PayPay(ペイペイ)証券は2021年に誕生した、1,000円から株式の金額買付ができる証券会社です。1株未満の金額買付でも配当金が支払われるため、やり方次第で少額でも毎月分配金の受け取りが可能です。この記事では、PayPay証券で配当金を受け取る運用方法について解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2022年6月17日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- PayPay証券の特色
1-1.日本株・米国株の取引の概要
1-2.PayPay証券のメリット
1-3.PayPay証券のデメリット - PayPay証券で配当金を受け取る方法
2-1.毎月配当金を受け取るには?
2-2.つみたてロボ貯蓄を活用 - PayPay証券の銘柄の選び方
3-1.セクターの分散を意識する
3-2.高配当重視の場合
3-3.リスク分散重視の場合 - PayPay証券で株式をお得に買う方法
4-1.なるべく手数料の安い時間帯に取引する
4-2.キャンペーンを利用する - まとめ
1.PayPay証券の特色
PayPay証券は前身の「One Tap Buy」のときからスマートフォンでの株取引に特化した、初心者向けの証券会社です。取扱商品は、ほぼ日本と米国の株式・ETFに絞られます。
1-1.日本株・米国株の取引の概要
日本株・米国株の取引の概要は以下のとおりです。
項目 | 日本株 | 米国株 |
---|---|---|
取扱銘柄数(2022年6月16日現在) | 株式:165本 ETF:4本 REIT:4本 |
株式:149本 ETF:27本 |
売買単位 | 1,000円以上1,000円単位 | 1,000円以上1,000円単位 |
取引時間 | 東京証券取引所開場日の 9時00分10秒~14時59分00秒 | 24時間 |
売買手数料 | 東京証券取引所の立会時間内:「基準価格」の0.5% 11時30分~12時30分:「基準価格」の1.0% |
現地時間9:30~16:00:「基準価格」の0.5% 上記以外の時間帯:「基準価格」の0.7% 1米ドルあたり35銭の為替手数料 |
PayPay証券の売買の株価には、スプレッドという形で上記の売買手数料が上乗せされています。株の売却時には、かかった手数料込みの金額以上で売れないと利益が出ません。そのためPayPay証券なら、いくら以上で売ればよいかが一目瞭然というわけです。
1-2.PayPay証券のメリット
PayPay証券の株取引には、以下のようなメリットがあります。
保有株数に応じて配当が受け取れる
PayPay証券で買付けた株式は、日本株でも外国株でも保有株数に応じた配当が受け取れます。
証券会社によっては単元未満株では配当が受け取れない場合もあります。しかし、PayPay証券では株数が1株に満たなくても配当が受け取れるのです。ただし、株主優待は1単元以上を保有していないと受け取れません。
使いやすいスマホアプリで簡単に株が買える
PayPay証券はスマホユーザー向けに使いやすい取引アプリが提供されています。以下の3つのステップで株の買付が完結します。
- 買いたい銘柄を選ぶ
- 金額を指定する
- 「買う」をタップする
米国株の買付が簡単にできる
PayPay証券では日本株と米国株の買付手順に違いがなく、米国株が手軽に買えます。一般的な証券会社で米国株を買う場合、外国株式の口座を開設し、日本円から米ドルへの両替が必要です。PayPay証券なら米国株も日本円の金額指定で購入でき、両替も自動的に行われます。
金額単位で株が買える
PayPay証券の株の買付は、1,000円以上1,000円単位です。証券会社によっては1株からの買付ができますが、金額買付は株数単位の買付より有利な場合があります。
株式の銘柄には1株が数万円以上の「値がさ株」があり、複数銘柄を買うには多くの資金が必要です。PayPay証券なら値がさ株でも1,000円からの金額買付ができるので、手元資金の少ない人でも株式の分散投資が可能なのです。
1-3.PayPay証券のデメリット
PayPay証券で株取引をする場合のデメリットも見ておきましょう。
取扱銘柄が限られている
PayPay証券で買える株式の銘柄は、上場している一部の銘柄に限られます。東証の全銘柄を取り扱ったり、数千銘柄の米国株式が買えたりする証券会社もあります。そうした証券会社と比較すると、PayPay証券の銘柄の選択肢は少ないと不満に思う人もいるでしょう。
取扱銘柄の少なさは株取引の中上級者にはデメリットです。しかし、ほとんどの銘柄が知名度の高い大企業であるため、初心者にとっては選びやすいラインナップといえます。
指値注文ができない
PayPay証券の株取引は取引所を介さない、証券会社と顧客の「相対取引」です。そのため、取引所取引のような「指値注文」はできず、PayPay証券が提示する「基準価格」での取引となります。
自分の希望する株価で取引したい人には、指値注文ができないPayPay証券は使いにくいかもしれません。
NISAに対応していない
PayPay証券はNISAに対応していないため、配当金や売却益には必ず課税されます。たとえば、株式の売却益と配当金は日本国内で20.315%の税金がかかります。また米国株式・ETFの配当金には国内で課税される前に、現地で税率10%が源泉徴収される点に注意が必要です。
2.PayPay証券で配当金を受け取る方法
PayPay証券では単元未満株でも配当金が受け取れます。また、最低投資額が1,000円からと少額なため、複数銘柄の分散投資がしやすいサービスです。ここではPayPay証券の特色を生かして、少額投資で効率よく配当金を受け取る方法を紹介します。
2-1.毎月配当金を受け取るには?
株式投資の運用益は売却によるキャピタルゲインだけでなく、配当金によるインカムゲインもあります。米国株でも日本株でも配当は受け取れますが、狙い目は米国株です。なぜなら、米国は日本に比べて株主重視の傾向が強く、年4回の配当を実施する企業がたくさんあるからです。
配当金の支払い月も分散されているので、支払い月の異なる銘柄を組み合わせて毎月配当金を受け取ることもできます。
配当金支払い月のグループ分け
米国では四半期ごとの配当金の支払いが一般的なので、以下のような支払い月を3つのグループに分類できます。
- 1月・4月・7月・10月グループ
- 2月・5月・8月・11月グループ
- 3月・6月・9月・12月グループ
これらのグループに属さない、変則的な配当金支払いを行う企業もありますが、この3つのグループから1銘柄ずつ買付ければ、毎月配当金を受け取れる可能性があるというわけです。
配当金を毎月受け取る銘柄の組み合わせ
PayPay証券では、以下のような組み合わせが選択できます。
- 1月・4月・7月・10月グループ:フィリップモリス
- 2月・5月・8月・11月グループ:P&G
- 3月・6月・9月・12月グループ:マクドナルド
このように、日本人の誰もが知っている有名企業の株主になり、毎月配当金が受け取れます。ただし、配当金は必ず支払われるとは限らないことも頭に入れておきましょう。
2-2.つみたてロボ貯蓄を活用
PayPay証券では、米国株の配当金を受け取りながら自動で積み立てられるサービス「つみたてロボ貯蓄」を活用できます。米国株に限られますが、取扱銘柄のすべての積み立て設定が可能です。
つみたてロボ貯蓄も1銘柄1,000円から設定できるので、積み立てる銘柄の配当金支払い月を分散すれば、毎月分配金が受け取れます。また、積み立てで株数が増えていくと、受け取る分配金も増えていきます。
3.PayPay証券の銘柄の選び方
ここではPayPay証券で毎月分配金を受け取るための、米国株式の銘柄選びのポイントを解説します。
3-1.セクターの分散を意識する
米国株式の銘柄選びに明確なルールはありません。複数銘柄に投資する場合、できれば値動きの異なる銘柄同士を組み合わせるのが望ましいといえます。そのためには、異なるセクターの銘柄の組み合わせを心がけるとよいでしょう。
セクターとは株式市場を分析する際に用いる、便宜上のグループ分けのことです。米国株では産業によって以下の11種類のセクターに分類されます。
- 情報技術
- ヘルスケア
- 一般消費財
- 通信サービス
- 金融
- 資本財
- 生活必需品
- 公共事業
- 不動産
- 素材
- エネルギー
3-2.高配当重視の場合
リスク分散よりも配当金を得ることを重視するなら、高配当の銘柄同士を組み合わせるとよいでしょう。高配当銘柄を選ぶには、直近の1株配当を比較するのでなく、配当利回りで比較しましょう。
配当利回りは四半期の配当金を年換算して、その時点の株価で割って求めます。たとえば、直近の配当が1米ドル、株価が100米ドルの銘柄の配当利回りは、以下となります。
1米ドル × 4期 ÷ 100米ドル = 4%
配当金が高くても株価も高ければ、配当利回りは低くなります。ただし、株価が下落しているために配当利回りが高くなるケースもあるため、買付けるなら株価の変動にも注意が必要です。
3-3.リスク分散重視の場合
同じような値動きを避けるには、異なるセクターの銘柄を組み合わせるとよいでしょう。各グループのセクターには以下のような銘柄が含まれています。
1月・4月・7月・10月グループ
銘柄名 | セクター |
---|---|
フィリップモリス | 生活必需品 |
JPモルガン・チェース | 金融 |
ラルフローレン | 一般消費財 |
オラクル | 情報技術 |
ゼネラル・エレクトリック | 資本財 |
2月・5月・8月・11月グループ
銘柄名 | セクター |
---|---|
キャタピラー | 資本財 |
P&G | 生活必需品 |
アメリカン・エキスプレス | 金融 |
スターバックス | 一般消費財 |
アップル | 情報技術 |
3月・6月・9月・12月グループ
銘柄名 | セクター |
---|---|
ゴールドマン・サックスG | 金融 |
IBM | 情報技術 |
スリーエム | 資本財 |
マクドナルド | 一般消費財 |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | ヘルスケア |
4.PayPay証券で株式をお得に買う方法
PayPay証券では口座への入出金に手数料がかかり、取引手数料も安くありません。少しでも多く株を買う方法を紹介します。
4-1.なるべく手数料の安い時間帯に取引する
PayPay証券では株式の売買手数料は、日本株・米国株とも時間帯ごとに設定されています。特に日本株を11時30分から12時30分に注文すると、通常の東京証券取引所の取引時間の手数料0.5%に対し、1.0%と倍になってしまいます。
株式を購入するなら、手数料の安い時間帯に買い付けるとよいでしょう。
4-2.キャンペーンを利用する
PayPay証券ではさまざまなキャンペーンを実施しています。たとえば2022年6月現在、PayPayマネーからPayPay証券への買付時の振替手数料が無料となっています(通常は2万円未満の買付時は振替手数料110円)。
このほかにも抽選で投資資金をプレゼントする期間限定のキャンペーンなどがあります。現在、どのようなキャンペーンがあるかはPayPay証券のサイト上で確認してください。
まとめ
PayPay証券は米国株式も1,000円からの金額買付が可能で、複数銘柄を買って毎月配当金を受け取る投資も気軽にできます。購入できる株式の多くは有名企業なので、初心者の方でも銘柄を選びやすいでしょう。
ただし、配当金は必ず受け取れるわけではなく、株が値下がりする可能性もあります。投資を始めるなら、このようなリスクを理解しておきましょう。
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松田 聡子
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