米アマゾン・ドット・コム(ティッカーシンボル:AMZN)は3月9日、1株を20株にする株式分割を実施すると発表した(*1)。自社株買いの限度額を現行の50億ドル(約5,900億円)から100億ドルに引き上げることも公表。発表翌日の10日には相場全体が下落したものの、株主重視の姿勢が好感されて同社株は5%超上昇した(*2)。上げ幅は今年2番目の大きさとなる。
株式分割を実施しても企業価値は変わらず、時価総額に影響しない。しかしながら、一株あたりの株価水準を引きさげることで、株式を少額で購入しやすくなるため、広範な投資家層の呼び込みを期待できる。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均、NYダウ)への採用観測も高まっている。同指数は株価をベースとして30銘柄の平均値をとるため、株価水準が低下することでダウ平均に組み入れやすくなる。そのようななか、アマゾンが株式分割を実施して株価水準を95%引き下げる(9日時点の1株あたり株価は2,785.58ドル→139.28ドル)場合、ウォルマート(WMT)に並び12番目の株価水準におさまるという(*3)。
2021年には米国ビッグテック(#1)のなかで最も株価パフォーマンスが良くなく、22年は今回の発表前までに16%下落する軟調な展開となっていた(*3)。そのようななか、株式分割および自社株買いにより株主重視の姿勢を示すほか、アマゾンの従業員にとっても保有株式の活用において柔軟性を高められるという。
6月3日時点において1株につき19株が付与され、分割後の株価ベースでの取引は6月6日から開始される予定。アマゾンにとっては約23年ぶりの株式分割となり、直近の分割から株価は4,300%超上昇している(*3)。
米IT企業各社は相次いで株式分割を実施している状況だ。アップル(AAPL)が20年8月、1株を4株にする株式分割を実施したほか、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も今年2月、1株を20株に分割する計画を公表している(*4、5)。
アマゾンがダウ平均に採用された場合、これまで以上に市場の注目が高まりそうだ。
(#1)ビッグテック…巨大ハイテク企業。一般的にはアルファベット、アップル、メタ(旧フェイスブック)、アマゾン、マイクロソフトを指す。
【参照記事】*1 アマゾン・ドット・コム「March 9, 2022 Date of Report」
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「アマゾン・ドット・コム【AMZN】」
【参照記事】*3 CNBC「Amazon stock has second-best day of 2022 on planned 20-for-1 split」
【参照記事】*4 アップル「Apple Reports Third Quarter Results」
【参照記事】*5 アルファベット「GOOG Exhibit 99.1 Q4 2021」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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