人気のテーマ型投資信託10本、手数料や成績を比較【2022年7月】

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テーマ型投資信託はトレンドや社会課題などに注目して、テーマを軸とした運用スタイルで成果を目指すファンドです。運用方針の理解がしやすい点に強みがあります。

当記事では、数あるテーマ型投資信託の中から、テーマをカテゴリごとに分けて人気のファンドを紹介します。投資信託のファンドを選ぶ時に、どんな基準で選べばいいのか分からない、と考えている人は、内容をご確認の上、理想のファンドを見つけてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. テーマごと合計10本の人気ファンドを紹介
    1-1.旅行
    1-2.AI
    1-3.ヘルスケア
    1-4.自動運転
    1-5.サイバーセキュリティ
  2. ファンドごとの概要
    2-1.旅行:世界ツーリズム株式ファンド
    2-2.AI:三井住友DS-グローバルAIファンド
    2-3.ヘルスケア:JPMグローバル医療関連株式ファンド
    2-4.自動運転:eMAXIS Neo 自動運転
    2-5.サイバーセキュリティ:サイバーセキュリティ株式オープン
  3. テーマ型投資信託とは?トレンドを抑えた運用に強み
    3-1.一つのテーマで運用されるファンド
    3-2.運用方針のわかりやすさがメリット
  4. テーマ型投資信託を運用する際の注意点
    4-1.運用コストに注意
    4-2.販売しやすさが優先されていないか
    4-3.トレンドの旬を判断する必要がある
  5. まとめ

1.各テーマごと合計10本の人気ファンドを紹介

テーマごとのファンドを販売金額や純資産の観点から、10本ピックアップしました。気になるテーマから、ファンド選びの参考にしてみてください。

※各数値の情報は2022年7月8日時点のものです。SBI証券が扱うファンドよりピックアップしています。

1-1.旅行

ファンド名 基準価額 純資産(百万円) トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.キャピタル-世界ツーリズム株式ファンド 8,068円 10,997 −10.22% −5.69% −0.52 1.936%
2.三井住友DS-YOURMIRAI ワールド・リゾート 8,139円 1,226 −10.89% −1.59% −0.83 1.705%

旅行業界は近年のコロナ禍によって業績は低迷しており、各ファンドの直近のトータルリターンはマイナスです。しかし経済活動が通常に近づけば、以前のような活況を取り戻すでしょう。

1-2.AI

ファンド名 基準価額 純資産(百万円) トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.三井住友DS-グローバルAIファンド 29,453円 332,053 -27.65% 21.80% -0.98 1.925%
2.ニッセイ-ニッセイAI関連株式ファンド(為替ヘッジなし) 22,989円 50,760 -18.62% 15.01% -0.71 1.8925%
程度

AIの分野では、以前からファンドを運営している三井住友DS-グローバルAIファンドが多くの資産を集めています。AIをテーマとしてファンドを運用している会社は、三井住友アセットマネジメントとニッセイアセットマネジメント。注目業界なので、動向は抑えておきたいところです。

1-3.ヘルスケア

ファンド名 基準価額 純資産(百万円) トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.JPM-JPMグローバル医療関連株式ファンド 10,776円 73,425 12.49% 19.32% 0.55 1.85%
程度
2.東京海上-東京海上・グローバルヘルスケアREITオープン(年1回決算型) 14,342円 19,235 8.06% 5.98% 0.41 1.749%

ヘルスケア分野では、ヘルスケア関連のREITファンドも運営されています。今後のヘルスケア業界の展望を見据えて、関連するREITへの投資を行います。ヘルスケア業界へ投資する場合、関連事業のREITを押さえておく運用も有効です。

1-4.自動運転

ファンド名 基準価額 純資産(百万円) トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.三菱UFJ国際-eMAXIS Neo 自動運転 26,182円 15,872 -30.00% 32.18% -1.01 0.792%
以内
2.三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし) 16,653円 73,032 -4.97% 21.71% -0.23 1.903%
程度
3.岡三-次世代モビリティオープン(為替ヘッジなし) 15,601円 14,898 -11.02% 19.86% -0.41 1.804%

eMAXIS Neo 自動運転は、アクティブファンドが多いテーマ型投資信託の中では珍しくインデックスファンドです。テーマを設けた指数へ連動する運用成果を目指します。アクティブファンドの運用コストが気になる人は、eMAXISのテーマ型インデックスファンドを選ぶと良いでしょう。

1-5.サイバーセキュリティ

ファンド名 基準価額 純資産(百万円) トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年 信託報酬
1.三菱UFJ国際-サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジなし) 24,892円 329,617 -12.57% 17.45% -1.01 1.87%

サイバーセキュリティ分野では、サイバー攻撃に対応してインターネットセキュリティを確保するサービスを提供します。今後、注目の分野ですが、現状テーマ型投資信託のファンド本数は少なめです。

2.テーマファンドごとの概要

各テーマから特徴のあるファンドを5本ピックアップし、概要を紹介します。

2-1.旅行:世界ツーリズム株式ファンド

世界ツーリズム株式ファンドは世界各地の取引所に上場している旅行関連株に投資するファンドです。旅行の行程となる、準備、出発、空路、陸路など旅行の出発から帰宅までに関連する銘柄を抽出します。

組入上位3業種は以下のとおりです。

  1. ホテル・リゾート・クルーズ船 36.5%
  2. 旅客航空輸送業 11.5%
  3. 空港サービス 9.9%

組入44銘柄数のうち上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄 業種/国 比率
1.デュフリー 専門店/スイス 7.20%
2.メリア・ホテル・インターナショナル ホテル・リゾート・クルーズ船/スペイン 7.10%
3.ブッキング・ホールディングス インターネット販売/アメリカ 6.90%
4.カーニバル ホテル・リゾート/アメリカ 5.20%
5.アコー ホテル・リゾート/フランス 5.40%

旅行関連銘柄はコロナ禍の影響から脱却しつつあり、基準価額も少しづつ以前の水準に戻りつつありました。しかし、昨今のエネルギー資源高騰による消費の影響や中国の景気後退の警戒感などから、上値は重く警戒感のある値動きが続くと見られています。

旅行分野は景気に左右されやすい分野なので、投資を検討する時は注意が必要です。

2-2.AI:三井住友DS-グローバルAIファンド

三井住友DS-グローバルAIファンドは、世界の上場株式からAIの進化によって、高い成長が期待できる銘柄へ投資するファンドです。主な対象銘柄は、AIの開発、ソフトウェアやアプリケーションの提供などを行う企業です。

2022年5月31日時点の月次レポートによると、組入国の比率はアメリカ86.8%、中国3.7%、カナダ2.1%と続きます。組入上位5業種は以下のとおりです。

  1. 情報技術 56.2%
  2. コミュニケーション・サービス 14.3%
  3. 一般消費財・サービス 11.5%
  4. ヘルスケア 6.1%
  5. 資本財・サービス 5.8%

全65銘柄中、組入上位5銘柄は以下のとおりです。

銘柄 業種/国 比率
1.テスラ 一般消費財・サービス/アメリカ 6.30%
2.ブロードコム 情報技術/アメリカ 4.50%
3.オン・セミコンダクター 情報技術/アメリカ 4.40%
4.ズームインフォ・テクノロジーズ コミュニケーション・サービス/アメリカ 4.10%
5.マーベル・テクノロジーズ 情報技術/アメリカ 4.00%

アメリカの銘柄が目立ちますが、インデックスファンドに見られる大型株とは異なり、AIに関連する銘柄でまとめられています。

景気の変動に影響を受けやすい面もありますが、AIは長期的な成長分野です。信託報酬の高さが気になりますが、テクノロジー分野への投資を考えている人にとっては、よい選択肢となるでしょう。

2-3.ヘルスケア:JPMグローバル医療関連株式ファンド

JPMグローバル医療関連株式ファンドは、世界の医療関連企業の株式へ投資するファンドです。医療関連銘柄の選定は、運用担当者の判断によって行われます。

2022年5月31日時点の月次レポートによると、国別の構成比率は米国79.1%、スイス6.5%、イギリス5.8%となっています。

業種別の構成比率は以下のとおりです。

  1. 医薬品 33.6%
  2. バイオテクノロジー 24.6%
  3. 医療機器・器具 22.1%
  4. 医療・健康サービス 19.8%

組入上位5銘柄を以下の表にまとめました。

銘柄 業種/国 比率
1.ユナイテッドヘルスグループ 医療・健康サービス/アメリカ 9.10%
2.ロシュ・ホールディング 医薬品/スイス 4.70%
3.サーモフィッシャーサイエンティフィック 医療機器。器具/アメリカ 4.60%
4.イーライリリー 医薬品/アメリカ 4.20%
5.アッヴィ バイオテクノロジー/アメリカ 4.20%

医療業界は、先進国が軒並み高齢化社会を迎えている背景から需要の高まりが期待され、注目度が高い分野です。短期視点では世界情勢や景気などの影響が懸念されますが、中長期的には、継続的な医療サービスの需要から投資妙味があると見られています。

長期の資産形成を検討する時は、医療分野の動向も確認しておきたいところです。

2-4.自動運転:eMAXIS Neo 自動運転

eMAXIS Neo 自動運転は、テクノロジーのインデックスファンドを展開するeMAXIS Neoシリーズの自動運転版です。ベンチマークは、S&P Kensho Autonomous Vehiclesに設定し、連動する運用成績を目指します。

組入上位の地域は、米国67%、ケイマン諸島15.1%、オランダ7.3%、イスラエル3.3%となっています。

組入上位5業種は以下のとおりです。

  1. 自動車・自動車部品 43.2%
  2. 半導体・半導体製造装置 25.2%
  3. テクノロジー・ハードウェア・機器 16.4%
  4. ソフトウェア・サービス 5.6%
  5. 運輸 2.7%

全37銘柄中、組入上位5銘柄を以下の表にまとめました。

銘柄 業種/国 比率
1.FARADAY FUTURE 自動車・自動車部品/アメリカ 4.40%
2.AMBARELLA 半導体・半導体製造装置/ケイマン諸島 3.60%
3. INDIE SEMICONDUCTOR 半導体・半導体製造装置/アメリカ 3.50%
4.NIO 自動車・自動車部品/ケイマン諸島 3.50%
5.INNOVIZ TECHNOLOGIES テクノロジ・ハードウェア・機器/イスラエル 3.30%

※AMBARELLAの資本はアメリカ、NIOの資本は中国です。

eMAXIS Neo 自動運転の強みは、インデックスファンドのシンプルさと、テーマ設定されたわかりやすい運用方針です。長期運用を目指す人には運用コストの低さも見逃せないポイントです。ベンチマーク指数の銘柄選定は、AIを活用した開示情報の分析によります。

テック系の動向が気になる人は、eMAXIS Neoシリーズを一通り確認してみるのもいいでしょう。

2-5.サイバーセキュリティ:サイバーセキュリティ株式オープン

サイバーセキュリティ株式オープンは、サイバーセキュリティに関連する企業の中から、財務が健全で持続的な成長が見込まれる銘柄へ投資します。サイバーセキュリティとは、サイバー攻撃に対抗できるセキュリティ技術のことを指します。

組入上位の地域は、アメリカ84.8%、韓国6.6%、イギリス2.4%です。

組入上位の5業種は以下のとおりです。

  1. ソフトウェア・サービス 63%
  2. 半導体・半導体製造装置 14.4%
  3. テクノロジ・ハードウェア・機器 12.9%
  4. メディア・娯楽 4%
  5. 不動産 1%

全45銘柄中、組入上位5銘柄を以下の表にまとめました。

銘柄 業種/国 比率
1.マイクロソフト ソフトウェア・サービス/アメリカ 7.80%
2.バロアルトネットワークス ソフトウェア・サービス/アメリカ 5.70%
3. クラウドストライク・ホールディングス ソフトウェア・サービス/アメリカ 5.40%
4.フォーティネット ソフトウェア・サービス/アメリカ 4.80%
5.ノートンライフロック ソフトウェア・サービス/アメリカ 3.30%

サイバーセキュリティと聞くと、組入銘柄5位のノートンのようなセキュリティソフトをイメージしますが、実際にはマイクロソフトやGoogle、Appleも専門的に取り組んでいる分野です。今後、インターネットのインフラが整備、拡充されるとともに、サイバーセキュリティ分野もより重要な技術として、需要が高まると見られています。

3.テーマ型投資信託とは?トレンドを抑えた運用に強み

テーマ型投資信託は、一つのテーマを軸に運用スタイルを定め、成果を目指すファンドです。具体的な特徴を以下に紹介します。

3-1.一つのテーマで運用されるファンド

テーマ型投資信託は、運用方針に沿った銘柄を選択し運用します。ほとんどのテーマ型投資信託の対象資産は株式です。また、多くのファンドでアクティブ運用を採用しています。運用のわかりやすさと積極的に収益を狙う運用スタイルがテーマ型投資信託のアピールポイントです。

一方で、特定の指数に連動するインデックスファンドのテーマ型投資信託も存在します。ベンチマークとする指数がすでにテーマ性をもっているため、インデックスファンドでもテーマ型投資信託を運用できるしくみです。

三菱UFJ国際投信が提供するeMAXIS Neoシリーズがインデックスタイプのテーマ型投資信託に該当します。

3-2.運用方針のわかりやすさがメリット

テーマ型投資信託は、投資経験が少ない人でも商品内容を理解しやすいため。納得のうえで購入できます。目論見書や販売用資料には、テーマに対する考え方や運用方針が事細かく紹介されています。一通り目を通せば、おおまかな運用方針を理解できるでしょう。

基準価額の変動要因を理解できるのは損切りを考える上で大きなメリットです。

4.テーマ型投資信託を運用する際の注意点

テーマ型投資信託の購入に当たって注意すべき点は、運用コスト、テーマとトレンドのズレです。以下、3つのポイントにて詳細を解説します。

4-1.運用コストに注意

前述のとおり、テーマ型投資信託はアクティブファンドとして運用されるケースが多くあります。アクティブファンドは、ベンチマークとする指数を上回る成果を目指すファンドです。したがって、保有資産の売買手数料やヘッジコストなどによって信託報酬が高く設定されています。

いくら収益をあげても信託報酬が高いと、収益が伸び悩んでしまいます。テーマ型投資信託の購入を検討するときは、運用コストをしっかり確認しておきましょう。

4-2.販売しやすさが優先されていないか

テーマ型投資信託は投資家へピンポイントな訴求ができるため、販売しやすいメリットがあります。最近ニュースなどでよく耳にするAIやDX、5Gなどをテーマに設定すると、平凡なファンドよりも投資家の目を引くことができるでしょう。

しかし、わかりやすさと運用成果は別に考える必要があります。わかりやすさ優先でファンドを選ぶと、内容は通常の大型株ファンドなのに運用コストが高すぎる、というケースも。テーマと合わせて運用スタイルにも注目しましょう。

4-3.トレンドの旬を判断する必要がある

テーマ型投資信託は、トレンドを意識して設定されることが多い為、一定期間をすぎると市場のトレンドとファンドのテーマにズレが生じてしまうことがあります。

最近ではAIやDXなどテクノロジー関連のテーマ型投資信託が関心を集めています。大きなカテゴリーのテーマは、長期間継続できるでしょう。しかし、テクノロジー分野のAIやDXなど細分化されたテーマは、技術の発展によりトレンドからズレてしまう可能性があります。

ピンポイントなテーマほど、トレンドとのズレが生じやすいため、ある程度の期間で見直しを検討しましょう。

まとめ

テーマ型投資信託は、一つのテーマに絞って運用方針や銘柄選択を決定するファンドです。運用方針がわかりやすいため、投資家にとっては判断がしやすく、販売側は売りやすいメリットがあります。一方で、思いのほか収益が出にくいケースもあります。

テーマ型投資信託を購入するときの注意点は、運用コストと、テーマとトレンドの整合性です。購入を検討するときは、信託報酬と、テーマに普遍性があるか、という点を確認しておきましょう。テーマだけに目を奪われると、購入後の運用に苦戦する可能性があります。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。