【元トレーダーが解説!】投資額に応じた暗号資産の投資戦略の組み立て方

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証券会社を経て、仮想通貨(暗号資産)取引所でトレーディング業務に従事した後、現在は独立して仮想通貨取引プラットフォームのアドバイザリーや、コンテンツ提供事業を運営する中島翔氏のコラムを公開します。

目次

  1. 暗号資産の投資で理解すべきこと
  2. 暗号資産CFDとは?
  3. 投資金額別で考える投資方法
    1. 軍資金10万円からの投資方法
    2. 数百万円を暗号資産に投資する
  4. 目標リターンと期間を設定する

暗号資産のマーケットが盛り上がりも見せる中、改めて関心を寄せている人も多いでしょう。これまで法定通貨のFXや株等の投資を行ってきた方の中には、暗号資産のボラティリティは少し怖いと思う人もれば、ポートフォリオに含めることを合理的と判断する人もいます。ここでは投資額に基づいて、どのように暗号資産に投資を行うべきかを考えていきたいと思います。

①暗号資産の投資で理解すべきこと

まず暗号資産に投資を行うということで理解しておくべきことを紹介していきたいと思います。暗号資産の特徴は「流動性が低く、値動きが他のアセットクラスと比較しても大きい」ということです。

値動きが大きいと聞くと、大きく利益を出すチャンスと感じる方もいるでしょう。しかし、リスクとリターンは表裏一体なので、それだけリスクが大きいということを表しています。

暗号資産のマーケットでもFXやレバレッジ取引等、リスクを大きく取る手法が用意されています。(日本では現在レバレッジ規制により4倍までとなっています。)

08201このチャートはビットコイン(青色)、NYダウ(赤色)、ドル円(オレンジ)の年初からの騰落率を表しています。ドル円はほぼ平行線で大きな値動きをしていないことがわかると思います。

NYダウに関しても一時30%程度の値動きはしていますが、それでもビットコインと比較するとそこまで大きくないと理解できるでしょう。ビットコインは上下で見ると±40~50%程度動いており、上下に大きく動いていることがわかります。

この値動きが暗号資産の一番難しい点です。大きく利益が出るチャンスもありますが、リスク管理が出来ずにマーケットから退場する投資家が数多くいます。初心者で暗号資産をこれからスタートされる方はこの難しさをしっかりと理解して取り組むことが良いでしょう。

②暗号資産CFDとは?

08202次に暗号資産CFDとは何か解説します。

CFDとは「差金決済取引」を指しています。この取引の特徴は取引を行っても実際に現物の資産を保有することはありません。その対象としている商品の値動きが出た部分だけの金銭をやりとりすることで完了する取引となっています。

具体的には、ビットコインのCFDでビットコイン円の通貨ペアで1BTC=1,000,000円でロングしたとします。しかし、実際にビットコインを1BTC保有するわけではなく、ビットコイン円の値動き部分だけ日本円で決済するということになるため、もしも1BTC=110,000円で決済した場合は、その差額部分である100,000円を受渡して取引を完了させます。

これがCFD取引です。そして暗号資産CFD取引とは、値動きの元となる原資産を暗号資産で行う取引を指しています。下記はGMOコインの暗号資産FXの画面です。
08203CFD取引では、レバレッジというものが利用できます。レバレッジとは実際に入金する資産以上のリスクで取引を行うことができるもので、もしも100万円入金した場合、日本では最大400万円までリスクを取ることが可能となっています。

もしも400万円分リスクを取り、値動きが20%出た場合、資産価値が上下どちらかに(20%×4=)80%変動しているということです。

ただでさえ値動きが大きい商品にレバレッジを利用するということは相当なリスクを追うため、リスク管理ができない投資家は目標や金額で設定する必要があります。

レバレッジはやみくもに利用するものではなく、自分自身が目標としている目標金額や期間にあわせて調節するものです。

③投資金額別で考える投資方法

1. 軍資金10万円からの投資方法

元手10万円でスタートする場合、大事なのはどこまで殖やしていきたいのか?ということです。

10万円を大きく増やしたいと思われる方は、暗号資産CFDでレバレッジを利用して取引することが良いでしょう。暗号資産のトレーダーの中には、資産を1年で10倍に膨らませる人もいます。

初心者が夢を見てレバレッジ取引を行ったとしても、失敗する投資家がほとんどでしょう。しかし、この失敗を経験として捉えて、次に生かすことができれば挑戦する価値はあると言えます。リスク管理がどれだけ難しいのか、実感できるでしょう。

何倍にも増やしたい場合、短期トレードでレバレッジを活かして売買を繰り返すことが必要となります。しかし、10万円を15万円に増やしたいという目標設定であれば、3つぐらいの資産に分散しながら現物を保有する方が良いでしょう。

この市場はビットコインとその他の暗号資産(アルトコイン)という構図になっています。そしてアルトコインはイーサリアム(DeFi関連)が市場を席巻しています。

DeFiは中長期的なムーブメントです。多くのDeFiプロトコルで担保資産となるイーサリアムは、保有資産として現在人気を集めています。海外では機関投資家が暗号資産マーケットに参入する動きが加速しており、ビットコインと合わせてイーサリアムを保有することが現実的でしょう。

割合もビットコインとイーサリアムを多めに保有しつつ、何倍にもなることを期待してアルトコインを1種類だけ保有するという方法が良いかもしれません。

2. 数百万円を暗号資産に投資する

ポートフォリオにある程度の割合で暗号資産を組み入れたいと思う場合、その総額から中長期的なホールディング(ガチホ)と、短期トレードの配分を決めていくべきでしょう。その割合を決めるには、目標設定と目標期間を定める必要があります。その上でリスクの取り方へと落とし込みます。

仮に1年で2倍のリターンを得たい場合、3分の2を中長期的なトレードで行い、残りを暗号資産CFDでレバレッジを利用して取引する割合が考えられます。例えば、軍資金が300万円の場合、200万円を中長期の資金としてビットコイン(40%:80万円)、イーサリアム(40%:80万円)、その他アルトコイン(20%:40万円)を購入します。残りの100万円は暗号資産CFDでレバレッジをかけて短期売買を行うようなイメージです。

重要なのは中長期の投資枠について時間分散を行うことです。一気に購入するのではなく毎週や毎月など、一定の頻度で定期的に購入しましょう。また、下落したら買い増していくような「ナンピン戦略」も併用することが有用です。

時間分散は、暗号資産CFDでも同様に大切です。短期トレードの場合、取引のスパンは短くなりますが、考え方は一緒です。

もう一つ暗号資産CFDで大切なことは損切りの徹底です。レバレッジをかけることで保有資産以上のリスクを取ることになります。一定水準に達したら諦めて次のトレードに備えるという切り替えがとても重要です。

しかし、初心者に限らず損切ができなくなるトレーダーが非常に多いです。「リスク管理ができない」という点が負ける理由になっていること」を理解していない投資家が数多く存在します。

上下を当てる特性上、トレードの勝率は5割です。それにも関わらず、負ける人が8割以上という世界の大きな理由はリスクコントロールができるかできないかということです。

これは知識以前に大事なことなので、必ず勉強するようにしましょう。

④目標リターンと期間を設定する

最後に大事な点をまとめておきたいと思います。これから暗号資産を初めて行う方の中には、大きく稼げるチャンスと思っている方も多いかもしれません。しかし、それはリスクと表裏一体と考えましょう。

投資戦略を考える上で、まずは目標とするリターン、そして投資期間を設定しましょう。そこからどの程度のリスクを取るべきか検討します。現物で中長期的に保有するのか、暗号資産CFDでレバレッジを活かして投資を行うかは、リスクの取り方で変わってきます。また現物保有の場合でも銘柄の分散、そしてドルコスト平均法のように時間分散を行うことで値動きのリスクを緩和しましょう。

暗号資産を博打の手段ではなく、資産運用の商品として利用してもらうと、大きな効果を発揮すると思います。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12