社会変革推進財団(SIIF)は10月4日、社会的インパクト投資の実態調査の結果を発表した。社会や環境における課題の解決を図りながら経済的な利益を目指す社会的インパクト投資について認知度や関心度の実態を把握する目的で、国内初の実施という。全国の一般消費者2071人からサンプルを得た。それによると、社会的インパクト投資の認知度は全体の6.8%で、投資経験者のほうが認知している。年代別では20代、30代の「ミレニアル世代」、世帯別では世帯年収が高くなるほど認知度が高くなるという相関関係が見られた。
認知度については、社会的インパクト投資の意味を「多少なりとも知っている」と回答した人は6.8%。「意味をよく知っている」というコア認知層は1.7%、「意味を少し知っている」は5.1%にとどまった。
購入関心層は全体の20.7%で、ミレニアル世代、またボランティアや寄付活動など社会貢献活動を行っている人に支持されている。また、購入関心度が高い層のうち62.5%は「経済的リターンがほかの投資商品と同程度になりそうなら購入する」と回答。一方で11.7%は「社会的課題解決に貢献するなら、ある程度経済的利益が低そうでも社会的インパクト投資商品を購入する」と回答。経済的なリターンを重視しない人も少数だが存在する。
社会的インパクト投資の認知度を、投資経験や世帯年収別とクロスして分析すると、認知度と世帯年収には相関が認められた。世帯年収が1,000万円以上だと、20%強が社会的インパクト投資の意味を知っている結果となった。また、自分自身の資産を運用する機関が社会的インパクト投資を行うことに対しては、75.5%が肯定的な反応を示した。
結果についてSIIFは「認知度は他国と比べ低いものの、日本国内の購入関心度は高いことに大きな希望。投資行動によってよりよい社会へ導くことができるという新たな認識を啓蒙しながら国民の投資リテラシーを高めるとともに、金融機関に社会的インパクト投資商品の開発を促進し、投資機会の増加を促進していく」としている。
SIIFは2019年10月に一般財団法人社会変革推進機構と社会的投資推進財団は合併し改称。社会課題解決と多様な価値創造が自律的・持続的に起こる社会を目指し、自助・公助・共助の枠組みを超え、社会的・経済的資源循環のエコシステムをつくるというミッションを掲げる。ソーシャル・インパクト・ボンドを含む社会的インパクト投資のモデル開発や、普及のための環境整備、調査研究・政策提言などを行っている。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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