ソーシャルレンディング、不適切運用の疑いで資金の流れの調査続く

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ソーシャルレンディング国内最大手の仲介業者「maneoマーケット」にて募集された「グリーンインフラレンディング」の事業について、200億円余りの投資資金の一部が投資家への事前の説明とは異なり、融資先の企業から子会社の証券会社に渡ったり、証券会社の当時の会長の口座に入金されたりしていた疑いがあることが分かった、とNHKが6月28日付けで報じている。

一連の報道に対してmaneoマーケットは6月26日時点では、「一部報道機関において、当社が証券取引等監視委員会による検査を受けているとの報道があったが、当社が発表したものではない。当社が本件について回答をする立場には無いことをご理解いただきたい」「今後ともお知らせすべき事項については、速やかにホームページにて公表する」という発表を出し、「グリーンインフラレンディング」の事業に対する募集停止の経緯については6月29日、「大変遺憾ながら、グリーンインフラレンディング社から弊社が説明を受け、投資家の皆様にご説明申し上げていた使途とは異なる使途に一部資金が使用されたものと評価せざるを得ないとの判断に至った」と説明していた。

7月6日、maneoマーケットは、証券取引等監視委員会がmaneoマーケット社に対して行政処分を行うよう内閣総理大臣及び金融庁長官に対して勧告したと公表し、勧告においては「グリーンインフラレンディング社を営業者とするファンドに関し、最終貸付先企業が、ファンドの取得勧誘の際の事業とは異なる事業等に一部資金を使用していたこと、これにより取得勧誘画面が事実と異なる表示となっていたこと、上記の点を検証する態勢をmaneoマーケット社において構築できていなかったこと」が問題点として指摘されたことを明かした。

また、資金が渡ったと見られる子会社の証券会社について、NHKは、昨年10月に衆議院選挙の直前、細野豪志元環境大臣に5000万円を貸し付けていたことが明らかになっている、と伝えている。なお、子会社の証券会社は、細野氏に貸し付けた5000万円の原資について「答えられない」としている。

maneoマーケットが運営するソーシャルレンディングサービス『maneo』は、インターネット上で投資家から資金を集め、新規事業や設備投資などで資金が必要な借り手に融資を行うという仕組みとなっており、融資によって得られた利息が分配金として投資家に還元される。投資家にとっては年5%~7%という高い利回りで資金を運用できるというメリットがあり、新たな資金運用方法として期待されている。

maneoは2008年10月に国内初のソーシャルレンディングサービスとして開始され、現在では成立ローン総額1,333億3,924万円、登録ユーザー数77,938人(2018年6月28日時点)と、非常に多くの投資資金と投資家が集まっている。また、ソーシャルレンディング全体の市場規模も2017年に1,300億円を超える(クラウドポート社調べ)など、急激に拡大しているという状況だ。

一方で、ソーシャルレンディング会社への処分も相次いでおり、2017年3月に「みんなのクレジット」が不適切な資金運用などにより1か月の業務停止命令、2018年3月には「ラッキーバンク・インベストメント」が誤認表示による募集を理由に業務改善命令を受けている。

ソーシャルレンディングには、市場が急拡大する一方で法整備が追いついていないという課題がある。6月15日に規制改革実施計画が公表され、現在は金融庁が金融商品取引法上の投資家保護と貸金業法上の借り手保護を図る観点を踏まえて、融資先の情報開示など新たな取り組みに向けて検討・措置を進めているところだが、投資家サイドでもどの会社に投資資金を預けるかを慎重に選んでいくことが大切だ。

【参考記事】NHK『ソーシャルレンディング 証券取引等監視委が資金の流れなど調査
【参考記事】maneoマーケット株式会社『一部報道に関するお知らせ(続報)(重要)(2018/06/26)』
【参考記事】maneoマーケット株式会社『「グリーンインフラレンディング」におけるファンドの募集停止等のお知らせ(2018/06/29)
【参考記事】maneoマーケット株式会社『「証券取引等監視委員会による勧告について(2018/07/06)
【参考記事】株式会社クラウドポート『ソーシャルレンディングの国内市場規模
【参考資料】平成30年6月15日・閣議決定「規制改革実施計画
【関連記事】maneoのサービスの特徴など

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチームは、ソーシャルレンディングや金融知識が豊富なメンバーがソーシャルレンディングの基礎知識から投資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」