コモンズ投信は、世代を超える30年の長期運用を理念に掲げて、持続可能な社会の実現に向けて邁進する企業を応援しています。資産形成を目的として運用しているファンドは、コモンズ30ファンドとザ・2020ビジョンの2種類。
長期運用をメインとするコモンズ30ファンドに対して、ザ・2020ビジョンは状況に応じてダイナミックな運用も行うとしています。記事内では、コモンズ投信が運用する2つのファンドについて、概要など詳細を紹介します。長期運用を前提とした運用先を探している人は、ご確認ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。
目次
- コモンズ投信が提案する未来を見据えた2つのファンド
1-1.30年の長期運用「コモンズ30ファンド」
1-2.変化にチャレンジする企業をピックアップ「ザ・2020ビジョン」 - コモンズ投信とは?厳選した銘柄で実りある長期投資を実現
2-1.キーワードはコモングラウンド(共有地)
2-2.投資家最善の利益の追求 - ファンドパフォーマンスを徹底分析
3-1.コモンズ30ファンド
3-2.ザ・2020ビジョン
3-3.ザ・2020ビジョンがコモンズ30ファンドの運用成績を上回る - 独立系運用会社の実力は?特徴やパフォーマンスを紹介
4-1.独立系運用会社の特徴
4-2.代表的なファンドを比較 - まとめ
1.コモンズ投信が提案する未来を見据えた2つのファンド
コモンズ投信では、以下3つのファンドを運用しています。
- コモンズ30ファンド
- ザ・2020ビジョン
- 子供トラスト
3つのファンドのうち、こどもトラストは子ども用の積立ファンドです。今回は、本格的な長期資産形成を目指すコモンズ30ファンドとザ・2020ビジョンの2つのファンドを紹介します。
1-1.30年の長期運用「コモンズ30ファンド」
コモンズ30ファンドは、30年、30社、対話の3つのキーワードを中心に据えた運用を目指しています。
ファンドが掲げる6項目の基本方針は以下の通りです。
- 投資の目線は30年とします。
- 投資対象は、原則として30銘柄程度とします。
- 企業との対話を重視します。
- 生活者(個人投資家)の参加する場を数多く提供します。
- 直接販売を主とします。
- 信託報酬の一部を社会貢献に活用します。
基本方針には、持続的な成長を目指す企業を厳選し、投資することで、豊かな社会を次世代につないでいく決心が見て取れます。世界での成長が望めるグローバル企業30社への投資は、企業の存続に繋がり、投資家の資産形成にも貢献できます。
コモンズ投信の銘柄選定の企業評価基準は以下のとおりです。5つの項目において、高い水準を維持している企業銘柄を選定します。
- 収益力
- 競争力
- 経営力
- 対話力
- 企業文化
目に見える収益力だけでなく、財務諸表だけでは見えない価値にも注目します。具体的には、差別化されたビジネスモデル、経営者の手腕、企業風土など。実際に触れてみて、魅力を感じた企業へのみ投資を行っています。
30年の長期運用を目標としているため、リスクを抑えつつ組入銘柄を長く保有する方針をとっています。インデックス投資による長期運用に少し物足りなさを感じる人は、詳細を確認してみてはいかがでしょうか。
1-2.変化にチャレンジする企業をピックアップ「ザ・2020ビジョン」
長期運用を前提としたコモンズ30ファンドに対して、ザ・2020ビジョンは機動的な投資にて成果を目指すファンドです。PER、PBR、配当利回りなどの定量評価をメインに、ダイナミックな運用を行うとしています。
ザ・2020ビジョンというファンド名には、2020年を日本のターニングポイントとして設定し、20フィート(約6メートル)先まで見渡せる正常視力を維持するという意味が込められています。
20フィート(約6メートル)という距離が長いのか短いのか、という話はさておき、ザ・2020ビジョンに込められているメッセージは、2020年を起点として、これから日本に起きる変化を正しく見極めたいという姿勢です。
銘柄選定はコモンズ30ファンドよりも多い50銘柄。PER、PBRなどの指標によって割安株を選定しつつ、ROE、利益成長率、利益率など、収益力に関する持続性も勘案した銘柄選定を行います。
ザ・2020ビジョンは、短期売買も含めた機動的な取引を行うと明言はされていませんが、ベンチマークを設けずにダイナミックな運用を行うとしている点から、積極的に収益を狙うアクティブファンドと判断できます。
2.コモンズ投信とは?厳選した銘柄で実りある長期投資を実現
独立系運用会社であるコモンズ投信の運用スタイルや、投資に対する思想など全体像を紹介します。
2-1.キーワードはコモングラウンド(共有地)
コモンズ投信が大事にしているキーワードは、コモングラウンド(共有地)です。コモングラウンドは、投資家と投資先企業、運用会社が集える場所を提供し、未来を信じる力(投資)をみんなで育んでいきたいという思想です。
企業や地域、人や事業への投資は、未来を信じる力。でも先の見えない投資への不安があって、参加をためらってしまう。そんな投資への不安も、みんなの力を合わせると乗り越えられる。みんなが集う場所を提供し、投資で企業や地域、人を活性化させていくことが持続可能な社会を実現すると考えています。
2-2.投資家最善の利益の追求
コモンズ投信では、金融庁が発表した「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、5項目の取り組みとそれぞれの詳細をWEBサイトにて公開しています。
投資家への利益の追求こそが最善のサービスと考え、短期目線の運用にとどまらず、長期目線での運用や積立投資の有効性も存分に取り入れる方針を採用します。これから資産運用をスタートする人にとって心強い内容です。
掲げた5つの宣言に対する具体的なアクションプランを以下に紹介します。
- 長期的な資産形成の有効性を発信していきます
- 長期投資、つみたて投資に関する情報を拡充していきます
- お客さまと企業との対話の機会を拡充していきます
- 議決権行使の考え方、個別の議決権行使の開示にも積極的に取り組みます
- 社会起業家や障がい者スポーツの応援を拡充していきます
(出典:コモンズ投信「フィデューシャリー・デューティー宣言」より)
投資家との対話にて信頼関係を築き、運用会社として投資家の信頼を裏切らない行動を心がけるという内容です。確固たる信頼のもと、できるだけ長い期間資産を預けて欲しい、という運用会社の意思を感じ取れる内容でもあります。
3.ファンドパフォーマンスを徹底分析
コモンズ投信が運営する「コモンズ30ファンド」「ザ・2020ビジョン」の2つのファンドについて、運用成績を元に2つのファンドのスタイルや運用手法を分析しました。
数値は2022年9月16日時点の情報です。
3-1.コモンズ30ファンド
基準価額 | 36,814円 |
純資産 | 35,937百万円 |
信託報酬 | 1.08% |
トータルリターン | −1.64%(1年) |
設定日 | 2009年1月14日 |
直近5期分の分配金
決算期 | 分配金(円) |
---|---|
2022年1月 | 0 |
2021年1月 | 300 |
2020年1月 | 250 |
2019年1月 | 0 |
2018年1月 | 250 |
設定来の分配金合計 | 1,910 |
全30銘柄中の組入上位10銘柄
銘柄 | 未来コンセプト(業種) | 構成比率 |
---|---|---|
1.信越化学工業 | 新素材 | 4.6% |
2.KADOKAWA(※) | 生活ソリューション | 4.0% |
3.三菱商事 | 資源・エネルギー | 3.8% |
4.丸紅 | 資源・エネルギー | 3.7% |
5. 東京エレクトロン | 精密・テクノロジー | 3.6% |
6. 味の素 | ウェルネス | 3.5% |
7.SMC | 精密テクノロジー | 3.5% |
8.ダイキン工業 | 快適空間 | 3.5% |
9.デンソー | 未来移動体 | 3.4% |
10.ディスコ | 精密テクノロジー | 3.4% |
(※)株式会社 KADOKAWAに関しては、2022年9月の東京地検による強制捜査やその後の役員の逮捕などを受けて、2022年9月6日と2022年9月15日にコモンズ投信から下記リリースが出されています。リリースでは、「自体の深刻さを痛感」「状況の把握や同社のガバナンスの改善や内部管理体制についての確認を行っていく」「個別対話についても、可能となるタイミングでしっかりと行っていく」「受益者の皆さまに対するご報告も真摯に努めていく」といった旨が記載されています。
参考1:2022年9月6日・コモンズ投信「「KADOKAWA に対する強制捜査及び役職員の逮捕」のニュースを受けまして」(PDF)
参考2:2022年9月15日・コモンズ投信「「KADOKAWA の取締役会長 会長執行役員 角川歴彦 氏 逮捕」のニュースを受けまして」(PDF)
3-2.ザ・2020ビジョン
基準価額 | 22,175円 |
純資産 | 7,163百万円 |
信託報酬 | 1.27% |
トータルリターン | −11.16%(1年) |
設定日 | 2013年12月27日 |
直近5期分の分配金
決算期 | 分配金(円) |
---|---|
2021年12月 | 0 |
2020年12月 | 150 |
2019年12月 | 120 |
2018年12月 | 0 |
2017年12月 | 0 |
設定来の分配金合計 | 270 |
全50銘柄中の組入上位10銘柄
銘柄 | 業種 | 構成比率 |
---|---|---|
1.KADOKAWA | 情報・通信 | 3.7% |
2.ネクステージ | 小売業 | 3.2% |
3.ソニーグループ | 電気機器 | 3.0% |
4.コナミグループ | 情報・通信 | 3.0% |
5. 任天堂 | その他 | 2.8% |
6.TDK | 電気機器 | 2.8% |
7.メイコー | 電気機器 | 2.6% |
8.デクセリアルズ | 化学 | 2.5% |
9.双日 | 卸売業 | 2.4% |
10.バイク王&カンパニー | 卸売業 | 2.2% |
3-3.ザ・2020ビジョンがコモンズ30ファンドの運用成績を上回る
コモンズ投信が提供するザ・2020ビジョンとコモンズ30ファンドを見比べてみると、運用期間5年の騰落率までは、全ての期間でザ・2020ビジョンがコモンズ30ファンドを上回る運用成績を残しています。
しかし、設定来の騰落率では、コモンズ30ファンドがザ・2020ビジョンに倍以上の差をつけて大幅に高い騰落率を出しました。両ファンドの運用期間には約5年の差があり、この期間の運用によって騰落率の差がついていると想定されます。直近5年間の運用で、ザ・2020ビジョンに起きた変化も気になるポイントです。
なお、分配金はコモンズ30ファンドのほうが多く出しています。
コモンズ投信のファンドから運用先を選ぶ場合、ザ・2020ビジョンとコモンズ30では明確な差別化がなされていないため、選択に迷う人も多いのではないでしょうか。コモンズ投信へファンドについて質問する機会があれば、両ファンドの直近5年間の運用成績の差や、設定来騰落率の開きについて聞いてみるとファンドを選ぶときの判断材料となるでしょう。
4.独立系運用会社の実力は?特徴やパフォーマンスを紹介
コモンズ投信を始めとする独立系運用会社は、金融機関や事業会社に所属する運用会社と差別化を図るため、独自の運用スタイルを展開しています。独立系運用会社の特徴や代表的なファンドを以下に紹介します。
4-1.独立系運用会社の特徴
独立系運用会社の特徴は、以下の2点に集約されます。
- 運用会社の顔が見える
- ファンドの新規設定を乱発しない
独立系運用会社は販売会社と運用会社が同じであることが多く、コーポレートサイトで運用担当者が明らかにされています。したがって、ファンドマネージャーが誰なのかわからない、ということがありません。
運用報告会やセミナーが盛んに開催されているため、運用担当者から投資の考え方や運用状況を直接聞くこともできます。お金だけ出して運用に参加するのではなく、主体的に運用に参加できます。
新規のファンドをめったに設定しない点も特徴的です。厳選したファンドにメッセージをのせて投資家へ届ける方針をとっています。受け取る投資家側も、わかりやすく選択に迷うことがありません。運用会社のメッセージに共感できるか?というポイントのみで選択できます。
4-2.代表的なファンドを比較
独立系運用会社が展開するファンドは、市場平均に対してどのような成績を上げているのでしょうか。各ファンドとカテゴリー平均、TOPIXの5年間のリターンを元に分析します。
※数値はモーニングスター掲載の2022年8月31日時点の情報です。
運用会社 | ファンド名 | 5年リターン | 同カテゴリー平均 |
---|---|---|---|
レオス・キャピタルワークス | ひふみ投信 | 4.70% | 5.44% |
鎌倉投信 | 結い2010 | 2.62% | 9.15% |
さわかみ投信 | さわかみファンド | 5.75% | 6.57% |
セゾン投信 | セゾン・グローバルバランスファンド | 7.32% | 2.95% |
TOPIX上場インデックスファンドの5年間リターンは6.26%です。
カテゴリー平均にはやや劣るものの、TOPIXの5年間リターンに勝るファンドもある、という結果になりました。セゾン投信のセゾン・グローバルバランスファンド以外はやや苦戦を強いられています。
独立系運用会社は、顔の見える信頼関係を元にした運用に強みがあります。運用成果だけでなく、それぞれのファンドの強みや特徴も合わせたファンド選びも重要なポイントです。
まとめ
コモンズ投信では、中長期の運用成果を目指して、コモンズ30ファンドとザ・2020ビジョンの2つのファンドを運用しています。コモンズ30ファンドは30年を前提とした長期運用を目指し、ザ・2020ビジョンは中長期を見据えながら、ダイナミックな運用も行う方針です。
ファンドごとの明確な差別化がされていない点は気になるポイントですが、双方とも、各期間のTOPIXのリターンは超えています。
同社は対話や信頼関係構築のために、趣向を凝らしたセミナーやイベントを定期的に行っている点が特徴的です。運用成果の他に投資に意味を見出したい場合、同社を含む独立系運用会社への投資は満足度を高めてくれるでしょう。
sayran
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