AI・ロボティクス業界、2023年の展望と日米の注目銘柄は?5社紹介

2023年のAI・ロボティクス業界は、ディープラーニング技術の進歩を背景に、人手不足の解消やファクトリー・オートメーション分野での拡大が期待できそうです。同じくディープラーニング技術を活用したチャットボッドのChatGPTは、短期間で世界に広がり話題となりました。

AI・ロボティクス業界では、まだChatGPTのようなレベルには達していないものの、コロナ禍で接触回避や安全性重視、人手不足解消といった側面からロボットの実用化が進みました。製造業以外の業界への活用も増えていることから、より高度なロボットが開発・実用化される可能性もあるでしょう。

今回は2023年AI・ロボティクス業界の展望と日米の注目銘柄を解説します。

※本記事は2023年5月7日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. AI・ロボティクス業界2023年の展望
  2. 日米注目銘柄
    2-1.(日)安川電機(6506)
    2-2.(日)ファナック(6954)
    2-3.(日)クボタ(6326)
    2-4.(米)インテュイティブサージカル(ISRG)
    2-5.(米)ロックウェル・オートメーション(ROK)
  3. まとめ

1.AI・ロボティクス業界2023年の展望

2023年のAI・ロボティクスは、コロナ禍で進んだ接触回避や安全性重視、人手不足解消といった側面で、より進化することが予想されます。製造業以外の業界への活用も増えていることから、新規参入企業がさらに増える可能性があります。具体的な例を見てみましょう。

飲食業界

飲食業界では、ロボットの導入が進んでいます。背景には、コロナ禍による接触回避や人手不足の深刻化があります。一部の飲食店では既に、配膳ロボットが使われています。配膳ロボットの多くは大型で、厨房と客席テーブルの往復にとどまり、配膳・下膳はできません。

今後は、接客も可能なアーム付き配膳ロボットの販売が予定されているなど、飲食業界でのロボット導入が進む可能性があります。

物流、運送業界

物流、運送業界では、仕分け、ピッキング、検品、運搬などでロボットが活躍しています。人手不足解消、ミス回避、作業効率化などが背景にあります。

さらに国内では、2023年4月から改正道路交通法の施行に伴い、低速の小型自動配送ロボットの運用が開始されます。ラストワンマイル輸送の問題解決に繋がりそうです。

2.日米注目銘柄

ここでは、日米のAI・ロボティクス業界の注目銘柄を見ていきましょう。

※株価、予想PCR、予想配当利回りは全て5月7日時点の情報です。

2-1.(日)安川電機(6506)

安川電機は、サーボモータ、インバータ、産業用ロボット等の製造販売会社です。世界の産業用ロボットメーカーとして世界4強の1社です。2021年の産業用ロボット世界シェアは9.96%で世界第3位でした。

サーボモータは、自動車車体の製造工程ではプレス加工に用いられています。また、電動化・電子化が進展するなかで、高い演算処理能力が必要な半導体チップが必要です。半導体製造装置に安川電機のサーボモータが使われています。

第107期第3四半期連結累計期間(2022年3月1日~2022年11月末)の売上高は、前年同期間比14.0%増の4,075億円、同純利益は20.8%増の371億円でした。ロボット事業の売上が増加しており、ロボット事業の売上高は1,618.億円(前年同期比23.5%増)で、全体の39.7%を占めています。

グローバルで自動車のEV化が加速し、新規の設備投資が増加したこと、半導体向けロボットの販売が日本・韓国で堅調に推移したことが要因です。

株価は5,660円、予想PERは28.8 倍、予想配当利回りは1.13%です。

2-2.(日)ファナック(6954)

ファナックは、FA(ファクトリー・オートメーション)、ロボット、ロボットマシン、IoT(Internet of Things)などを開発、提供している企業です。

工作機械の送り軸や主軸の故障は大きな問題となります。そこで、故障する前に送り軸や主軸の異常の兆候を知るために、制御データを高速サンプリングして収集し、これに深層学習を適用して異常度を提示するAIサーボモニタ機械を開発し、提供しています。同社の産業用ロボット世界シェアは14.82%(2021年)で、世界第2位です。

2022年第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月末)の売上高は、前年同期間比17.7%増の6,361億円、純利益は9.3%増の1,298億円でした。増収増益の要因は、中国や米国でのEV関連向けの売上が好調だったこと、欧州でも一般産業用向けの売上が堅調だったことが挙げられます。

今後も、EV化に伴う自動車メーカーの設備投資が予定されているため、同社の売上増が期待されます。

株価は4,658円、予想PERは32.3倍、予想配当利回りは2.46%です。なお、ファナックは一株を五株に分割しています。

2-3.(日)クボタ (6326)

クボタは、農業機械、鋳鉄管とも国内トップで、建機やエンジンなどを製造販売しています。2022年12月期(2022年1月1日~2022年12月末)の売上高は2.67兆円です。

同社のメイン事業は機械部門で、農機・エンジンの販売が同部門の売上の78.2%、売上高全体の68.0%(2022年12月期)を占めています。米国向けが売上高全体の41.1%を占め、次が日本の22.5%となっています。

同社は、AIによる高度営農支援システムを構築しています。農家の販売・会計などの情報を流通や金融機関などの外部データと連携させ、収集したビッグデータを同社のAIが解析することで、利益が最大化となる最適作付計画などの提案を顧客(農家、農業企業)にしています。

農業従事者の高齢化問題や、農業での生産性問題が課題となるなか、同社の貢献余地は大きいと思われます。

株価は2,078円、予想PERは13.2倍、予想配当利回りが2.21 %です。配当金は、2010年3月期以降減配されておらず、2010年3月期に12円だった配当金は2022年12月期には22円(年間44円)に増額されました。

2-4.(米)インテュイティブサージカル(ISRG)

インテュイティブサージカルは、米国の医療ロボットメーカーで、主力商品は低侵襲外科手術用の内視鏡手術支援ロボット「ダビンチサージカルシステム」です。同システムは、カメラのついたアームと3つの操作アームをもつロボット部、外科医が操作するコックピット、内視鏡画像を映し出すモニターの3つパーツで構成されています。

従来の手術と比べ、より高度な施術精度が得られ、傷口が小さく患者への負担が小さいことが特徴で、米国を始め、欧州、アジアなどで販売されています。

2022年度の売上高は前年比8.9%増の62.2億ドル、純利益は生産コストと販管費の増加により同22.4%減の13.2億ドルでした。

患者から離れた病院にいる医師が、遠隔操作で手術を支援可能なため、高度医療施設の無い地域での利用や、外科医の不足解消に繋がる可能性があります。

株価は304.88ドル、予想PERは64.98倍です。

2-5.(米)ロックウェル・オートメーション(ROK)

ロックウェル・オートメーションは、デジタルトランスフォーメーションと産業用オートメーションの世界的なリーダーです。

2023年3月には、産業用AIソリューションメーカーであるインドのナレッジレンズ社を買収しました。ロックウェル・オートメーションのデジタルトランスフォーメーション事業において、ナレッジレンズ社のノウハウを活用し、データを解析することで、機能を大幅に拡張できる可能性が高いと言えそうです。

2022年度(2021年10月~2022年9月)の売上高は77.6億ドル(前年比10.9%増)、純利益は投資先の価値が減少したため前年比4.2億ドル減の9.3億ドルでした。

株価は283.42ドル、予想PERが23.50倍、予想配当利回りは1.66%です。

3.まとめ

コロナ禍では人と人の接触回避や安全性重視、人手不足解消といった側面からロボットの実用化が進みました。また、製造業以外の業界への活用が増えています。今後も、物流・運送、医療・介護、サービス業界など多くの分野での活用が期待されています。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。