中国インターネット検索大手の百度(バイドゥ、ティッカーシンボル:BIDU(米国)、9888(香港))が11月17日に発表した2021年7~9月期決算は、最終損益が165億5,900万元(1人民元=18円換算で約3,000億円)の赤字となった(*1)。一方、ポジティブ材料としては、11月25日に中国初となる有料の自動運転タクシーサービスを開始した(*2)。
売上高は前年同月比13%増の319億元。オンラインマーケティングの売上高が同6%増の195億、AIクラウドサービスは同73%増だった。バイドゥ傘下の動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQIYI)」は同6%増の76億元となった。しかしながら、189億元に上る株式評価損を計上したことが利益を圧迫し、最終損益は前年同期の137億元の黒字から赤字に転落した。
ロビン・リー最高経営責任者(CEO)は「AIクラウドは企業がお客様により良いサービスを提供するサポートをしており、(自動運転車の)アポロの設計・生産と(運転支援システムである)インテリジェントドライブを導入し、交通渋滞の緩和や事故の減少、電気自動車(EV)への移行を推進していく」と述べた。また、ロン・ルオ最高財務責任者(CFO)は「クラウドやスマート交通、スマートデバイス、自動運転、スマートEV、ロボタクシーを含むAI事業の多角化を図っており、我々は長期的に成長していくことが可能な状況にある」とコメントしている。
バイドゥは自動運転技術の開発を推し進めるなか、11月25日に北京の当局より公道の一部で有料の自動運転タクシーサービスを提供する認可を取得した。北京市南部の60平方キロメートルの範囲内で、同社の自動運転タクシー「アポロゴー」67台を運行する。乗車料金の詳細は明らかにされていないものの、中国の配車サービス大手ディディ(滴滴出行、ティッカーシンボル:DIDI)のプレミアムクラスと同程度になる模様だ。
バイドゥのインテリジェントドライビンググループのバイスプレジデント兼最高セキュリティオペレーション責任者であるウェイ・ドン氏は「今年後半もしくは来年早々に上海や広州、深圳といった他の都市でも同様のサービスを提供すべく準備している」と述べた(*3)。
リーCEOは決算発表と同日、2030年までに自動運転タクシーを100都市で展開する方針を発表した(*4) 。ネット検索の広告に次ぐ収益の柱となるAI事業の業容拡大を急ぐ。
【参照記事】*1 バイドゥ「Baidu Announces Third Quarter 2021 Results」
【参照記事】*2 PR Newswire「Baidu Apollo Wins Approval for Commercialized Autonomous Car Service on Open Roads in Beijing」
【参照記事】*3 cnbc「EAST TECH WEST Baidu kicks off its robotaxi business, after getting the OK to charge fees in Beijing」
【参照記事】*4 cnbc「China’s Baidu wants to launch its driverless robotaxi service in 100 cities by 2030」
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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