米電気自動車(EV)大手のテスラ(ティッカーシンボル:TSLA)は6月10日、1株を3株に株式分割する計画を明らかにした(*1)。8月4日に開く定時株主総会で承認を求める。1株当たりの株価水準を引き下げ、少額で取引できるようにすることで、広範な投資家層を呼び込む狙いがあるようだ。
当局に提出した書類において、「当社の普通株式の市場価格をリセットし、社員がより柔軟に株式を管理できるようにするとともに、個人投資家にとってもアクセスしやすくする」と説明した(*1)。
株式分割を実施しても企業価値は変わらないが、最低投資金額を引き下げることで少額取引を行う個人投資家層の取り込みを期待できる。多くのブローカーは端株取引(#1)を通じて顧客基盤の拡大を図っている状況だ。
株式分割はテスラ以外の発行体でも活発化している。たとえば、米アマゾン・ドット・コム(AMZN)は3日に1対20の株式分割を実施(*2)。米グーグルの親会社アルファベット(GOOGL)も7月1日に1株を20株にする分割計画を発表している(*3)。
テスラが提出した書類には同社株を保有する大株主の状況も示されている。それによると、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が23.5%、つづいて世界最大級の資産運用会社であるバンガードが6%保有している。マスク氏のツイッター(TWTR)買収を巡っては、資金確保のために自身が保有するテスラ株を売却したことが明らかになっている。
テスラ株は年初来で約44%下落(*4)。インフレや米連邦準備理事会(FRB)による急速な利上げなどを背景にリセッション(景気後退)懸念が高まるなか、同社を始めとする割高な銘柄は軟調な展開がつづく。マスク氏は経済見通しについて「とても悪い印象」を持っていると述べており、同社の業績に先行き不透明感が漂っている(*5)。
(#1)端株取引…売買単位が1株未満の株式を取引すること。
【参照記事】*1 テスラ「tsla-pre14a_20220804.htm」
【関連記事】*2 アマゾンが1対20の株式分割、自社株買い限度額100億ドル引き上げも。株価は5%超上昇
【関連記事】*3 グーグル2021年10~12月期 市場予想を上回る ネット広告好調で最高益更新」
【参照記事】*4 Yahoo Finance「Tesla, Inc. (TSLA) Stock Price, News, Quote & History」
【参照記事】*5 CNBC「Here’s the email Elon Musk sent all Tesla employees 10% job cuts」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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