EV化で注目の全固体電池関連銘柄、時価総額上位10本を徹底分析【2021年8月】

EV(電気自動車)の車載用電池として全固体電池が注目されています。この記事では、主な全固体電池関連銘柄を時価総額順に解説していきます。成長市場への投資を検討している方など、銘柄選びのご参考にしてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 全固体電池が注目されている理由
  2. 全固体電池関連銘柄10選
    2-1.1位 トヨタ自動車(7203)
    2-2.2位 村田製作所(6981)
    2-3.3位 TDK(6762)
    2-4.4位 出光興産(5019)
    2-5.5位 三井金属(5706)
    2-6.6位 日立造船(7004)
    2-7.7位 三桜工業(6584)
    2-8.8位 FDK(6955)
    2-9.9位 ニッポン高度紙工業(3891)
    2-10.10位 オハラ(5218)
  3. まとめ

1.全固体電池が注目されている理由

世界的に「脱炭素」への取り組みが加速しています。日本でも菅総理が「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しています。日本では年間12億トンを超える二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出しており、2050年までに実質ゼロにする必要があるのです。

そして、排ガス規制などを背景にガソリン車からEV(電気自動車)をはじめとした電動車へのシフトが進んでいます。車載用電池としてはリチウムイオン電池が主流ですが、発火リスクがあります。そこで、リチウムイオン電池に代わる次世代電池として期待されているのが全固体電池なのです。

全固体電池には、以下の3つのメリットがあります。

  1. エネルギー密度が大きいので、電気を多く貯めることが可能
  2. 冷却機構が不要で、小型化が可能
  3. 耐久性が高いので安全性が向上する

そして、株式市場では急進するEV市場を支える全固体電池の関連銘柄が注目されています。

2.全固体電池関連銘柄10選

主な全固体電池関連10銘柄を紹介します(数値は2021年7月30日時点)。

2-1.トヨタ自動車(7203)

  • 時価総額 321,307億円

全固体電池の開発で先行するのは、1,000以上の特許を持つトヨタ自動車。同社が開発する全固体電池の性能は、既存電池と同じサイズでも航続距離は2倍超に増える計算です。トヨタ自動車は常温全固体型膜層リチウムイオン電池の試作に成功しており、2022年にも全固体電池を搭載した電気自動車を販売する予定です。

2-2.村田製作所(6981)

  • 時価総額 61,391億円

村田製作所は、ソニーグループから電池事業を買収して全固体電池に参入。MLCC(積層セラミックコンデンサ)の技術を活かした全固体電池を開発しました。村田製作所の全固体電池は、電解質に「酸化物」を用います。

EVで主流の「硫化物」に比べて高出力・大容量には向きませんが、電子部品と同じように基板上に配置できるので、バッテリーを置く空間を狭くしてデジタル機器そのものを小型化できるのです。

2-3.TDK(6762)

  • 時価総額 16,173億円

村田製作所のライバルのTDKは、すでにセラミック技術を使った超小型の全固体電池を量産しており、調理用温度計などに出荷しています。固体電池技術が民生機器で発展すると、スマートグラスやイヤホン、体に埋め込む端末など、より体に近い部位にもウェアラブル機器を安全に使えるようになります。

2-4.出光興産(5019)

  • 時価総額 7,688億円

全固体電池の製造には固体電解質が欠かせませんが、出光興産は独自の製造技術を持つ硫化リチウムを使った固定電解質を開発しています。LIBTEC(技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター)を通じ、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)が推進するEV用全固体電池の基盤技術確立を目的としたプロジェクトにも参加しています。

2-5.三井金属(5706)

  • 時価総額 1,785億円

三井金属は硫化物系固体電解質を開発しています。全固体電池については、電解質だけでなく、負極材・正極材も開発し、すべての部品を供給することを目標としています。重点を置くのは自動車向けですが、風力発電や太陽光発電など過酷な環境でも設置できる電池としても実用化する方向です。また、負極材については黒鉛の代わりにシリコンを材料とした開発も進めています。

2-6.日立造船(7004)

  • 時価総額 1,352億円

日立造船は、「スマートエネルギーweek2021」の国際二次電池展(バッテリージャパン)で、全固体リチウムイオン電池「AS-LiB」を公開しました。従来品に比べて容量が約7倍増加しており、宇宙用途などを考え作品・制作・生産をはじめています。JAXA(宇宙航空研究開発機構)と、2月に宇宙での全固体リチウムイオン電池の実用化に向けた共同研究契約を結んでおり、ISS(国際宇宙ステーション)に設置される予定です。

2-7.三桜工業(6584)

  • 時価総額 462億円

三桜工業は集合配管や自動車用の各種ツールを製造しており、国内シェアの約4割を占めます。米ソリッドパワーに2018年に出資しており、全固体電池を開発しています。そして、試作品の段階からEV向けの実用化の段階に入っているのです。ソリッドパワーはフォードとも提携しており、ロール ・ツー・ロール(電子デバイスを効率よく量産する手法)で生産できる全固体電池も開発しています。

2-8.FDK(6955)

  • 時価総額 435億円

FDKは、SMD対応小型全固体電池「SOliCell」の生産を開始。これまでの電池に使用している電解液を固体に置き換えた安心・安全な二次電池で、ウエアラブル機器やIoT機器、半導体関連製品などに利用できる小型電池です。2020年度に30万個規模の生産体制を整備し、2022年度には月200万個規模とする計画となっており、体制の拡充を進めています。

2-9.ニッポン高度紙工業(3891)

  • 時価総額 380億円

ニッポン高度紙工業はサムスン日本研究所と共同で、全固体二次電池と固体電解質シートに関する特許を出願しており、株式市場でも全固体電池関連銘柄として人気があります。

2-10.オハラ(5218)

  • 時価総額 344億円

オハラは、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを利用した全固体電池の試作品を、-30度の低温下で動かすことに成功しており、株式市場で全固体電池関連銘柄として人気があります。

「全固体電池における実用レベルの実現を目指すと共に、液系リチウムイオン電池の特性向上につながる添加剤としての拡販を進めていく」と、2020年10月期の決算説明会で発表しています。

まとめ

リチウムイオン電池に代わる次世代電池として全固体電池への関心が高まっています。今後も関連銘柄には株式市場の注目が集まると考えられるので、関連銘柄の動きを確認してみると良いでしょう。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011