどの窓口を通じて行うのが良いのでしょうか。

2-1.商品ファンド

商品ファンドでは、投資家から集めた資金を原油、貴金属、農作物などの商品先物取引へ分散投資します。一般的な投資信託とは異なり、購入者がファンドの匿名組合員となる匿名組合型が多くみられます。

以前は、商品先物仲介業者が数多く存在していましたが、最近ではほとんど見かけなくなりました。

2-2.投資信託、ETF

個人の投資家がコモディティ投資を行う場合、投資信託やETFを活用するのが良いでしょう。ベンチマークとする指標の投資先はエネルギーや農産物を中心にバランス良く分散されています。

コモディティは実体のある商品が投資対象となるため、インフレ時には値上がりが期待できます。分散投資の一環として、株式や債券と組み合わせたポートフォリオを組むとより高い分散投資効果が期待できます。

2-3.金、プラチナ積み立て

商品の中でも貴金属は、他の商品や株式、債券と値動きが異なるため、細かい分散投資を考える際は検討したいコモディティです。

金は世界共通の資産であり、紙幣が流通するまでの間、通貨としての役割を果たしてきました。長い間、通貨として扱われていた信用の基盤があるので、有事の時は金が買われる風潮がまだ残っています。古典的な資産形成の商品ですが、分散投資効果を狙うためポートフォリオには組み入れたいところです。

プラチナは希少性こそ金に勝るものの、景気変動の影響を受けやすく、また金のように通貨としての役割を果たしておらず、工業用としての利用が多くなっています。

金、プラチナともに投資信託を介して積立投資が可能です。

2-4.CFD投資

CFD投資で金、銀、原油などのコモディティへ投資することも可能です。CFD投資とはFXと同じく、現物のやり取りを伴わない差金決済によって収益を目指す運用方法で、主な特徴として、レバレッジをかけて少額でも大きな投資ができる、売りから入ることができる点などが挙げられます。

月曜から金曜までほぼ24時間取引ができる自由度の高さがありますが、反面、ハイリスクな取引になりがちなので、長期運用よりはピンポイントな投資に向いています。

1-3.コモディティを扱うファンドやETF銘柄

楽天証券より2021年12月14日時点の情報を抜粋しました。

投資信託 純資産(億円) 信託報酬(年率、税込) 基準価額 リターン(年率)/3年
eMAXISプラスコモディティインデックス 56.95 0.90% 8,504円 5.24%
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし) 52.68 1.803% 11,647円 7.08%
DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Aコース(為替ヘッジあり) 33.77 1.803% 11,063円 5.40%
ダイワ/「RICI(R)」コモディティ・ファンド 31.54 1.9255% 3,299円 7.02%
iシェアーズ コモディティインデックス・ファンド 13.52 1.0085% 5,782円 2.66%
SMTAMコモディティ・オープン 9.74 0.935% 8,698円 9.32%
ETF 純資産総額(百万) 基準価額 騰落率/1年
SPDR ゴールド・シェア 57,579.68 18,860.93 5.15

楽天証券よりコモディティを扱うファンドを5つ、ETFを3つピックアップしました。貴金属や農産物、エネルギーなど世界のコモディティへの分散投資を行うファンドが多く、デリバティブを用いたやや複雑な運用を行う傾向がみられました。したがって、信託報酬はやや高くなっています。

6ヶ月や1年で見ると、どのファンドも高いトータルリターンを出していましたが、3年で見ると、おおよそ7~8%程度のプラスとなっています。

ETF銘柄は主に貴金属が人気を集めており、純資産を積み上げていました。ETFは金、銀、原油、農産物などテーマごとに銘柄が分かれていますので、コモディティへ幅広く分散投資をしたい場合は、投資信託を選択したほうが良いでしょう。

4.コモディティ投資のメリットとデメリット

コモディティ投資のメリットとデメリットを確認しておきましょう。

4-1.メリット

主なメリットは以下の2点です。

  1. インフレに強い
  2. 分散投資が有効

エネルギー、貴金属、農産物などのコモディティは世界の人口増加や、新興国の発展によって、需要が増加します。コモディティの需要が増加すると、需給バランスの兼ね合いにより自然と物価が上昇し、相対的に現金の価値が下がってしまいます。

現金のままではインフレによる資産価値の低下から免れることはできませんが、コモディティに投資しておけば物価上昇に連動して資産価値もあがるため、インフレ時の資産価値を維持することができるのです。

金のような実体をもつコモディティは、実体をもたない株や債券とは別の値動きをする傾向があります。株式ファンドだけに投資していると下落相場では損失が大きくなる一方ですが、緩衝材としてコモディティに分散投資しておくと、損失と収益のバランスをとることができます。

ポートフォリオを組むときは、バランスを取るためにコモディティへの分散投資も検討したいところです。

4-2.デメリット

気をつけるべきコモディティのデメリットは以下の2点です。

  1. 価格の変動要因がわかりにくい
  2. インカムゲインがない

コモディティは商品ごとに価格の変動要因が異なり、さまざまなきっかけによって急な価格の上昇や下落が起こることがあります。原油のようなエネルギーや天然資源は、政治や世界情勢によって価格が変動しやすい特徴があり、中東情勢やエネルギーの需給バランスに変化があった場合、原油価格が大きく変動するケースが多くみられ、各方面へ与える影響も大きいため注意が必要です。

小麦などの農産物は、災害や天候不順などによる生産量の変化によって市場価格が変動します。天候不順はほぼ予測不可能とされており、コモディティ投資のデメリットとして挙げられるポイントです。

インカムゲインとは、株の配当金、家賃収入、債券や預金の利息のように、資産を持っているだけで入ってくる収益のことを指します。コモディティは実物資産であるため、配当金のようなインカムゲインは発生しません。コモディティそのものの価格変動によって、価値が上下します。

単体では複利運用の概念がないため、株や投資信託などの運用商品と比べると、長期的には相対的に収益が少なくなる可能性があります。コモディティ投資はメインの投資先でなく、分散投資先として考えたほうが良いでしょう。

まとめ

コモディティは株式や債券とは別の価格変動をする傾向がありますので、分散投資先として有効活用できる運用商品です。またコモディティはエネルギー、貴金属、農産物などのカテゴリーに分けられ、生活必需品とされているものが多いため、物価と密接な繋がりがあります。

インフレ時は相対的に資産価値が向上しますので、コモディティ投資は現金価値目減りの対応策として効果的です。株式に資産が集中している場合、分散投資先としてコモディティも検討してみてはいかがでしょうか。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。