「米国の景気後退は世界経済に重大な影響を及ぼす可能性」シュローダーが独自ツールで分析

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シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は4月25日、シュローダーエコノミストチームによる「シュローダー・リセッション・ダッシュボード」を用いた分析結果と把握したリスクなどをまとめたレポートの日本語版を発表した。同チームが注視する指標のうち約40%の指標が米国経済の景気後退を示唆。さらに、米国における景気後退は世界経済に重大な影響を及ぼす可能性があるとしている。

同社によると、シュローダー・リセッション・ダッシュボードは約20種類のマクロ指標から構成されたツールで、作成には、幅広い資産クラス、地域、戦略を担当する世界中のプロフェッショナル約100名で構成するマルチアセット運用チームの専門知識を活用。一種類のマクロ指標を単体で分析するのに比べ、景気後退へのリスクをより幅広い観点から観察することができるとしている。

経済活動は拡大期と後退期を交互に繰り返し、拡大縮小の一周期は「経済サイクル」と呼ばれる。エコノミストチームは、20種類の指標を3つのカテゴリーに分類し、足元の経済活動が周期内のどの期間に当てはまるかを確認する。

3つのカテゴリーは「インフレ指標」「金融政策指標」「マクロ経済指標/金融市場指標」。インフレ指標は、米国内における経済活動がフル稼働の状況であり過熱感があることを示す早期の警告シグナルとして機能する。これらの指標は、景気後退局面に入る約15~24ヶ月前に警告を発する傾向があるという。

金融政策指標は、景気後退に陥る約5~13か月前に警告シグナルを発する。マクロ経済/金融市場指標は最も遅れて反応する指標で、景気後退が起こる約1ヶ月前に警告シグナルを発する。

これらの指標から「米国経済に対する見通しは悲観的」と同チームは直言する。さらに「市場では、今後数か月の間にFRBがさらに政策金利を引き上げることが予測されている。インフレ指標の次に反応する金融政策指標が景気後退局面入りを示唆し、景気後退に関する議論がさらに過熱化する」と推測した。

指数はウクライナ情勢の影響を受けており、金融市場指標の株式市場ボラタリティを示すVIX指数は足元で警告サインを出している。VIX指数は最も遅く反応する傾向があるが、同社はこれについて「米国経済が即座に後退することを示しているのではなく、地政学的リスクの不透明感が高まっていることを示唆している」と例外的なケースだと指摘。一方で、早期に反応するインフレ指標のほとんどが景気後退局面入りを示唆していると付言。米国経済の景気後退を否定していない。

【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

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