新型コロナウイルスの感染拡大により、自動車市場は落ち込んでいます。そして、ワクチン接種は進んでいるものの、コロナ前の2019年の水準(新車販売9,130万台)に戻るには、まだ時間がかかると見られています。
また、今後はEV(電気自動車)の普及によって、自動車業界の勢力図も大きく変わる可能性があります。この記事では、世界の自動車メーカーの時価総額上位10銘柄と、将来性について解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年8月30日時点の情報に基づき執筆しています(時価総額ランキングは2021年4月26日時点の情報をもとに作成)。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- テスラ(米)
- トヨタ自動車(日本)
- フォルクワーゲン(ドイツ)
- BYD(中国)
- ダイムラー(ドイツ)
- ゼネラル・モーターズ(米)
- ステランティス(オランダ)
- ニーオ(中国)
- BMW(ドイツ)
- ホンダ(日本)
- まとめ
1.テスラ(米)
自動車業界で時価総額1位は「テスラ」です。テスラは米国の電気自動車メーカーで、電気自動車や関連製品の開発・製造・販売を行っています。同社初の電気自動車はスポーツカーの「ロードスター」で、続いてセダン「モデルS」、SUV「モデルX」、新型セダン「モデル3」を展開しています。コロナ禍でも株価が大きく上昇し、2020年には株価が約7倍になりました。
2021年第2四半期の売上高は119億6,000万ドルと、前年同期の60億4,000万ドルを大きく上回りました。納車台数も201,250台と過去最高を記録。最近の株価は600~800ドルの間のボックス圏で推移していますが、今後も自動車業界で時価総額1位の座をキープしそうな勢いがあります。
2.トヨタ自動車(日本)
時価総額2位は、日本のトヨタ自動車です。国内シェア3割超で日野・ダイハツを傘下に持つ自動車メーカーです。
2020年春の新型コロナウイルスの感染拡大により販売が苦戦したものの、9月からは4カ月連続で前年同月実績を上回りました。そして、2020年のグループ販売台数では、5年ぶりにドイツのフォルクスワーゲン(VW)から首位の座を奪還しました。
5月に発表した2021年3月期の連結税引き前利益は、2兆9,323億円となり、市場予想を上回りました。6月には株価が10,330円まで上昇し、1万円の大台を突破しています。
時価総額ではテスラに差をつけられていますが、今後も販売台数世界トップの座をキープできるかどうかに注目です。
3.フォルクワーゲン(ドイツ)
フォルクスワーゲンは、ドイツに本社を置く自動車メーカー。傘下にポルシェを持ち、フォルクスワーゲングループを構成しています。フォルクスワーゲンの上期(1~6月)の調整後営業利益は、114億ユーロ(約1兆4,800億円)と、コロナ禍前の2019年上期の水準(100億ユーロ)を上回りました。
2021年は株価が約70%上昇し(8月5日時点)、パフォーマンスは好調。中国市場の急回復やEV(電気自動車)の需要拡大が寄与しました。ただ、世界的な半導体不足による影響により、今年の納車見通しを下方修正している点がマイナス材料です。
4.BYD(中国)
BYDは、中国広東省深セン(深圳)市に本社を置く中華人民共和国の企業です。グループ各社を通じてIT部品と自動車の2大事業を展開しています。
7月に発表した上半期(1~6月)のNEV(新エネルギー車)の販売台数は、前年同期比2.5倍の15万4579台でした。さらに下期には新型リチウムイオン電池「ブレードバッテリー」の外部供給を大量に増やすとしています。株価は8月に過去最高値を更新し、時価総額も過去最高になっています。
5.ダイムラー(ドイツ)
ダイムラーは、ドイツのシュトゥットガルトに本拠地を置く世界的な自動車メーカーで、トラックの販売は世界最大手。日本の三菱ふそうトラック・バスは、ダイムラーの傘下企業です。
新型コロナウイルスの感染拡大と世界的な半導体不足で生産台数は減少していますが、高級車「メルセデス・ベンツ」の価格決定力などで利益を伸ばしています。ダイムラーは、小型車よりも収益性の高い大型車を優先して販売し、今後も力強い業績の計上を目指しています。
6.ゼネラル・モーターズ(米)
ゼネラル・モーターズ(GM)は、米国の自動車メーカーで、ミシガン州のデトロイトに本社があります。1950~60年代は世界最大の自動車メーカーとして繁栄しましたが、1970年代以降は日本などの輸入車との競争に苦しみ低迷。2009年6月に倒産して国有化されました。ただ、2013年12月に国有化を解消しています。
2021年8月4日に発表した第2四半期の決算は黒字化し、通年の利益見通しも上方修正しました。ただ、半導体不足を巡る状況は依然として厳しく、サプライチェーン(供給網)の問題も続くとの見通しから、株価は軟調な展開となっています。今後の業績は、半導体不足で未完成となっている在庫が解消されるかどうかに左右されそうです。
7.ステランティス(オランダ)
ステランティスは、フランスの自動車メーカーグループ「PSA」と、イタリアの自動車メーカー「フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)」が合併して誕生した多国籍自動車製造会社。クライスラー、アルファロメオ、ジープ、プジョーといった14ブランドで構成されています。
ステランティスは2021年1月18日にイタリア証券取引所、ユーロネクスト・パリで取引が開始され、19日にニューヨーク証券取引所に上場しました。2025年までに30ビリオンユーロ(約3兆9,000億円)を投じて低排出ガス車(LEV)に関する開発を進め、2030年までに欧州での新車販売の70%、米国の40%をLEVに置き換える計画です。
8.ニーオ(中国)
ニーオは、高性能なスマート・コネクテッド電気自動車の設計や開発・販売を手掛けている自動車メーカー。本社所在地は中国の上海です。AIシステムを搭載したSUVタイプの「E8」や、スーパーカー「EP9」などを展開しています。
中国では新興企業の勢力が増しており、ニーオ(NIO)、リー・オート(LI)、シャオペン(XPEV)などが代表的な企業ですが、ニーオの時価総額が最大になっています。2021年6月の販売台数は前年同月比116%増と好調で、今後も勢いが続くかどうかに注目です。
9.BMW(ドイツ)
BMWは、ドイツのバイエルン州ミュンヘンを拠点とする自動車メーカー。英国の「ロールス・ロイス」と「MINI」の2社を傘下のカー・ブランドとして保有しています。
BMWは、世界的な半導体不足を理由に、8月から数ヶ月の不透明性を警告しました。ただ、2021年4~6月期のEBIT(利払い・税引き前利益)は50億ユーロ(約6,470億円)となり、アナリスト予想平均の40億ユーロを上回りました。
10.ホンダ(日本)
ホンダ(本田技研工業株式会社)は、東京都港区に本社を置く大手輸送機器メーカー。オートバイクの販売台数と売上高が世界首位で、自動車の販売台数は世界7位です。
ホンダは8月4日に4~6月期の決算を発表。北米での販売が好調なことから営業利益が2,432億円となり、会社想定を1,200億円上回りました。通期計画を6,600億円から7,800億円に上方修正し、株価は3,700円まで上昇。年初来高値を更新しました。
ただ、半導体不足や新型コロナウイルスの感染拡大により、今後の販売には不透明感が漂います。
まとめ
今回は、世界の自動車メーカーの時価総額上位10社について解説しました。EV(電気自動車)のテスラが時価総額最大となっていますが、各社EV化を進めているので、今後も順位変動があるかどうかに注目です。
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山下耕太郎
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