退職後の豊かさ、日本は22位。投資家の7割が「十分な退職後資金を準備できない」ナティクシスIM調査

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ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社が9月15日発表した「2021年リタイアメント・インデックス調査」の結果で、調査対象の主要先進国44ヶ国のうちアイスランドが3年連続で1位にランクインした。日本は昨年から1つ順位を上げ総合評価で22位、健康指数でトップ、物質的な豊かさ指数でのスコアが改善した。

グローバル・リタイアメント・インデックスは、老後の生活保障が喫緊の社会および経済問題となっている44ヵ国を対象に老後の生活に影響を与える要因を調査・評価したもので、今年9回目。退職後の豊かさに関する18の指標を4つの指数に分類して分析、どのような特性が各国の状況を改善もしくは悪化させているかについて明らかにする。

4つの指数は①退職後に快適な生活を送るための物質的な手段②貯蓄の価値を維持し収入を最大化するための質の高い金融サービスへのアクセス③質の高い医療サービスへのアクセス④清潔で安全な生活環境などの生活の質をテーマとしている。相対的なスコアを算出し、総合することで、世界各国の退職後の生活保障の評価・比較を試みている。指数は、ナティクシスIMが英国の金融調査会社CoreData Researchの協力を得て作成しており、国際通貨基金(IMF)に加盟する先進国、経済協力開発機構(OECD)加盟国およびBRICs諸国を対象としている。調査は3月から6月にかけ、日本の400人を含む計8550人の個人投資家を対象に実施された。

それによると、日本の投資家の78%は、日本の公的債務の増加が将来的に公的年金の支給額の削減に繋がると考えており、70%が「十分な退職後資金を準備できない」、59%が「想定していたよりも長い期間働き続けなければならない」と受け入れている。

半数以上(62%)が「低金利により退職後に収入を得ることが難しくなる」と懸念しており、75%が長期的にはインフレが退職後の生活を脅かす最大のリスクの一つになると認識している。また、74%が「医療費のために貯蓄を切り崩すことになる」と懸念している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマクロ経済的な課題、さらに政府債務の急増、インフレ、低金利が、退職者にとって深刻な脅威となっていることが明らかになった。

総合評価ではアイスランドが3年連続で1位で、続く6カ国(スイス、ノルウェー、アイルランド、オランダ、ニュージーランド、オーストラリア)は昨年と同じ順位だが、いずれもスコアがやや低下した。 ドイツは2つ順位を上げて8位となり10位に後退したカナダと入れ替わり、デンマークは9位にとどまった。 上位10カ国はいずれも、4つの指数全てでバランスのとれたスコアを付けているか、3つ以上の指数で著しく高いスコアを付け、残りの指数のスコアを補っていることが特徴だ。

上位25カ国のうち15カ国が昨年と同じ順位となり、その内の20ヶ国がヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)地域。 新たにランクインした国はなく、順位の上下は主に2ランク以内にとどまる。米国、英国、イスラエル、韓国はそれぞれ1つ順位を下げて17位、18位、19位、23位となり、日本は1つ順位を上げ全体で22位となった。

指数では、退職後の資金指数はシンガポール、健康指数は日本、物質的な豊かさ指数はアイスランド、生活の質指数はフィンランドがそれぞれ1位にランクイン。生活の質指数の上位5ヶ国のうち4ヶ国は北欧諸国が占める。

日本のほかの指数は、退職後の資金指数が42位、生活の質指数は25位、物質的な豊かさ指数は16位。 4つの指数のうち次の2つの指数のスコアが低下した。 このうち、唯一上位25位に入っていない退職後の資金指数では、税負担、銀行の不良債権、老年人口指数、ガバナンス指標のスコアが低くなっている。また、調査対象国の中では、老年人口指数と政府債務残高のスコアが最も低かった。

一方で、ナティクシスが行った調査では、日本の投資家の70%が、所得格差が日本の退職後の保障全体に悪影響を及ぼすと考えていた。また、60%が、公的年金が期待通りに支給されなければ、退職後の家計をやりくりするのは難しいと考えており。依然として安心して退職後の生活を迎えられると確信しているのは31%にとどまっている。また、70%が、退職後に必要な十分な資金を備えることは決してできないという悲観的な見方を示した。

同社は日本の投資家の傾向として「多くは、政府の給付金や財形貯蓄、個人の貯蓄が不足した場合の選択肢は、とにかくより長い期間働くことだと考えている。しかし51%は、働きたくても雇用してもらえないのではないかと懸念しており、70%が、退職という選択肢はあり得ないと考えている」と解説する。

一方で「65%は雇用主には人々が経済的に安定した老後を送れるように支援する責任があると考えており、55%は退職給付制度でのマッチング拠出が可能な会社で働きたいと考えている。また、65%が、自身の優先事項や価値観に近い投資へのアクセスがあれば、退職後の生活のためにより多くの投資を行う意欲があると回答している」という側面も指摘。「投資家は正しい情報や信頼できるアドバイザーを見つけて、資産形成や退職後の目標に向けて活用していくことが重要」としている。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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