株式投資、銘柄の選び方や分析方法、購入タイミングをプロが解説

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日経平均株価が1990年8月以来の3万円台を回復し、株式市場が活気づいています。コロナ禍の巣ごもりで毎月の支出が減少したり、将来について改めて考えているという方の中には、株式投資を始めた方や始めようと考えている方も少なくないのではないでしょうか。

しかしながら、株価は乱高下が激しいため損失を出してしまうのではという不安から、株式投資に踏み切ることができない方もいると思います。そこで、今回は投資初心者の方にも投資しやすい銘柄選びの方法などを解説します。

目次

  1. 株式投資のスタイル
    1-1.短期投資
    1-2.長期投資
  2. 投資初心者には割安銘柄(バリュー株)
    2-1.割安株(バリュー株)とは
    2-2.成長株(グロース株)とは
  3. 割安銘柄の選び方
    3-1.PER(株価収益率)が低い
    3-2.配当利回りが高い
    3-3.PBR(純資産倍率)が低い
  4. 投資のタイミング
    4-1.株式市場の暴落時
    4-2.テクニカル分析を用いる方法
    4-3.予想PERを基準に投資する方法
  5. 割安銘柄の探し方と銘柄の実例
  6. まとめ

1.株式投資のスタイル

株式投資の主な手法には、売買を頻繁に行うことで利益を積み上げる投資方法(短期投資)と、ある銘柄に投資したら数年から数十年保有する投資方法(長期投資)があります。

1-1.短期投資

株価の変動に注目し売買を繰り返す方法で、代表的なものにデイトレードがあります。勝ち負けの勝率は50%ですが、初心者の方は利益よりも損失が大きくなる傾向があります。

短期売買はゼロサムゲーム(勝者の利益と敗者の損失の合計金額がゼロ円となる)といえます。リスクが高い投資方法のため、初心者の方にはおすすめできません。

1-2.長期投資

長期投資は、日々の株価の動きにとらわれずに企業の成長に期待し、保有を継続する投資方法です。

米国のアップルは1980年12月に上場しました。当時の時価総額は17.8億ドルでしたが、2021年2月時点では2.273兆ドルと当時の約1,276倍にもなっています。このような企業を見つけ、長期投資をすれば大きな資産を築くことができます。

アップルのように1,000倍になる企業を探すことは難しいものですが、10年で2倍、3倍に成長する銘柄は多く存在します。企業の状態を定期的に把握しておく必要があるため、決算発表や株主総会に出席するなどして常に企業情報を取集するようにしましょう。

2.投資初心者には割安株(バリュー株)

株価には、割安株(バリュー株)と成長株(グロース株)があります。初心者の方には、リスクの低い割安株への投資が向いています。

2-1.割安株(バリュー株)とは

割安株とは、本来の企業価値と比較し、割安に放置されている株のことをいいます。具体的にはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低く、配当利回りが高い銘柄です。割安の判断については、同業他社や株式指数のPER・PBR・配当利回りと比較します。

割安銘柄の特徴は、株価が相対的に割安な水準であるため、株価が下がりにくいことです。業績が堅調な銘柄も多く、定期的に配当金をもらうことができます。代表的な銘柄には商社株が挙げられます。

2-2.成長株(グロース株)とは

成長株とは、将来にわたり売上や利益の大きな伸びが期待できるため、株価が大きく上昇する銘柄です。PERやPBRが株式指数と比べ高い傾向があります。

銘柄の中には赤字企業も多く、それらの企業は成長期待が後退した場合、株価が急落するリスクがあります。株価の変動が大きく、大きな損失が発生するリスクが高いため、初心者の方にはあまりおすすめできません。

3.割安銘柄の選び方

ここでは投資初心者の方にも投資しやすい、割安銘柄の選び方について解説します。

3-1.PER(株価収益率)が低い

PERは一株当たりの税引き後の純利益(EPS)に対し、株価が何倍まで買われているかという指数です。日経平均やTOPIXなどの指数のPER、業種のPER、同業他社のPERと比較し、株価がそれらの値より高いか低いかで、株価の水準が割高かどうかを判断します。PERが低い銘柄を選ぶようにしましょう。

EPSは純利益を発行済株式数で割って求めます。例えばA社の税引き後純利益が1億円で発行済株数が100万株の場合、100円(1億円÷100万株)です。A社の株価が1,200円ならば、PERは12倍(1,200円÷100円)です。同業B社のPERが20倍ならA社が割安と言えます。指数や業種と比較することで割安かどうか判断することができます。

PERには予想PERもあります。これは算出に当たり、予想EPSを用いて求めます。市場では予想PERが利用されます。

3-2. 配当利回りが高い

配当利回りが高い銘柄は、下落リスクが小さいといえます。株価が下落した場合、配当利回りが上昇することから、利回りを目的とした投資家の買い注文が入りやすいためです。

配当利回りも相対的な指数であるため、同業他社の配当利回りや国債の利回りと比較することで、株価が割安な水準かどうかを判断します。

3-3.PBR(純資産倍率)が低い

PBR(純資産倍率)とは、株価が一株当たりの純資産(BPS)の何倍まで買われているかという指数です。この倍率が低いほど割安な銘柄と判断され、企業価値と株価が等しい状態が1倍です。1倍未満の場合は、株価が純資産価値を下回っている状態ですが、1倍を下回っている銘柄も珍しくありません。

なお、これらPER,PBR,配当利回りといった指標は、オンライン取引なら各銘柄のページ上や証券会社の検索ツール上で確認できるため、必ずしも自身で計算する必要はありません。

4.投資のタイミング

投資のタイミングは、テクニカル分析やPERなどを用いて決めましょう。

4-1.株式市場の暴落時

暴落時は株に投資するチャンスです。今回の新型コロナの影響で、2020年3月頃には世界中の株式市場は大混乱に陥り、株価が暴落しました。しかし、各国の金融政策や財政投入により株式市場は回復し、2021年2月に日本では日経平均株価が約30年ぶりの3万円台を回復、米国では主要株価指数が史上高値を更新しています。

4-2.テクニカル分析を用いる方法

テクニカル分析は短期売買をされている方がよく用いる方法です。これらを用いることで投資のタイミングを計ることができます。

テクニカル分析には、一目均衡表、GANNチャート、ボリンジャーバンド、移動平均法、パラボリック、エリオットウェーブ、フィボナッチ、マーケットプロファイルなど様々な方法があります。過去のデータを分析することで、将来の売り買いのポイントを推測することができます。相場の水準を判断するには便利なツールです。

4-3.予想PERを基準に投資する方法

投資のタイミング(株価)を予想PERから求める方法もあります。予想PERを固定することで、目標株価の算出ができます。予想EPSが120円、予想PERを10倍と設定した場合、目標株価は1,200円(120円×10倍)です。なお、予想PERの何倍が割安かについては、各銘柄の過去の推移を確認する必要があります。

5.割安銘柄の探し方と銘柄の実例

銘柄探しには、証券会社が提供している銘柄スクリーニング機能を利用すると便利です。

例として、SBI証券のスクリーニングを使い、割安銘柄を検索しました。検索条件は、予想PERが12倍以下、予想配当利回り3.5%以上、予想売上成長率5%、過去5年平均営業利益成長率5%、時価総額500億円以上としました(※投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します)。

この結果、アサヒホールディングス(5857)、タムロン(7740)、レイズネクスト(6379)などが検索されました(2021年2月22日時点)。

割安株に代表される商社株については、今回は株価が反騰し予想PERが上昇したため、検索結果に反映されませんでした。予想PERは、三菱商事(8058)が22.02倍、三井物産(8031)が13.8倍です。
 
このほか、投資信託のバリュー型ファンドが投資している銘柄の中から探す方法もあります。ファンドは保有銘柄を開示しているため、ファンドがどんな銘柄に投資しているのかを知ることは銘柄選びの参考となります。

まとめ

株式投資初心者には割安株の長期保有が適しています。目先の株価変動に一喜一憂せず、じっくり時間をかけて企業に投資することで、長期的に大きな資産を構築することができるからです。

市場が大きく崩れる場面が良い投資タイミングですが、クラッシュ(暴落)はなかなか起きないため、テクニカル分析や予想PERや配当利回りを活用してタイミングを計りましょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。