子供が生まれると出産祝いに始まり、七五三、入園祝い、入学祝いなどさまざまなお祝い金を受け取る機会があります。せっかくいただいたお祝い金なので、子供のために有益な使い方をしたいものです。この記事では、子供のお祝い金の使い道と管理、運用方法などについて解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 子供のお祝い金の使い道
1-1.お祝い返し
1-2.子供のために必要な物を買う
1-3.子供の口座に貯金
1-4.教育費や教育資金準備
1-5.お小遣いの原資
1-6.子供に管理させる
1-7.投資教育の資金 - 子供のお祝い金の運用
2-1.ジュニアNISA(2023年で廃止)
2-2.未成年口座での運用
2-3.預貯金
2-4.NISA
2-5.個人向け国債 - 子供名義の口座を親が管理する場合の注意点
3-1.名義預金と見なされる可能性が高い
3-2.子供が成人すると親は引き出せない
3-3.休眠預金になるリスクも - まとめ
1.子供のお祝い金の使い道
子供のお祝い金の使い道にこれといった正解はありません。基本的に子供のためであれば、どのような使い方でも問題ないでしょう。ここでは、選択肢として考えられるお祝い金の使い道を紹介します。
1-1.お祝い返し
お祝いをいただいたら、あまり間を開けずにお祝い返しをするのがマナーです。お祝い返しの相場は、いただいたお祝いの半額から3分の1程度といわれています。お祝い返しを済ませるまでは、お祝い金に手を付けないほうがよいでしょう。お祝い返しが終わって残ったお金を子供のために使います。
1-2.子供のために必要な物を買う
一般的に出産祝いのお金は、「ベビー用品など子供のために必要な物を買うのに使ってください」という意味合いで贈られるようです。贈り主が品物を選ぶかわりにお金を贈るわけです。
出産、入園入学などのライフイベントには、さまざまな支出があります。お祝いの一部でも子供の洋服や文房具を買うのに使うと、贈り主も喜んでくれるでしょう。
1-3.子供の口座に貯金
取り急ぎ必要な支出がない場合、子供名義の口座を作って貯蓄するケースがほとんどでしょう。ただし、教育費として使いたい場合は子供名義の貯金にはせず、親の名義で貯めておくほうが無難です。口座の真の所有者は、入出金などお金の実際の管理をする人だからです。
1-4.教育費や教育資金準備
子供のお祝い金は将来の大学進学資金などのために運用するのも選択肢の1つです。その場合は、ジュニアNISA(子供名義)や親名義のNISA口座などで運用します。
また、運用せずに中学や高校の学費や、塾や習い事の月謝に充てる方法も考えられます。子供に関する高額な支出にお祝い金を使うのも、有効活用といえるでしょう。
1-5.お小遣いの原資
将来の学費でなく、お小遣いのために運用することもできます。子供のお小遣いは年齢とともに高額になります。
中学生・高校生になると、教育費の積立などをしながらお小遣いをアップさせていくのが負担になるケースもあるでしょう。もらったお祝い金を運用して増やしながらお小遣いとして取り崩していくと、資産寿命の延命が期待できます。
1-6.子供に管理させる
お小遣い帳が付けられるようになったら、子供自身にお祝い金の一部または全額を管理させてもよいでしょう。将来は自分のお金を自分で管理しなければならないので、予行演習となります。ときどき親がチェックするようにして、大きな問題がなければ使い道に口出しをしないようにしましょう。
1-7.投資教育の資金
子供が中学生以上になったら、お祝い金を投資教育の資金にするのも有益な活用方法です。
ジュニアNISAや未成年口座を作って、親の管理の下で投資を始めます。ネット証券などの未成年口座で取引可能なのは、投資信託など未成年でも少額から始められる運用商品です。100円からでも実際のお金で投資すると、緊張感を直接経験できます。
2.子供のお祝い金の運用
子供のお祝い金を運用する場合、大学の学費など10年以上の運用期間が取れる場合もあります。その場合、リスクを取って積極的に増やしてもよいでしょう。子供のお祝い金を運用する具体的な方法を紹介します。
2-1.ジュニアNISA(2023年で廃止)
ジュニアNISAとは未成年者を対象としたNISA(少額投資非課税制度)の一種です。口座は子供名義ですが、運用は親権者が行います。ジュニアNISAの運用益には課税されませんが、子供が18歳になるまでの払い出しに制限があります。
ジュニアNISAは2023年末で制度が終了となります。2023年までに買付けた商品は、2024年以降は子供が18歳になるまで非課税で保有できます。
また、2023年までは子供が18歳になるまで払い出しができませんが、2024年以降はいつでも全額非課税の払い出しが可能です。その場合、ジュニアNISA口座が廃止されます。2023年中に口座を開設すれば、年間の非課税枠80万円まで運用商品の買付ができます。
2-2.未成年口座での運用
ジュニアNISA廃止後に子供名義の口座で運用する場合、金融機関に未成年口座を作ります。一般的に未成年口座を開設するには、親権者も同じ金融機関に口座開設が必要です。未成年口座で運用できる商品は金融機関によって異なります。
一般的には投資信託であれば、未成年口座を取り扱うほぼすべての金融機関で購入が可能です。その他、国内外の株式、単元未満株などを取り扱う金融機関もあります。ジュニアNISAからの運用益は非課税ですが、未成年口座で買付けた商品からの運用益には20.315%の税金がかかります。
2-3.預貯金
「とりあえず預ける」という場合、預貯金も選択肢となります。ただし、預貯金ではお金がほとんど増えません。大学の学費などに充てるため10年以上の運用期間がある場合、多少のリスクを取って運用したほうがよいでしょう。
2-4.NISA
子供のお祝い金を教育資金として使いたい場合、親名義のNISAで運用することも考えられます。子供名義の場合、子供が18歳になると本人の同意なく親の引き出しができません。最初から親名義にしておけば、親の裁量で管理ができます。
現行NISAや2024年からの新NISAを活用すれば、運用益に課税されません。引き出しの時期が近くなって資産が大きく値上がりした場合、早めに売却して利益を確定してもよいでしょう。
2-5.個人向け国債
個人向け国債は国が発行する債券です。個人向け国債を買うと、満期(償還日)まで半年ごとに金利を受け取れます。最低金利0.05%が保証されているので、一般的な銀行の定期預金などよりは有利です。
発行後1年以上経過すると中途換金もでき、その場合も元本割れしません。最低購入単位も1万円からなので気軽に始められます。
3.子供名義の口座を親が管理する場合の注意点
子供のお祝い金をもらった人の多くは、子供名義の銀行口座などを作って入金します。親が口座の管理を行う場合は、注意すべき点があります。
3-1.名義預金と見なされる可能性が高い
子供名義の口座の管理を親がしている場合、名義預金と見なされる可能性が高くなります。名義預金とは、口座の名義と実質的な持ち主が異なる預金のことです。銀行口座の真の持ち主は実際に入出金をしたり通帳を保管したりしている人であり、名義人とはかぎりません。
「子供名義の口座にお金を貯めて子供が大きくなったら渡す」と考える親は多いのですが、渡した時点で贈与となってしまうのです。その際、通帳の残高が110万円を超えていれば贈与税がかかります。子供に渡す前に親が亡くなると、相続税の対象になります。
3-2.子供が成人すると親は引き出せない
子供名義の預金は、子供が成人すると本人しか引き出せません。2022年から成人年齢が18歳になったので、大学の学資として貯めていた人は注意が必要です。子供の教育資金を親が負担するのは贈与にはなりません。よって、最初から子供の教育資金は親名義で準備したほうが合理的です。
3-3.休眠預金になるリスクも
10年以上入出金等のない預金を休眠預金といい、民間公益活動に利用されることになっています。出産祝いを貯めておくつもりで子供名義の口座を作って、そのまま放置してしまうと10年経過する可能性もあるでしょう。
休眠預金だからといって引き出せなくなるわけではありませんが、手続きは金融機関ごとに異なります。一度作った口座は放置せず、きちんと管理しましょう。
まとめ
子供のお祝い金はもらう金額も家庭によってさまざまです。多い家庭ではトータルで100万円以上になるケースも考えられ、上手く運用できれば教育資金として役立つでしょう。使い道を夫婦でよく話し合い、子供のために有効に活用しましょう。
松田 聡子
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