つみたてNISAで失敗しないための5つのポイントは?iDeCoとの併用方法も

※ このページには広告・PRが含まれています

つみたてNISAの運用について、具体的に気をつけるポイントが知りたいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。長期運用に適しているとされ、iDeCoとともに人気が高まっているつみたてNISAですが、資産運用の上で気をつけるべき重要なポイントが5点あります。

長期運用は、必ずしも資産運用の成功が約束されていない点に注意が必要です。この記事では、つみたてNISAの運用で失敗しないためのチェックポイントを5つ紹介し、後半では、運用上気をつけるポイントやiDeCoとの併用についても解説しています。つみたてNISAでの運用をお考えの方はご確認ください。

目次

  1. つみたてNISAで失敗しないための5つのチェックポイント
    1-1.短期の値動きに翻弄されない
    1-2.銘柄のポートフォリオについて理解している
    1-3.定期、定額投資のルールを守れている
    1-4.余裕資金で積立している
    1-5.ほったらかしの運用はしない
  2. つみたてNISAで考えられる失敗例
    2-1.値動きに耐えられずに手放してしまう
    2-2.定額の投資金額が高すぎる
    2-3.リスクを抑えすぎてほとんど利益がでない
  3. つみたてNISAでの長期運用で得られるメリット
    3-1.分散投資と時間の効果
  4. iDeCoとつみたてNISAの併用
    4-1.iDeCoは自力の年金つみたて
    4-2.つみたてNISAとiDeCoのメリットを活かす
  5. まとめ

1.つみたてNISAで失敗しないための5つのチェックポイント

早速、5つのチェックポイントを順番に見ていきましょう。

1-1.短期の値動きに翻弄されない

つみたてNISAの運用は短期間で解約してしまうと、長期運用のメリットを活かせずに失敗に終わってしまいます。つみたてNISAは長期運用を前提に設計されていますので、途中でやめてしまうと長期運用のメリットを享受できなくなるのです。

長期運用のメリットはいくつかありますが、重要なポイントの一つに、長い期間運用することで収益が安定する、という点が挙げられます。つみたてNISAは定額積立投資の制度なので、分散効果も加味され、通常のNISAより長期運用にて成果が出やすくなっているのです。

長い運用期間の中では相場が大きく変動することもありますが、長期間の積立と分散投資により振れ幅は小さくなっていきますので、大きな相場変動に遭遇しても長い目で観察し、すぐに解約しないようにしましょう。

1-2.銘柄のポートフォリオについて理解している

つみたてNISAは、金融庁が指定した投資信託やETFの中から運用商品を選び、長い目で成果を見守っていく投資スタイルを取るものです。各ファンドがベンチマークとする指標やファンドを構成する銘柄については、事前に確認しておきましょう。

どのファンドでも基本的に長期運用を見越した銘柄構成となっており、ベンチマークとする指標は、国内だと日経225、TOPIX、JPX日経400、全米株式インデックス、先進国、新興国のインデックスなど数多くのラインナップがあります。インデックス型の他には、複数の資産を組み合わせたバランスファンドもあります。

指数連動のインデックスファンドでも対象国によってリスクは異なりますし、バランスファンドとインデックスファンドでもリスクが異なります。どの程度のリスクが取れるのか、運用期間はどのくらいの長さで考えているのかによって、適したファンドは人それぞれ異なります。

少し手間がかかりますが、金融庁が提示しているファンドは、各運営会社にて目論見書や販売用資料で内容を詳しく説明していますので、事前に調べておくのが良いでしょう。

参照:金融庁「2021年6月つみたてNISA対象商品届出一覧(資産別)

1-3.定期、定額投資のルールを守れている

定期定額投資を自動に設定していれば気にしなくても良いのですが、投資経験が浅い人ほど、定期定額投資のルールが守れずに、買いすぎや買い時のチャンスを逃してしまいがちです。

投資の失敗として多い例の一つに、人間の感情や過去の経験が大きく入りすぎてしまうことが挙げられます。商品が安売りセールをしている時には積極的に買うのが一般的ですが、投資の場合は用心深くなってしまい買い控えてしまうものです。後々になって考えると、あの時に買っておけばよかったとなるケースは多くあります。

定期定額投資は、後述するドルコスト平均法と呼ばれるもので、できる限り人間の感情バイアスを排除したものです。定額投資を設定したら、しばらくの間は同じ金額で継続して投資を行いましょう。結果としてリスクを平準化したバランスの良い投資が可能となります。

1-4.余裕資金でつみたてしている

投資は生活資金を切り崩して行ってはいけません。しばらくの間は使わない余裕資金を投資に回すのが基本です。

つみたてNISAは年間40万円の非課税投資枠を最大20年間利用できる制度であり、投資期間中はその範囲内で余裕資金を捻出し続ける必要があります。つみたてNISAを継続する場合、今後の生活設計とともに捻出できる金額をまず決めておかなければいけません。この先予定されているライフイベントを考えて、毎月投資できる最適な金額を算出しましょう。

1-5.ほったらかしの運用はしない

つみたてNISAや長期運用の記事を見ると、インデックスファンドに長期投資し続けることが重要なポイント、というニュアンスの内容が多く記されています。

世界の株式市場を10年単位で見てみると、米国やフランス、ドイツ、日本、BRICsのブラジル、ロシア、インドなどはきれいな右肩上がりのグラフとなっていますが、イギリスや香港、上海の株式市場は微妙なグラフとなっており、数年後にはマイナスへ転換するかもわからない状態です。かつての日本の株式市場も、バブル崩壊後長い間低迷し、今でもバブルの時の株価を更新できていません。

長期運用の期間は明確に定義されてはいませんが、目標とする投資期間が終わった後にマイナスになる可能性も考えておかなければいけません。そのため、例えば毎年資産状況を見直したり、運用スタート時に資産がマイナス◯%になったら中止する、というラインを決めておいたりすることで、損失をズルズルと引き延ばさないようにすることも大切です。

2.つみたてNISAで考えられる失敗例

つみたてNISA運用時によく見られる失敗例を3つピックアップしました。

2-1.値動きに耐えられずに手放してしまう

長い期間運用していると、思わぬ出来事によって株式市場が大幅に変動することがあります。例えば先物商品市場の話ですが、2020年にはコロナウイルス蔓延の中で原油先物の価格が一時マイナスとなり、原油ETF銘柄にも大きな影響を与えました。

紛争や経済危機など数年ごとに起きる出来事に対しては、新興国など地盤が弱い市場の場合、先進国市場と比べて大きく相場が変動します。日本の株式市場もここ数年で海外投資家の資本が増えた影響もあり、大胆に売り込まれる相場を見かけるようになりました。

投資経験が浅い場合、大きな相場変動が起こると、どうしても一旦運用を中止したくなります。しかし大きな相場変動も、年単位でみると最終的には変動前の相場に回復したり、それ以上に上昇することもあります。

未来のことは誰にもわかりませんが、不確定なリスクを抑えるのが長期運用なのです。国家の経済施策を考慮しながら、できる限りの長期運用を心がけましょう。

2-2.定額の投資金額が高すぎる

つみたてNISAは年間40万円の投資を上限に、その利益が非課税となる制度です。均等に定額投資を行うと毎月約3.3万円が投資上限となります。

毎月上限まで投資するのも資産形成においては有効ですが、収入の割に投資額が高すぎると感じる場合は、無理のない余裕資金の範囲内にとどめて積立をスタートしましょう。無理して積み立てたことが災いして途中で運用をやめてしまうと、長期投資による資産形成メリットを享受できなくなってしまいます。

2-3.リスクを抑えすぎてほとんど利益がでない

リスクを抑えることばかりを考えると、長期投資をしても投資に見合った利益がでないケースがあります。

例えば国内債券に投資するファンドには、定期的な利子を収益とするものがありますが、リスクを低く抑えている分だけ収益の幅も少なくなります。このようなファンドは、10年程度運用してもリスクに見合った小さな収益しか得ることができません。

投資では取るリスクの分だけ収益を得られる可能性がありますので、自分が許容できるリスクをあらかじめ考えておく必要があります。

3.つみたてNISAでの長期運用で得られるメリット

つみたてNISAの長期定額投資のスタイルで得られるメリットについて解説します。

3-1.分散投資と時間の効果

時間分散という言葉は主に、2つの意味で使われます。

  1. 投資タイミングの分散
  2. 長期投資による価格変動リスクの軽減

ひとつ目は、投資タイミングの分散です。ドルコスト平均法のように複数回に分けての投資や、複数回に分けての売却を行うことで、買値や売値の平準化を目指し、高値づかみや安売りを避ける狙いがあります。

もうひとつは、長期投資をすることで1年あたりの価格変動のブレを抑える目的で投資するという考え方です。時間分散効果と呼ぶこともあります。ただし、1年間投資した場合の価格変動の大きさよりも、10年間投資した場合の価格変動のほうが小さいというのは、1年あたりの平均のブレが小さくなるという意味であり、10年間の累積の価格変動は1年間の場合よりも大きくなることに注意が必要です。

ドルコスト平均法

つみたてNISAでは毎月定額の投資を継続していきますが、この投資方法はドルコスト平均法と呼ばれています。主な特徴は以下の3点です。

  1. 高値つかみのリスクを軽減
  2. 人の感情が入らない
  3. 初心者でも失敗しにくい

ドルコスト平均法では毎月同じ金額で買い付けますので、自動的に価格が安い時は多めに、高い時は少なめに買い付けます。機械的に定額投資を行うため人による判断の介入がなくなり、高い時に買いすぎたり、安い時に買い控えしたりという失敗を回避することができます。そのため初心者でも相場に左右されず失敗しにくいのです。

以下、ドルコスト平均法で半年間資産を買い付けた場合の一例です。基準価額が高い時は口数を少なめに、基準価額が安い時は多めに買い付けています。

項目 1月 2月 3月 4月 5月 6月 合計
基準価額(1万口あたり)※税込 10,000 13,000 8,000 11,000 7,000 10,000
毎月一定額購入 投資金額 10,000 10,000 10,000 10,000 10,000 10,000 60,000
購入口数 10,000 7,692 12,500 9,091 14,286 10,000 63,569

投資判断に自信がない方や相場の上下に一喜一憂したくない方は、ドルコスト平均法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

4.iDeCoとつみたてNISAの併用

つみててNISAとiDeCoは、長期運用という点では共通点がありますが、細かい内容を見ていくと運用形式に違いがあります。2つの運用制度を活用し、併用するスタイルについて解説します。

4-1.iDeCoは自力の年金つみたて

iDeCoとは自分で掛け金を捻出し、運用して収益を目指す私的年金制度です。原則として60歳まで拠出を続け、60歳以降に掛け金と運用益の払い戻しを受けられます。つみたてNISAと同様に、運用益は非課税の扱いとなるほか、運用資金の受取時にも税制優遇があります。

その他の主な特徴は以下の3点です。

  1. 原則として途中で解約できない
  2. 掛け金は自分で決める
  3. 運用商品は低リスクからやや高リスクなものを選ぶことができ、途中で変えることも可能

iDeCoはスタートすると基本的に途中で解約はできず、60歳まで掛け金を捻出し続ける必要があります。運用商品はつど変えることができますので、状況に応じて適宜見直しが必要です。

つみたてNISAとの違いは、途中解約ができない、元本保証の預金なども組み入れることができる、という点です。途中解約できない分、iDeCoのほうが選択肢の幅が広くなっています。

4-2.つみたてNISAとiDeCoのメリットを活かす

つみたてNISAとiDeCoには運用期間の明確な違いがあります。iDeCoは60歳までしか運用できませんが、つみたてNISAは最大20年間の運用が可能です。50歳から運用をスタートする方の運用期間は、iDeCoは10年、つみたてNISAは20年となります。

30歳から運用をスタートする場合の運用期間は、iDeCoは30年、つみたてNISAは20年です。運用を開始する年代にもよりますが、iDeCoの運用期間が短い場合、短期での収益を目指す運用商品を組み入れ、つみたてNISAでローリスクな運用を選択する、という併用方法があります。

iDeCoではアクティブ型のファンドを選ぶことができ、リスクを取ることも可能です。iDeCoの運用期間が長い場合は、iDeCo、つみたてNISAそれぞれで運用商品を組み合わせてリスクバランスを調整し、残り年数や状況に応じて組入銘柄を変えていくと良いでしょう。

運用年数や生活スタイルからリスク許容度を考え、iDeCoとつみたてNISAを上手く活用することがポイントです。

まとめ

つみたてNISAは長期運用で収益を目指す運用スタイルなので、目先の相場変動に惑わされず、無理のない継続投資を目標に続けていきましょう。

長期運用というと、ほったらかしの運用でもいいように思われがちですが、自分が何に対して投資しているのか理解するほか、定期的なポートフォリオの見直しも必要です。投資をする以上最低限の知識は必要なので、投資を始める前に勉強しておきましょう。

また、つみたてNISAと似たような運用制度にiDeCoがあり、それぞれ運用制度に特徴があります。投資可能な資産のリスクの幅はiDeCoのほうが上となっており、つみたてNISAと併用する場合、リスクをバランスよく分散して効率の良い運用を目指すと良いでしょう。

The following two tabs change content below.

sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。