株式累積投資(るいとう)は、株式などの金融商品に少額から投資できる方法・サービスです。ある銘柄を毎月一定額で購入し続けるため、長期的に毎月コツコツと資産を積み立てたい方や、銘柄の購入タイミングを見極めるのが苦手な方に向いています。
今回は、株式累積投資ができる証券会社、必要な手数料、最低投資額について紹介します。あわせて、メリットやデメリットについても解説するので、株式累積投資を考えている方は参考にしてください。
※2021年10月末時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
- 株式累積投資とは
- 株式累積投資のメリット
2-1.少額投資ができる
2-2.投資金額を考えなくてよい
2-3.投資リスクを軽減できる
2-4.複数の銘柄を購入して分散投資ができる
2-5.株式以外も積み立てられる - 株式累積投資のデメリット
3-1.株式累積投資ができる証券会社が少ない
3-2.手数料が割高になりやすい
3-3.投資対象が限定されてしまう
3-4.株主優待や議決権はすぐに受けられない - 株式累積投資ができる証券会社
4-1.手数料の比較
4-2.最低投資額の比較 - まとめ
1.株式累積投資とは
株式累積投資とは、毎月定額で株式を購入する投資方法・サービスのことをいいます。通称「るいとう」と呼ばれているほか、証券会社によっては「株式積立」というサービス名になっているなど、さまざまな呼び方があります。
株式累積投資では、証券会社が選んだ銘柄から好きなものを選び、その銘柄を毎月一定の金額で購入しながら積み立てていきます。
毎月10,000円程度の少額から投資できるほか、投資金額を1,000円単位で増額できます。また、株式累積投資の上限を月100万円までに制限している証券会社もあります。
通常1単元で購入する株式を、投資金額分で分割して購入していると考えるとイメージが湧きやすいでしょう。
2.株式累積投資のメリット
株式累積投資には、下記のメリットがあります。
- 少額投資ができる
- 投資金額を考えなくてよい
- 投資リスクを軽減できる
- 複数の銘柄を購入して分散投資ができる
- 株式以外も積み立てられる
2-1.少額投資ができる
株式累積投資は、毎月1万円程度の資金で始められる投資方法です。
株式投資に対しては、ある程度まとまった資金が必要と思っている方もいるでしょう。しかし、株式累積投資に対応する証券会社のほとんどで、最低投資額を10,000円以上1,000円単位で投資金額を設定できるようになっています。
余裕資金から比較的気軽に投資ができるというのは、株式累積投資の大きなメリットといえます。
2-2.投資金額を考えなくてよい
株式累積投資では、毎月一定金額で同じ銘柄を積立購入していきます。購入したい銘柄を選択し、毎月の買付金額と買付日を決めてしまえば、後は自動的に口座から資金が引き落とされて、銘柄が購入されます。
一般的な株式投資では、株式購入のタイミングや投資金額を考える必要があります。しかし、株式累積投資では毎回株価を追いかけたり、購入金額を考えたりする必要はありません。
考えることが1つ減るぶん、投資家の手間や負担も減ることになります。
2-3.投資リスクを軽減できる
株式累積投資のように、価格が変動する金融商品を毎月一定金額で購入し続ける投資手法を「ドルコスト平均法」といいます。
金融商品の価格が高いときは少なく購入し、価格が低いときは多く購入することになるため、投資期間が長くなるほど平均買付単価を抑える(=平準化する)ことができます。これにより、高値で購入してしまう「高値掴み」のリスクを軽減できます。
2-4.複数の銘柄を購入して分散投資ができる
株式累積投資では、複数の銘柄を組み合わせて購入することで分散投資ができます。分散投資とは、複数の銘柄や資産に投資することで、価格変動の影響を抑えられる投資方法です。
証券会社は、株式累積投資ができる銘柄や毎月の購入上限金額は指定していますが、1口座につき数銘柄まで自由に選択できるなど、複数銘柄の購入は禁じていません。複数の銘柄を組み合わせることで、価格変動リスクを軽減でき、投資全体のリスクをさらに抑えることができます。
2-5.株式以外も積み立てられる
株式累積投資では、下記の金融商品を積み立てることができます。
- 上場株式
- ETF(上場投資信託)
- REIT(不動産投資信託)
- 優先出資証券
証券会社によって指定する銘柄は異なりますが、株式以外の金融商品にも投資できます。ETFやREITを株式と組み合わせて投資することで、分散投資の効果をより高められるメリットがあります。
3.株式累積投資のデメリット
一方で、株式累積投資には下記のデメリットがあります。
- 株式累積投資ができる証券会社が少ない
- 手数料が割高になりやすい
- 投資対象が限定されてしまう
- 株主優待や議決権はすぐに受けられない
3-1.株式累積投資ができる証券会社が少ない
株式累積投資のデメリットの1つが、サービスを提供する証券会社が少ないということです。特に、ネット証券で証券での取り扱いはほとんどなく、店舗を構える「店頭証券」を利用することになります。
担当者経由での対面注文や、コールセンター経由のコール注文にしか対応していない証券会社もあるため、ネット証券しか利用したことがない方には不便と感じることもあるでしょう。
3-2.手数料が割高になりやすい
株式累積投資では、手数料がネット証券に比べて高めの店頭証券を利用するケースがほとんどです。詳しくは後述しますが、約定代金に対して一律1.3%程度の委託手数料が発生するケースや、銘柄1単元当たりの売買手数料に対して、実際に売買した株数の割合で委託手数料を算出(比例按分)するケースがあります。
株式累積投資に関しては、手数料を低く設定する証券会社が多いものの、毎月の購入金額によっては、手数料は割高になりやすいといえます。また、証券会社によっては「株式累積投資口座管理料(事務手数料)」を毎年支払うケースもあります。
株式累積投資は積立による長期投資に向いている投資方法です。ただし、投資期間が長くなるほど、手数料コストについてはよく検討する必要があります。証券会社によって手数料は異なりますので、事前に確認しましょう。
3-3.投資対象が限定されてしまう
株式累積投資で投資できる銘柄は、証券会社が指定した銘柄のなかから選ぶことになります。そのため、一般的な株式取引のように、すべての銘柄を自由に購入できるわけではありません。
株式累積投資の対象銘柄は、証券会社によって種類や銘柄数が異なるため、手数料と合わせて事前に確認しておきましょう。
3-4.株主優待や議決権はすぐに受けられない
株式累積投資は、ある銘柄を毎月一定の金額で購入する投資方法です。銘柄の単元数や価格、毎月の購入額によって異なりますが、数回購入した程度では単元数に達しないこともあります。
株式については、投資家の保有株数が単元株数(100株)に達するまでは、株式の名義は証券会社となり、原則として株主優待を受けることはできません。
ただし、毎月積立を続けて保有株数が単元株数に達したあとは、株式の名義が投資家に変更されて「正式な株主」となるため、株主優待を受けたり、議決権を行使したりできるようになります。
株式累積投資は、少額から投資ができる方法ではありますが、一般的な株式取引のように株主優待などの権利を得られるまでには時間が掛かる場合もあるということを理解しておきましょう。
4.株式累積投資ができる証券会社
株式累積投資ができる主な証券会社は下記の通りです。
- SMBC日興証券
- 野村證券
- 大和証券
- 三菱モルガン・スタンレー証券
- 岡三証券
- 東海東京証券 など
各証券会社の手数料や最低投資額の比較は下記の通りです(2021年10月31日時点、全て税込表記)。
証券会社 | 手数料 | 最低投資額 |
---|---|---|
SMBC日興証券 | 1単元の約定に掛かる手数料額を売買株数で比例按分した金額 (約定代金100万円以下では約定代金の1.265%) |
1銘柄10,000円以上1,000円単位 (上限:100万円未満) |
野村證券 | 1注文の約定代金につき一律1.21% | 10,000円以上1,000円単位 |
大和証券 | 約定代金の1.26500% (約定代金100万円まで) ※株式累積投資口座管理料(事務手数料)年間3,300円が別途必要 |
10,000円以上1,000円単位かつ月間100万円に満たない範囲 |
三菱モルガン・スタンレー証券 | 1単元の約定に掛かる手数料額を売買株数で比例按分した金額 (約定代金50万円までは約定代金の1.43%) |
毎月1銘柄につき10,000円以上1,000円単位 (上限:100万円未満) |
岡三証券 | 約定代金の1.26500% | 1銘柄10,000円以上1,000円単位 |
東海東京証券 | 1単元の約定に掛かる手数料額を売買株数で比例按分した金額 (約定代金の1.2650%、ただし、最低手数料は2,750円) |
1銘柄につき10,000円以上1,000円単位 |
※大和証券の株式累積投資口座管理料は、発生月前月末の預かり資産が1,000万円以上の場合は無料
4-1.手数料の比較
手数料は「約定代金につき一律」「1単元の約定に掛かる手数料額を売買株数で比例按分した金額」のいずれかとなっています(比例按分とは、銘柄の単元株数に対して株式累積投資で実際に購入した株数の割合から手数料を算出するということです)。
一律の手数料が最も低いのは1.21%の野村證券です。
東海東京証券では、売買株数で比例按分された手数料となるものの、最低手数料が2,750円に設定されているため、割高になる可能性が高いといえます。
また、大和証券では株式累積投資を行う口座の管理料として、年間3,300円の事務手数料が発生します。
4-2.最低投資額の比較
最低投資額はどの証券会社も「1銘柄につき10,000円以上」「1,000円単位」となっており、違いはありません。
ただし、大和証券や三菱モルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券では、株式累積投資での購入上限を100万円未満に設定しています。
まとめ
今回は株式累積投資ができる証券会社や手数料、最低投資額を紹介しました。
株式累積投資では、少額から株式などに投資できるほか、投資に掛かるリスクを軽減できるなどのメリットがあります。一方で、店頭証券での取引がメインとなり、手数料が割高になるケースが多いため、ネット証券での取引に慣れている方にとっては手間に感じることもあるでしょう。
株式累積投資に関心のある方は、本記事も参考に証券会社を比較検討してみてください。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
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山本 将弘
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