自己資本比率とは?目安や注意点など銘柄選びのポイントも解説

株式投資において企業分析をするときに確認したいのが「自己資本比率」です。自己資本比率は、会社の経営状況の安全性をみることができる指標です。この記事では、自己資本比率の計算方法や目安について解説します。

目次

  1. 自己資本比率とは
  2. 自己資本比率の目安
    2-1.自己資本比率が高すぎるのも問題
  3. 自己資本比率が上がる条件
    3-1.自己資本を増やす
    3-2.総資本を減少させる
  4. ROE(自己資本利益率)とは
  5. まとめ

1.自己資本比率とは

自己資本比率とは、企業の総資本に占める自己資本の割合を示した指標で、計算式は以下の通りです。

自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100
※総資本= 負債+純資産(自己資本)

自己資本比率は、貸借対照表で確認します。貸借対照表とは、決算時における企業の財政状態を表している財務諸表です。たとえば、純資産(自己資本)が1,000万円で、負債が1,400万円だった場合の自己資本比率は、以下の通りです。

自己資本比率=1,000万円÷(1,400万円+1,000万円)×100=約41.7%

自分資本は返す必要のないお金ですから、自己資本比率が高いほど財務の安全性は高い企業ということになります。また、自己資本比率が高ければ自己資本が多い、つまり返す必要のないお金をたくさん持っているということになるので、中長期的に倒産しにくい会社と判断できるのです。

しかし、設備投資のための借入金などで、自己資本比率が一時的に低下する場合があります。ただ、その時は利益を稼いでいればそれほど問題ではありません。利益を稼いでいれば借入金を返済でき、自己資本比率も改善すると予測できるからです。

2.自己資本比率の目安

自己資本比率は、高ければ高いほど財務的に安定しているといえます。目安として、50%以上あればかなり良好な状態といえ、30%程度を確保しておけば良い状態といえます。

一方、自己資本比率が20%を下回った場合は自己資本が乏しい状態といえます。他の経営指標も合わせて分析し、利益がきちんとでる体質へ改善したほうがいいと判断できるのです。

中小企業全産業の自己資本比率の加重平均は43.84%(令和元年度。参照:令和2年中小企業実態基本調査速報)となっています。ただ、会社を経営する上で借入などの負債は必要です。そして、製造業をはじめほとんどの業種では、会社の規模が大きくなれば自己資本ですべてを賄うことは困難になります。

また、自己資本比率は業種によって平均値が異なります。たとえば、情報通信業のように設備投資があまり必要ないところは自己資本比率が高めになります。自己資本比率を比べるときは、同業他社と比較するようにしてください。

2-1.自己資本比率が高すぎるのも問題

自己資本比率は高い方がいいと判断します。しかし、資本効率の点からは、自己資本比率が必要以上に高いのも問題です。

たとえば、無借金であれば自己資本比率は高くなります。一見、安全性も高く健全な経営に見えますが、金融機関との取引がなければ、いざという時に持ちこたえられる力があるかどうかは疑問です。また、事業拡大のチャンスがあるのに無借金経営にこだわり、設備投資などをしなければ、投資家に評価されない可能性もあります。

また普通預金や現金などが少ない場合は、突発的な支払いに対応できない可能性もあります。自己資本比率が高くても、ほかの経営指標で安全性を損なうような要素がある場合には、注意が必要です。

3.自己資本比率が上がる条件

自己資本比率を上げる方法は、2つあります。1つは自己資本比率の分子である「自己資本を上げる」ことです。そしてもう1つは、自己資本比率の分母である「総資本を減少させること」です。それぞれ解説します。

3-1.自己資本を増やす

自己資本を増やすには、収益性を高め、内部留保を拡大するという方法があります。内部留保とは、当期純利益のうち配当金に回されない部分のことで、計算式は以下の通りです。

内部留保=当期純利益-配当金

内部留保は「利益剰余金」として、自己資本の一部になります。ですから内部留保を増やせば、自己資本も増えるのです。1期や2期の利益計上ですぐに自己資本比率が改善するわけではありませんが、長期的に自己資本を増やしていくためにもっとも望ましい方法となります。

3-2.総資本を減少させる

総資本を減少させる方法として、「借入金の返済」があります。返済できる借入金を返済して他人資本、すなわち負債を減少させることで、総資本も減らせるのです。

また、事業に使用しておらず遊休となっている機械や建物、土地などを処分し換金できれば、借入金を返済できます。そうすると他人資本を減らし、総資本も減らすことができるのです。ただし、固定資産の処分で大きな損失がでる場合は、自己資本も減ってしまうので注意が必要です。

4.ROE(自己資本利益率)とは

自己資本比率の高い企業は、財務の安全性が高いといえます。一方、株主重視の経営が行われているかどうかを判断するには「ROE(自己資本利益率)」をみます。ROEは投資家がだしたお金に対し、企業がどれだけの利益を上げているかを表す財務指標だからです。計算式は、以下の通りです。

ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

ROEの数値が高いほど、経営効率が良いと判断できます。そして、ROEは10~20%程度であれば良好と判断できるのです。ただ、自己資本が高いほど、高い利益が必要になります。つまり、自己資本比率が高いほど経営の安全性は高いものの、会社が効率よく利益を上げているかを判断するROEは下がってしまう傾向にあるのです。

ですから、自己資本比率をある程度高く保ちつつ、ROEを上げていく経営が企業には求められるのです。

まとめ

自己資本比率は企業の財務的な安全性を見ることができるので、株式投資するときにはチェックしておきたい指標です。ただ、業種によって平均値は異なるので、絶対値で判断するのではなく、同業他社と比較するようにしてください。

株主重視の経営がおこなわれているかを分析できる「ROE」も合わせて確認すると、より精度の高い企業分析ができます。また、自己資本比率は中長期的な安定性を見る指標なので、資金繰り(キャッシュフロー)などの短期的な安定性も見るようにしてください。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011