米国株の信用取引、メリット・デメリットや類似の投資手法も

※ このページには広告・PRが含まれています

2022年7月から米国株の信用取引ができるようになります。米国株は経済成長により株価上昇が期待できるため、日本でも投資熱が高まっていますが、日本株とは仕組みが異なる点もあり、信用取引をする際にも注意しておくべき点があります。

この記事では米国株の信用取引のメリットやデメリット、取引するときの注意点について解説します。

目次

  1. 2022年7月から米国株の信用取引が解禁
  2. 米国株の信用取引の条件
  3. 米国株の信用取引のメリット
    3-1.自己資金以上の取引ができる
    3-2.相場下落時でも利益を狙える
  4. 米国株の信用取引のデメリット
    4-1.大きな損失がでる可能性がある
    4-2.ストップ高やストップ安がない
  5. 信用取引とCFD取引の違い
  6. ネット証券の対応
    6-1.SBI証券
    6-2.楽天証券
    6-3.マネックス証券
  7. まとめ

1.2022年7月から米国株の信用取引が解禁

米国株の信用取引が2022年7月から解禁されます。若年層を中心に米国株への投資意欲が高まっており、日本証券業協会が解禁に向けて検討を重ね、米国株の信用取引に必要なルールを整備しました。

米国株など外国上場株式の信用取引は法令上禁止されていませんでしたが、投資家保護や取引などのルールなどが整備されておらず、これまで証券会社では米国株の信用取引を扱ってきませんでした。

しかし、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなど米国の大手IT企業銘柄を売買する個人投資家が増え、投資のチャンスを増やすため日本証券業協会と金融庁が信用取引に関するルールを改正。2022年7月から信用取引を解禁することに決めたのです。

2.米国株の信用取引の条件

ただ、米国株には流動性や為替変動リスクがあるので、NYダウやS&P500種株価指数など主要株価指数に採用されている銘柄や、時価総額50億ドル以上などの条件を満たす約1,300の大型株に限定されます。そして証券会社は、約1,300の対象銘柄の中から取扱銘柄を決めるのです。

米国株の信用取引を行うときは、専用の口座を開設する必要があります。また、信用取引に必要な保証金率は株式時価総額の50%とし、追証(追加の担保差し入れ)の発生基準となる保証金維持率は30%にしました。日本株の信用取引と比較すると、以下のように米国株の信用取引の方が厳しい基準となっています。

項目 日本株 米国株
保証金率 30% 50%
保証金維持率 20% 30%

3.米国株の信用取引のメリット

米国株の信用取引のメリットについて解説します。

3-1.自己資金以上の取引ができる

米国株の信用取引は手元資金の2倍までレバレッジをかけることができるので、自己資金以上の取引ができ、大きく稼げるチャンスが得られます。米国株は1株単位で取引できますが、アマゾン・ドット・コムなどは1株30万円前後の資金が必要になります(2月22日時点)。しかし、米国株の信用取引を利用すれば半分の資金でも取引が可能になるのです。

3-2.相場下落時でも利益を狙える

信用取引は、買いだけでなく売りからも取引できます。自分が保有していない銘柄でも株価が高い時に信用取引の売りを行い、値下がりした時点で買い戻せば利益になるのです。

4.米国株の信用取引のデメリット

米国株の信用取引のデメリットについても解説します。

4-1.大きな損失がでる可能性がある

米国株の信用取引では自己資金の2倍まで取引できるので、大きな利益を狙うことができますが、同様に損失になる可能性もあります。また含み損になった場合は、追加の保証金である「追証」が発生するリスクもあるので注意が必要です。

追証を防ぐためには、委託保証金を多く入れ、レバレッジを抑えた取引をする必要があります。

4-2.ストップ高やストップ安がない

米国株には大きく値が動いた時に取引を停止する「ストップ高」や「ストップ安」という仕組みがありません。信用取引で買っていた銘柄の株価が急落すれば、1日で大きな損失が発生する可能性があるのです。

突発的に追証が発生する場合もあるので、慎重に取引する必要があります。

5.信用取引とCFD取引の違い

信用取引と同じように米国株のレバレッジ取引として「CFD取引」があります。CFD取引は、証拠金を差し入れて買付時と売却時の差額分だけを決済する取引方法です。信用取引と同じように、買いだけでなく売りからも取引できます。

ただ、CFD取引は証券会社との相対取引なので、市場価格通りに売買できるとは限りません。売りと買いの差(スプレッド)が開くこともあるので注意が必要です。

CFD取引はFXと同じ仕組みなので、FXに慣れている投資家はCFDを、国内株の信用取引をしている投資家は米国株の信用取引からはじめてみるのが良いでしょう。

6.ネット証券の対応

2022年7月から米国株の信用取引を取り扱う予定の、以下のネット証券を紹介します。

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • マネックス証券

6-1.SBI証券

SBI証券では、米国株の信用取引を2022年7月から開始する予定です。

SBI証券では米国株式の取扱銘柄数が5,000銘柄を突破しており、主要ネット証券で最多水準となっています。米国株の手数料は「約定代金×0.495%(税込)」で、最低取引手数料は0ドルとなっています。業界でも安価な手数料となっており、信用取引でも業界最低水準の手数料体系となるのかどうかに注目です(参考記事「米国株の取引手数料が安い証券会社は?主要5社を徹底比較」。

SBI証券では2022年を「米国株式サービス強化元年」と位置づけており、今後のサービス拡充やキャンペーンにも期待が高まります。

6-2.楽天証券

楽天証券でも、2022年7月から米国株の信用取引を開始する予定です。米国株取引は楽天証券でも人気で、ここ数年で利用者数が数倍に達しています。楽天証券では2021年12月に米国株積立サービスをはじめ、ポイント投資にも対応しています。

楽天証券ではテスラ(TSLA)やエヌビディア(NVDA)、アップル(APPL)などの大型株の人気が高く、信用取引でも取引できるようになることが期待されます。

6-3.マネックス証券

マネックス証券でも、2022年7月から米国株の信用取引を開始する予定です。マネックス証券では米国のトレードステーショングループと連携し、ほかのネット証券各社とは一線を画す米国株式取引サービスを提供してきました。

2008年より米国株式の取り扱いを開始し、様々な情報やサービスの拡充に取り組んでいます。信用取引サービスもその一環で、マネックス証券がどのような手数料体系やサービスを提供するのかに注目です。

まとめ

信用取引を利用することで、これまでより大きな金額を取引できます。ただ、損失も大きくなる可能性があるので、リスク管理が大切です。特に米国株は日本株と異なり、ストップ高・ストップ安がないため、有事の際には大暴落の可能性も0ではありません。

証拠金を多めに入れるようにし、追証にならないように注意しながら取引するようにしてください。

The following two tabs change content below.

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011