新型コロナの影響により株価が下がったことなどがきっかけで、投資を始めたという方が増えています。ロボアドバイザーは、忙しく働く世代の投資先として魅力的な選択肢の一つですが、積立投資を続けていく際に悩みとなるのが手数料です。積立により運用金額が大きくなるに伴って、手数料の金額負担も年々大きくなっていくためです。
今回はロボアドバイザーの利用を新たに検討している方や運用手数料でお悩みの方に向けて、大手ネット証券の一つである松井証券が運営するロボアドバイザー「投信工房」をご紹介します。投信工房は年率0.34%程度のコストで長期・積立・分散投資が可能、しかも1日100円と少額からでも始めやすいサービスです。このインタビューでは、松井証券マーケティング部の佐々木健吾さんに投信工房の魅力や投信工房にかける想いについて詳しく伺いました。
話し手:松井証券マーケティング部 佐々木健吾氏
- 立教大学卒。2010年松井証券入社後、顧客サポート部、コンプライアンス部を経て、2014年、同社のマーケティング部に配属。2020年8月現在マーケティング部、副部長
1.圧倒的な強みは、ユーザーに寄り添った低コスト運用
Q.「投信工房」の名前の由来やサービスへの想いを教えて下さい。
まずはサービス名「投信工房」の由来についてですが、本サービスは、もちろんほったらかし運用も可能ですが、ご自身のポートフォリオ※をライフスタイルにあわせて調整していくことが可能です。人それぞれにある、収入が安定する、結婚する、といったタイミングに応じてその方次第で、お好みのカスタマイズが可能だといった部分をなんとか伝えたくて、サービス名について議論を交わしてきました。そして、最終的にその想いを伝えるサービス名称「投信工房」に決定した次第です。
※ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせのこと。例えば、国内株式で30%、新興国の株式30%、債券40%等、具体的な運用商品の組み合わせとなりますが、投信工房では当社のロボアドバイザーが提案する投資信託の組み合わせのことを指します。
サービスへの想いについては、投資信託への想いも含め、かなり古い話にさかのぼります。当社は2016年11月末に「投信工房」の提供を開始しましたが、実は遡ること約20年前、当社は投資信託販売業務を行っていました。他社は投資信託の手数料を横並びで売っていた時代に、当社は手数料を3分の1にして販売しようとしました。しかしそのことが原因で投信会社から煙たがられ、商品となる投資信託を仕入れることができなくなりました。望む形での商売ができないなら・・という理由で投資信託の販売から一時撤退した経緯があります。
それから時が経ち、金融庁や国から「もっと透明性のある投資を」という雰囲気ができあがってきて、且つ「ロボアドバイザー」という新しい技術も誕生してきました。やっと、当社が思うような投信サービスを開始できる時期がやってきたという万感の思いもあり、「投信工房」の提供を開始しました。
Q.ロボアドバイザー「投信工房」の独自の強みや魅力を教えて下さい。
「投信工房」の一番の強み、それは数あるロボアドバイザーの中で圧倒的な低コスト運用が可能なところです。また、少額(100円)から開始できることも魅力のひとつと言えます。投資一任型のロボアドバイザーの場合、サービス利用料として年率1%程度掛かるところもあります。また、別途支払うものではありませんが、投資対象がETFであっても保有コストがあり、そのコストも実質的にはお客様が負担しています。なお、投信工房の場合は、ロボアドバイザー利用料が0円、すべての投資信託の購入時手数料が0円、また投資対象は投資信託となりますが、提案する投資信託は、信託報酬の低い投資信託を選定しますので、全コストが年率0.34%以下で済みます。
※ロボアドバイザーには、資産運用の最適な配分を助言する「アドバイス型」と、投資商品の発注や運用まですべてを行う「投資一任型」があります。当社の「投信工房」は「アドバイス型」のロボアドとなります。
下の対面証券会社のファンドラップサービスと比較した場合のコストをご覧ください。
※投信工房で提案するポートフォリオに含まれる投資信託は、すべて購入時手数料がかからないノーロード型投信です。
※投信工房の記載は、想定コストが最も高いモデルポートフォリオに基づいて算出しています(2020年4月3日時点)。また、税抜で算出しています。
※合計コストは、基準価額が年間平均3%上昇し、分配金は0円、信託報酬は年度末に支払うものとして計算。
※それぞれの商品に応じて異なった費用(信託財産留保額、監査費用、組入有価証券の売買委託手数料など)が別途生じる場合があります。
※A対面証券は、契約資産5,000万円以下の場合の費用です。
積立投資は長期間の投資になりますので、その間にかかってくるコストは最終的なパフォーマンスに大きく影響します。そのため、長期投資が前提となるファンドラップ※やロボアドバイザー等をご検討のお客様に、ぜひご利用いただきたいサービスとなります。
※ファンドラップとは・・・投資家がサービス提供業者に資金を預けて、資産管理・運用を行ってもらう形態で、一般的に複数の投資信託(ファンド)をひとつに包んで(ラップ/ラッピング)分散投資することから「ファンドラップ」と呼ばれている。
Q.現在、投信工房で利用者数の多い年齢層や平均の運用資産は?
まず当社で投資信託の積立を行っているお客様は、40代以下の比率が約6割と、株式投資を行っているお客様(40代以下が約4割)に比べて高い状況です。投信工房で提案されたポートフォリオを一括で購入しているお客様も40代以下が全体の6割強で、比較的若い人に利用されています。
また、積立を行っているお客様の内、約7割が定期積立を行っているので、やはり仕事などで日々忙しい方には、予め頻度を設定しておけばほったらかし運用が実現できる、定期積立が好まれるようです。投資を始める入口として投資信託は使いやすいのではないかと思います。1人当たりの平均運用資産は、20代が約30万円、30-40代が約78万、年配層で約140万円と、やはり年齢を重ねるにつれて金額は大きくなる傾向にあります。
2.自動リバランスで、ほったらかし運用も可能
Q.投信工房で提案される投資信託は、どのような基準やルールで選ばれているのでしょうか?
まずはモデルポートフォリオご提案までの流れについて触れさせてください。投信工房のロボアドバイザーは、世界中の機関投資家に利用されている「平均分散アプローチ」をベースにしたデータ分析をもとに、サービスを提供しています。
資産運用においては、どんなお客様でも大きなリターンを期待されると思いますが、損失の発生をどの程度受け入れることができるかはお客様毎に異なりますよね。そこで投信工房では、はじめに運用方針の確認を行い、お客様のリスク許容度(損失の発生を受け入れられる度合い)を測り、年齢や金融知識などのお客様自身に関する情報・資産運用に対する考え方についてご質問します。その回答内容をロボアドバイザーが分析し、お客様に最適なモデルポートフォリオをご提案しています。
そしてモデルポートフォリオですが、9つの資産クラス(資産の種類)を投資対象としており、その投資対象とするベンチマークと投資信託を、資産クラス毎に定めています。その投資信託は、純資産額やコストなどを勘案し、当社取り扱いの中から最適な投資信託を選定するとともに、適宜見直しを行っています。モデルポートフォリオのベンチマークと投資信託は公開されておりますので、こちらからご確認いただけます。
なお、当社は2019年12月9日(月)から、すべての投資信託の購入時手数料を無料化しました。松井証券で取り扱っている約1,250本の中には、他社では購入時に手数料がかかる投資信託もありますが、松井証券であれば手数料0円で購入できます。また、本年4月より「投信毎月現金還元サービス」を開始しています。本サービスでは、販売会社(松井証券)が受け取る信託報酬の年率0.33%(税込)を超える分をお客様にお返しします。同じ投資信託を購入するにしても、松井証券なら最安水準のコストで運用することができます。
投信毎月現金還元サービス
「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」の場合
対象となる投信は、販売会社が受け取る信託報酬が0.33%(税込)を上回るもので、当社取扱1,257本のうち7割超となる918本が該当します。
※当社調べ、2020年3月27日時点。平均保有金額の変動により還元額も変動します。
※当社が受け取る信託報酬が、0.3%を超える投資信託が対象です。ETF、REIT、米ドルMMF、iDeCoで保有している投資信託は対象外です。
投信工房で開始をした後の運用の流れやイメージを教えて下さい。
投信工房を開始した後は「ロボアドバイザー」が提案してくれたポートフォリオに合わせて自動的に投資信託を購入してくれます。
目標ポートフォリオ例
私は松井証券で勤務していますが、実は私自身もこの投信工房を利用しています。一日の中で自身の投資に費やせる時間はそれほど多くありません。なので「積み立て設定」「自動リバランス設定」の2つの機能を活用しています。まずは「積み立て設定」ですが、私自身は少額でも日々着実に投資が出来ている感覚が好きなので、積み立ての頻度を「毎日」に設定しています。
また私の場合は、買付が成立する度にメールで通知が届く機能も活用しています。毎朝、家を出るタイミングで積み立てが完了したことを確認出来るので、安心感がありますね。次に活用しているのが「自動リバランス設定」です。日々の運用を続けていくと、段々と目標とするポートフォリオと運用との「ズレ」が生じてきます。
このズレを修正することを“リバランス”といいます。目標とするポートフォリオの銘柄バランスを維持することは、自分に合った投資を続けていくために非常に重要となってきます。投信工房の自動リバランス機能は、頻度と日付を選ぶだけで簡単に設定できます。これら2つの機能を活用することで、いわゆる「ほったらかし運用」も可能となるので、私自身の資産形成においても、投信工房はとても頼れる存在で重宝しています。
Q.投信工房のサービスや機能面で課題と感じられていることや今後改善を検討していることは?
機能面ではありませんが、投信工房はいわゆるアドバイス型のロボアドバイザーの為、積立開始まで、またその後の運用に手間が掛かると思われているのではないかと感じています。ポートフォリオの提案、投資信託の購入は、WEBでもアプリ上でも簡単な操作でできます。
お客様自身で投資信託の購入操作をしていただく必要はありますが、3クリックで提案されたポートフォリオの一括購入が可能です。また、「自動リバランス機能」で一度リバランス時期を設定しておけば、ほったらかし運用も実現できます。なお、投資一任型ロボアドバイザーで投資をはじめたお客様の中には、はじめてから運用コストの大きさに気が付く方もおられるのではないでしょうか。投信工房は、カスタマイズの自由度を残しつつ、自動リバランス機能を利用すれば、誰でも簡単に低コストでほったらかし投資がはじめられるロボアドバイザーです。お客様の設定次第では、自動運用も可能であり、投資一任型に引けをとらないサービスだと考えています。まずは投資を始めるお客様に、「投信工房」を知っていただくことが現在の当社の課題だと考えています。
3.思い描く通りの投資へ
Q.松井証券さんとして、どんな世界観や未来を目指されているのでしょうか?
当社は「顧客中心主義」を企業理念として掲げ、「個人投資家にとって価値のある金融商品・サービスの提供を通じて、お客様の豊かな人生をサポートすること」を経営理念として、事業活動を行っています。積立投資を始めたお客様が年月を重ねて金融知識が増えていった際、いろいろな考えや、想いがでてくるのではないかと思います。
すべてのお客様が、自分で思い描く通りの投資や積立ができることが一番の理想だと考えています。個人的な想いを加えさせていただくなら、投信工房がそのお手伝いをさせていただき、未来のライフイベント(結婚、退職等)の際に、投信工房で積立をしていて良かったなと思っていただけたら、大変嬉しく思います。
Q.投資初心者の方へのアドバイスをお願いいたします。
コロナ禍において投資を始めるべきか迷っている、これまで投資の経験がなくてなかなか踏み出せない、という方もいるかもしれません。上がっても下がっても買い続ける積み立て投資においては、どんな時においても始め時です。
松井証券の投信工房なら、初心者の方でも自分に合ったポートフォリオを簡単に設定することが出来ます。金額も100円からと、コーヒー1杯以下の金額で積立投資を始め、ムリなく続けていくことができます。また、積み立て設定(毎日・毎週・毎月)やリバランス機能など、初心者の方でも安心して投資が出来る機能が揃っています。わからない点があれば、遠慮なく当社自慢のサポートダイヤル(電話)をご利用ください。当社では投資信託全般について、専門スタッフがお答えする「投信サポート」もご用意しています。
将来のための資産形成、「まずは始めてみる」ことが第一歩となります。松井証券の投信工房を利用して、あなただけの資産形成を始めてみませんか。
4 まとめ
徹底的にユーザー目線に立つことで、手数料を下げ、ライフプランに応じてカスタマイズできるサービスを作り上げた投信工房。このインタビューを通してその熱量を感じ取ることができました。
自動リバランスの機能や低コストな運用により、現在のロボアドバイザーの運用手数料に課題を感じている方や、投資にあまり多くのお金や時間を割くのが難しい若年層の個人投資家にとって、長期・積立・分散投資を実現しやすいサービスであると言えそうです。
HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム
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