ボーナスで投資したい金融商品は?投資のプロが特徴やリスクも解説

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ボーナスシーズンが近づいてきました。皆さんはボーナスの使い道は決まっていますか。2022年10月にロイヤリティマーケティングが実施した第55回Ponta消費意識調査では、冬のボーナスの使い道として、貯蓄・預金が1位で、その中で約3割の方が支給額の75%以上を貯金・預金したいと答えていました。

参照:Loyalty Marketing, Inc.「第55回 Ponta消費意識調査 2022年10月発表冬のボーナスの使い道、9年連続「貯金・預金」が1位

夏のボーナスは物価上昇の影響で預貯金にまわす方が多かったのではないでしょうか。2023年冬のボーナスの使い道も貯蓄・預金を予定されている方は多いでしょう。しかし、預貯金はインフレに弱いという弱点があります。インフレに強い資産としては株式投資が挙げられます。

そこで、今回は投資のプロである筆者が、金融商品別の特徴やリスクなどについて解説します。ボーナスの使い道の参考にしてみてください。
※本記事は2023年10月18日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. 金融商品の種類とリスク
    1-1.定期預金・国債
    1-2.社債(円建て)
    1-3.外貨預金・外国国債・社債
    1-4.投資信託
    1-5.株式
  2. ボーナスで何を買う?
    2-1.2~5年後に使う予定の資金
    2-2.老後資金などしばらく使わない資金
  3. まとめ

1.金融商品の種類とリスク

ボーナスを運用するにあたり、金融商品のリスクや期待リターンを把握することが重要です。金融商品の中には、元本を下回る商品があるためです。

1-1.定期預金・国債

定期預金や国債は償還日まで保有すると、元本割れはありません。定期預金は銀行が破綻した場合、1行につき元本1,000万円とその利息が預金保険機構により保証されています。国債は国が保証しているため、満期まで保有すれば元本割れのリスクがありません。

国債は、期間が短いものから40年まで種類があり、日本国債は現時点で、残存期間(償還までの期間)が長い国債ほど好利回りとなっています。好利回りとはいえ、10年国債で0.75%程度、40年国債で1.9%程度です。額面5万円から投資可能です。

また、日本では個人向けとして変動10年、固定3年、固定5年の3種類が販売されています。個人向け国債は1万円単位で、国債の取扱い金融機関(証券・銀行など)で購入できます。

個人向け国債のメリットとしては、価格変動が少ないことが挙げられます。発行後1年経過するといつでも換金できます。償還前に売却する場合には、一定のペナルティーが課せられます。

国債のメリットとしては、元利が国によって保障されていること、いつでも売却できることが挙げられます。デメリットとしてはインフレに弱く、同期間の社債より利率が低い傾向があることが挙げられます。

1-2.社債(円建て)

社債は企業が発行する債券で、財務状態が良い企業ほど利率が低く、悪い企業ほど利率が高く設定されます。満期までの期間が5年以内の銘柄が多い傾向にあります。

利率は、同期間の国債より高く設定されます。2023年9月に起債されたSBIホールディングス36回債(期間4年)の利率は1.28%と、同期間の国債利回りを約1%上回りました。

デメリットとしては、満期前に換金すると元本割れのリスクが高いこと、新規発行債は不定期に発行されるため投資したいときに購入できないこと、企業が倒産してしまった場合には元本を大きく棄損してしまうこと、国債同様インフレに弱いこと等があげられます。

また、社債は証券会社でのみ購入できます。

1-3.外貨預金・外国債券

外貨預金や外国債に円貨で投資する場合には、債券の価格変動リスクのほか、為替リスクが発生します。

外貨預金や外国債は、表面利率が円建てよりも高い傾向があります。投資する際には、どの国の通貨に投資するかを考えるようにしましょう。高インフレの国の通貨である場合、インフレにより通貨価値が減価する可能性が高いためです。

先進国通貨や新興国でも低インフレ国の通貨を選ぶようにしましょう。投資のプロである筆者としては、満期までの期間は長くても5年、できれば2年前後に抑えると良いと思います。

2023年9月時点での米国債イールド・カーブは、短い期間ほど利回りが高いという形状(逆イールド)です。現時点で米国債に投資する場合には、2年、3年債が良いと筆者は思います。

最低投資金額や銘柄は、証券会社によって異なります。SBI証券では米国債については額面100ドルから投資できます。

外国社債は同期間の国債よりも利回りが高く設定されています。一方で、流動性が低いため満期まで保有せずに売却した場合には、投資金額を下回る可能性があります。為替が購入時よりも円安の場合には利益が上回ることもあります。

社債に投資する場合には、発行企業の格付けが高い銘柄(A以上)を選択するようにしましょう。社債は基本的には、満期まで保有しましょう、

1-4.投資信託

投資信託は、株式や債券、コモディティなど、さまざまな金融商品を組み合わせて作られたファンドです。ファンドは、運用方針によってインデックス型、アクティブ型などに分類されます。インデックス型は、S&P500や、TOPIXなどといった指数の動きと連動するように組成され、アクティブ型は、運用担当者が投資対象を精査し、高い運用成績を目指すファンドです。

ファンドの運用は複数の銘柄に分散投資されるため、組み入れられた1企業が倒産したとしてもファンドの価値はゼロになることはありません。一方、複数銘柄に投資するため、個別株のように価格が短期間で2倍、3倍に変動することはまずありません。

投資信託は、証券会社や銀行で購入できます。最低購入金額は、一般的には1万円程度ですが、SBI証券や楽天証券では100円から始められます。

1-5.株式

株式投資はハイリスクハイターンです。元本リスクを伴う一方で、大きなリターンが期待できます。

株式投資の醍醐味は長期投資で、テスラやアップルの株価はこの10年で10倍以上に上昇しています。このような銘柄に投資できれば資産が大きく増加します。一方、投資対象企業が倒産してしまうと、株価はゼロとなり資産を失うこととなります。

日本では、上場企業の倒産件数は減少傾向にあるため、複数企業に投資することで、リスク分散が可能です。

調査会社の帝国データバンクによると、上場企業の倒産件数は2008年(33件)をピークに減少傾向が続いており、2020年に2件、2021年がゼロ、2022年は1件でした。東京証券取引所には約3,900社が上場しており、企業が倒産に追い込まれる確率は低いと言えそうです。

参照:株式会社 帝国データバンク「全国「上場企業倒産」動向調査(2022年)

株式投資の最大のメリットは、株価上昇による利益です。また、定期的に配当金が受けとれることや、インフレに強い点もメリットです。企業成長がインフレ率を上回ると、株価の上昇率がインフレ率を上回る可能性が高いためです。

2.ボーナスで何を買う?

ボーナスが支給されたらまず、短期中期長期で使い道ごとに資金を振り分けましょう。そのうち、2年から5年後に使う予定の資金や、特に予定のない資金については金融商品での運用を検討してみましょう。

2-1.2~5年後に使う予定の資金

2年から5年後に使う予定がある資金については、元本割れのリスクをできるだけ避けるようにしましょう。預貯金は利率が低いため、円建て社債が適していると言えそうです。

社債には格付けが付与されており、倒産リスクが低いA格以上の銘柄を選ぶようにしましょう。社債の最低投資単位は銘柄によりまちまちで、10万円から投資できる銘柄もあれば、50万円、100万円からの銘柄もあります。

2-2.老後資金などしばらく使わない資金

老後資金や使う予定が決まっていない資金については、株式や投資信託に投資することも選択肢の一つでしょう。株式投資は高リスクなため不安がある方は、株式中心の投資信託に投資すると良いでしょう。リスクが比較的低い株式投資信託としては、インデックス連動の投資信託が挙げられます。

個別銘柄を選ぶ際には、拡大基調にある業界の中で、唯一無二の企業に投資するようにしましょう。そのような企業の利益率は高い傾向あり、高い企業成長が見込めるためです。

3.まとめ

ボーナスの使い道として、預貯金を考えている方が多いのではないでしょうか。預貯金は元本割れリスクがない一方、インフレに弱いと言えます。インフレに勝る金融商品としては株式投資が挙げられます。

資産運用にあたっては、使用使途が決まっている金額に対しては、社債や国債などの安全性の高い金融商品を、老後の蓄えや使い道が決まっていない長期運用が可能な金額には、株式や投資信託で運用するようにしましょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。