低リスクな資産運用の方法は?始め方とメリット・デメリット

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資産運用にはリスクがつきものなので、損をしたくなくて敬遠してしまう人もいるでしょう。しかし、すべての資産運用がハイリスクなわけではなく、中には低リスクで堅実な成果を期待できるものもあります。

この記事では運用の初心者やリスク許容度が低い人のために、低リスクの資産運用やリスクを抑える方法について解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2022年9月17日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 資産運用のリスクとは?
    1-1.価格変動リスク
    1-2.金利変動リスク
    1-3.為替変動リスク
    1-4.信用リスク
    1-5.カントリーリスク
    1-6.流動性リスク
  2. 運用のリスクを抑える方法
    2-1.長期投資
    2-2.分散投資
    2-3.時間分散(積立)
  3. 低リスクの資産運用
    3-1.投資信託
    3-2.外貨建てMMF
    3-3.ロボアドバイザー
  4. 証券口座の開設方法
    4-1.口座開設の申込み
    4-2.本人確認書類・マイナンバー確認書類の提出
    4-3.口座開設完了通知が届くと、取引可能
  5. まとめ

1.資産運用のリスクとは?

資産運用にはさまざまなリスクがあり、それぞれどんなものかを知っておく必要があります。リスクの内容がよくわからないと必要以上に不安になって、運用の判断に悪影響を及ぼすからです。

1-1.価格変動リスク

価格変動リスクとは、運用商品の価格の変動によって保有する資産の価値が変動する可能性のことです。値下がりだけでなく、値上がりも価格変動リスクに含まれます。価格変動リスクの「リスク」とは、値動きの振れ幅を意味します。

1-2.金利変動リスク

金利変動リスクは主に債券に関わるリスクで、金利の変動によって資産の価値が変動する可能性のことです。市場で取引する債券は、金利の変動によって価格が変動します。市場金利が上昇すると低い金利の債券は売られやすくなり、債券価格は下がるのです。金利が下がると反対の動きになります。

1-3.為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替レートの変動により外貨建て資産の価値が変動する可能性のことです。たとえば、1米ドル110円のときに100米ドルを買付け、その後1米ドル130円になれば2万円の為替差益を得たことになります。逆に1米ドル100円になると1万円の為替差損が生じるわけです。

為替変動にはさまざまな要因がありますが、特に大きいのは2国間の金利差です。金利の高い国の通貨は買われやすく(高くなる)、金利の低い国の通貨は売られやすくなります(安くなる)。

1-4.信用リスク

信用リスクは、有価証券の発行体(国や企業など)が債務不履行(利払いや元本の返金を約束どおりにできなくなること)に陥る可能性のことです。多くの資産に存在するリスクですが、主に債券において特に重視されます。

一般的に信用リスクの高い発行体による債券は、高金利が設定される傾向にあります。債券は比較的低リスクな運用対象ですが、発行体の信用リスクへの注意は必要です。

1-5.カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資対象国で発生した政治や経済の変化によって、投資した資産の価値が変動する可能性のことです。国の信用リスクのような意味合いとも言えます。

1-6.流動性リスク

流動性リスクとは、運用商品を売却する際に取引量が少ないために希望価格で売りたくても売れない可能性のことです。人気のない銘柄の売却時や市場の取引量が少ない時期には流動性リスクが高くなります。

2.運用のリスクを抑える方法

運用のリスクをゼロにすることはできませんが、軽減するためには主に3つの方法があります。これらを組み合わせるとリスクを抑えた堅実な運用が期待できます。

2-1.長期投資

長期投資とは、文字どおり長期にわたって運用商品を保有する運用方法です。株式のように値動きの大きな運用商品も、長く保有すると値動きの振れ幅が相対的に小さくなります。また、配当の受取額も増えるため、資産の上積みが可能です。

長期投資では運用益を投資元本に再度組み入れることで、複利効果も得られます。複利とは運用益を受け取ってしまわずに再投資することで元本が大きくなり、投資効率が上がる仕組みです。

2-2.分散投資

分散投資は運用対象や投資先の地域を分散させて、価格の振れ幅を抑えて収益を得る方法です。分散の方法には、以下のようなものがあります。

  • 資産の分散:株式と債券など、特徴や値動きの異なる複数の資産を組み合わせること
  • 地域の分散:日本と海外、先進国と新興国のように複数の地域や通貨の運用商品を組み合わせること

2-3.時間分散(積立)

時間分散とは同じ運用商品を同じ金額で定期的に継続して購入する方法で、積立投資ともいいます。積立投資では定期的に一定額を買付けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多くの数量を購入できます。そのため、購入価格が平均化され、長期的にはリスクを抑えて成果が期待できるのです。

積立投資はまとまった資金がなくても取り組むことができ、一度設定をすればつど買付のタイミングを考える必要がありません。

3.低リスクの資産運用

ここからは、ある程度のリターンが狙える中でも、比較的低リスクの資産運用方法を紹介します。

3-1.投資信託

投資信託は株式や債券などに間接的に投資する運用商品です。複数の投資家から集めた資金を運用会社が運用し、成果を還元する仕組みです。投資信託を一つ購入するだけで分散投資になるため、個別の銘柄に投資するより低リスクになります。

投資信託のメリット

投資信託には以下のようなメリットがあります。

  • 少額から購入できる
  • 専門家に運用してもらえる
  • 分散投資によるリスク軽減が期待できる
  • 個々の運用スタイルに合ったファンドで運用できる

投資信託は100円程度の少額からの購入でき、運用も専門家に「お任せ」できます。そのため、初心者に適した運用商品です。投資信託には商品ごとの運用方針があり、さまざまな運用スタイルやニーズに対応できます。初心者から経験者まで幅広い人が利用できる運用商品です。

投資信託のデメリット

  • コストがかかる
  • タイムリーな売買ができない

投資信託には以下のような運用コストがかかります。

購入時手数料 投資信託を購入するときにかかる手数料。同じ商品でも金融機関ごとに異なる。「ノーロード」という手数料が無料の商品もある。
信託報酬 投資信託の運用・管理のための費用。商品ごとに年率0.1~3%など、差が大きい。
信託財産留保額 投資信託を売却するときに発生する手数料。かからない商品のほうが多い。

投資信託の基準価額(株式の株価のようなもの)は組み入れ資産の時価評価をもとに算出されるため、購入価格がわかるのは翌日です。株式のように値動きを見ながら注文する、タイムリーな取引はできません。

投資信託の始め方

投資信託は多くの金融機関で取扱っていますが、SBI証券や楽天証券のような大手ネット証券は商品ラインアップが豊富です。投資信託を始める手順は以下のとおりです。

  1. 口座開設する
  2. 口座に入金する
  3. 投資信託を選ぶ
  4. 投資信託を注文する

初心者が投資信託を選ぶ場合、ランキングや金融機関が提供するツールを活用するとよいでしょう。いくつか候補が見つかったら、以下のような点を確認します。

  • 信託報酬は同じような商品に比べて高くないか
  • 毎月分配型でないか
  • 長期的な運用成績は良好か
  • 純資産額が減っていないか

4-2.外貨建てMMF

外貨建てMMFとは外貨で運用する投資信託の一種で、格付けの高い公社債などで運用されています。元本保証はありませんが、少額から購入可能で、積立にも対応する金融機関もあります。現在、米ドル・南アフリカランド・トルコリラ建てなどのMMFを購入できます。

外貨建てMMFのメリット

外貨建てMMFの主なメリットは以下の3点です。

  • 少額から購入できる
  • 為替差益が狙える
  • 銀行預金より高い利回りが期待できる

外貨建てMMFの最低投資額は金融機関によって異なりますが、多くの場合、1,000円程度から買えます。為替レートを見ながら購入できるので、為替差益も狙えます。また、一般的に銀行預金より利回りは高めです。

たとえば、ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド(米ドル建て)の2022年9月16日現在の直近平均利回りは1.8660%です。利回りは過去の実績であり、将来にわたって保証されませんが、参考にしてください。

外貨建てMMFのデメリット

外貨建てMMFのデメリットは、以下のとおりです。

  • 為替変動リスクがある
  • 元本割れの可能性がある

外貨建てMMFは外貨ベースでの元本割れの可能性は低めですが、為替変動リスクがあります。また、トルコリラなどの高金利通貨は国の信用が低いため、利回りが高くてもリスクも高い点に注意が必要です。

外貨建てMMFの始め方

外貨建てMMFは証券会社と一部の銀行で取扱います。利用しやすいのは、積立ができて円でも外貨でも購入できるSBI証券やマネックス証券です。

外貨建てMMFを始める手順は以下のとおりです。

  1. 口座開設する
  2. 口座に入金する(円または外貨)
  3. 注文する

3-3.ロボアドバイザー

ロボアドバイザーは、運用の提案をしてくれるアドバイス型と、提案から商品の買付などの運用代行までを行う投資一任型があり、代表的な投資一任型には「WealthNavi(ウェルスナビ)」や「THEO+docomo」があります。

ロボアドバイザーは投資家のリスク許容度に合わせた提案をしてくれるので、リスクを取りたくない人は比較的低リスクな投資も可能です。

ロボアドバイザーのメリット

ロボアドバイザーには、次のようなメリットがあります。

  • 少額から投資できる
  • 投資の知識がなくても始められる
  • 手間がかからない
  • 運用コストが低い

ロボアドバイザーの最低投資額はサービスごとに異なりますが、目安としては1万円から始められます。また、買付ける運用商品のコスト以外に運用手数料がかかりますが、証券会社のファンドラップのようなサービスの手数料に比べると低めです。

ロボアドバイザーのデメリット

ロボアドバイザーでの低リスク投資は可能ですが、元本保証ではありません。運用を任せられるといっても、運用のリスクを負うのは投資家自身です。損をする可能性がある点は頭に入れておきましょう。

また、低リスクでも高リスクでも運用手数料の料率は変わらないため、運用パフォーマンスが低いと手数料の占める割合や損失が大きくなる可能性もあります。

ロボアドバイザーの始め方

ここでは、「THEO+docomo」を始める手順を紹介します。

  1. 「無料診断」または「新規お申込み」からお客様情報の入力
  2. 積立設定(任意)
  3. 証券口座開設(SMBC日興証券)
  4. 投資一任契約に関する審査を経てご利用開始案内メール受信
  5. 入金後、運用開始

まとめ

低リスクでの資産運用は、投資経験のない初心者や高いリスクを取りたくない人に適しています。少額から始められる資産運用も多いので、複数を組み合わせることも可能です。

ただし、低リスクではあっても運用では損をする可能性はあります。購入する商品にはどのようなリスクがあるかを必ず確認するようにしましょう。

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松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員2種 運営サイト : 経営体質改善のヒント